猪木武徳のレビュー一覧

  • 戦後世界経済史 自由と平等の視点から

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    非常に良い本です。

    中学生とか高校生とか、最低でも大学の教養課程で取り上げて貰いたいレベル本ですね。理系だからとか文系だから、経済史は研究の対象ではない…とか言わず、教養・常識の範疇として知るべき近代史が経済の観点から綴られている良書です。

    戦後の経済発展について、少なくとも日本人の一般的な知識に反することが沢山載っています。例えば東ドイツの経済力、西ドイツに対する政策の変遷、日本の経済成長率と他国の比較、東西ヨーロッパからラテンアメリカ、アフリカ、アジア全域に到るまで、戦後の経済政策、内政・外政、その経済的な解釈や統治・成長の軌跡などなど…学ぶことが非常に多いです。

    370P程ですが、

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    2011年07月07日
  • 戦後世界経済史 自由と平等の視点から

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    第二次世界大戦後の世界の経済の概観。新書にしては、非常に読み応えのあるボリュームと内容だ。地域的には、日米欧のいわゆる先進国・旧社会主義経済圏・アジアやラテンの新興国・旧植民地、出来事的には、戦後復興・オイルショック・東アジアやASEAN等の新興国の発展・社会主義経済の破綻・金融破綻、等を扱っている。筆者は学者であり、これらの変化や出来事に対して、理論的なアプローチを試みる立場にあり、実際に、いくつかの学問的な立場を紹介したりもしている。素人的には、今日のグローバル化された経済が相互に深く関係していること、また、経済が今日の姿になる経緯というのが、一言では紹介できないほど、複雑な相互関係の中か

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    2011年07月25日
  • 社会思想としてのクラシック音楽(新潮選書)

    匿名

    購入済み

    音楽の嗜好性は多分に時代や社会の影響を受けていると思うので、そういった背景を学んだ上で鑑賞したい気持ちから本書を手に取りました。章によっては予想以上に深く難解で、再読の必要がありますが、著者の専門分野を活かした芸術論となっており読みごたえがあります。

    #深い

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    2025年11月13日
  • 自由の思想史―市場とデモクラシーは擁護できるか―

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    まえがきに本書は回想記とあるが、まさに話題が転々と移り変わり、「自由」について薄く広く論じている。私の理解不足、読解力不足もあるだろうが、簡潔な文章すぎてもう少し説明して欲しい箇所もあった。反面、「自由」に関するさまざまトピックスに触れられているので、面白く読めた。

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    2025年01月25日
  • 経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う

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    社会科学への取組み方。自然科学とは違い、本当の客観性を得るためのプロセスはかなり補足概ねそのようなものはないが、そこでできないのではなく、実行していき、世の中に何をできるのかその実効性を問い続けることが重要。

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    2024年06月16日
  • 経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う

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    国民経済計算システムが精緻化すると軌を一にしてマクロ経済学が発展した。
    フィールドリサーチは、計量経済学的方法に比べて形が作りにくく、手間と時間がかかる。
    指南書『聞きとりの作法』『フィールドワークー書を持って街に出よう』
    『経済学者、未来を語るー新「わが孫たちの経済的可能性』

    リカード的悪癖=物事を単純化して仮定を積み重ねて考える。資本や労働がすぐに転換調整できることが前提=実際は規模の経済が働くか否に依存しているほうが自然。

    「ヘクシャー=オリーンの定理」自由貿易の擁護論
    イギリスの自由貿易はイギリスの利益になったから提唱された。世界経済のためではない。
    アメリカは保護主義の砦と言われ

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    2022年08月24日
  • 経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う

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    本書は今年の初めまでWeb中公新書に連載されていたものを加筆修正されたもの。ところどころ読んだ気がしたのはそのせい。全体で6章構成。

    第1章 まずは控えめに方法論を
    第2章 社会研究における理論の功罪
    第3章 因果推論との向き合い方
    第4章 曖昧な心理は理論化できるか
    第5章 歴史は重要だ(History Matters)ということ
    第6章 社会研究とリベラル・デモクラシー

    第2章では牧野邦昭さんの『経済学者たちの日米開戦』でも援用されているプロスペクト理論について「興味深い分析」としつつも、理論の歴史的現実への適用には慎重であらねばならないと述べられている(p.80-83)。これは穏当な

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    2021年11月05日
  • 経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う

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    本書の経済社会とは「経済的な関係が深くしみこんだ社会」のこと。宗教や伝統に代わって経済的な結びつきが社会の重心がシフトしているのが現代の特徴であり、それをどう見ていけばよいかが論じられている。

    著者は著名な経済学者だが、本質論や演繹論のみで社会を切ることには懐疑的で、歴史からの学びや手間のかかるフィールド・リサーチの意義を高く評価している。社会には、統計的処理だけでは解決できない問題も多いことを強調する。その一方で、理論なんて不要といった極論にも与しない。リベラル・デモクラシーの下で問題を「解決」するには、パッチワークを重ねることで何とか問題解決に当たるしかない、「『抜本的改革』という掛け声

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    2021年09月30日
  • 社会思想としてのクラシック音楽(新潮選書)

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    経済学で紫綬褒章、文化功労者の先生がクラシック音楽を語るとこうなる、みたいなやつで、音楽家のエピソードは知られているものばかりといえばそうだが、かなりおもしろい。好きだったのねえ。ショスタコの『証言』は評価する派のようだ。

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    2021年07月20日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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     経済学の基礎のキソが学べる一冊。本書は――書名とは裏腹に――経済学の「限界」を考察することで、逆に「可能性」を明らかにするというアプローチを採る。ただ、難しい理論の話は少なく、第1部は身近な話題(税金・インフレなど)から経済学を考える内容となっており、第2・3部は経済を行う主体である「人」について倫理・思想面から考察を行っている。
     著者の結論は「経済学が力を発揮できるのは、その論理を用いて説得が可能な価値選択以前の段階までであり、それ以降は政治的な選択に任すほかない」(p.238)という、一見すると身も蓋もないものである。ただ、経済の主体である「人」が、矛盾した二つの欲求を望む「二重思考」

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    2019年08月15日
  • 戦後世界経済史 自由と平等の視点から

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    タイトルの通り、時間的には第二次大戦終戦から現在まで、空間的には米欧、日本、アジア、ソ連(ロシア)・東欧、アフリカ、南米まで全世界をカバーし、経済史を鳥瞰する試み。
    著者自身、はじめに断っているように、厳密な通史の形はとっていませんが、わずか350頁ほどの新書で、これだけの広い範囲に亘る経済の変遷のイメージを大掴みできるだけのクオリティがあります。

    あまりに対象範囲が広いので感想を書くのもなかなか難しいところですが、特に印象に残ったところをピックアップすると以下2点。

    戦後、ソ連・東欧、中国をはじめ、世界中の多くの国・地域で計画経済を運営しようとの試みが実行されたが、全て失敗に終わった。

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    2019年01月06日
  • 自由の思想史―市場とデモクラシーは擁護できるか―

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    経済学者の自由ということに関するエッセイであるが、歴史と哲学への洞察が深い。Freedomは束縛からの解放、Libertyは特権としての自由というラテン語語源の単語である。 経済学の発展は自由意志による取引の成立と切り離せないが(特に現在)それはそもそもギリシア時代に生まれた。ペルシアの専制政治との対比になるが、奴隷制の上とはいえ自由民が恣意的ではない法のもとで民主制を引き自由に思想を模索していた。これがまたルネサンス以降復活し西洋の発展を支える。

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    2016年09月01日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    著者は「経済学に何ができるか?」という問いに明確な答えは、出していない。重要なのは、経済政策における経済学の限界を知ることだ。現代のミクロ経済学の主流は、「合理的で独立した自由な個人」を想定することから出発する。しかし、これは人間類型のひとつを代表したモデルにすぎない。したがい、経済理論と政策の関係について、我々は常に用心深くあらねばならない。

    そして、本書の冒頭に著者は「むしろ理論の役割を限定することによって、その力を適切に発揮できるようにするためである。理論は、我々に何を示し、実際の経済政策の運営のどの段階までの知恵を授けてくれるのかを反省することである」と断言する。経済学の限界を知るこ

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    2015年12月20日
  • 戦後世界経済史 自由と平等の視点から

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    戦後(WWI後含む),世界で起こった経済に関わる制度や出来事などをほぼ全て網羅する本書.
    TwitterやNaverでも"中公新書ベスト◯"でよくよく取り沙汰されていますが,確かにそれに見合うだけの内容を備えています.
    戦後・現代史や経済について考える時にレジュメ・辞書的にも使える便利な本のようにも思います.

    内容としては,経済から見た各国の戦後史という史学的なものから,経済における政治や統治機構の役割・関係という政治的な話,また第三世界やアジア・BRICsなど新興国の発展度合いや方法というように,あらゆる角度のトピックについて書かれてあるので,全て学びきるのは難しいでし

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    2015年06月15日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    猪木武徳が2012年に発表した新書。ガッチガチの経済学に関する本かと思ってましたが、社会学や倫理学など幅広いクロスオーバー的な内容でした。昨今、社会的に取り沙汰されている様々な問題について、経済学だけでは語れないし、逆に経済学を知らないままでも語れない。それだけ純粋な理論よりも実践や色々なものに対する知性が重要だと感じました。この本を理解するには、ある程度の素地が必要かもしれないです。あと、一つ一つの話題の分量が少ないので、気になった部分は別の参考書にあたりましょう。

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    2014年04月19日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    アダムスミスの道徳感情論やフランク・ナイトを軸に現在の経済の問題を考えていく。経済学の理論よりも社会学・哲学に理論の方が多いんじゃないかというくらい後者の方がよく引用されている。竹内洋先生が推薦する本だけあるなという感じ。
    「順序立てた論理」(=経済理論)。これだけでなく、「気持ちよさ」など精神的な無形の要素(=善き経済政策)の必要性も説く。そして専門家は、(各々違うかもしれないが)モデルを通し、回答する。アマチュアは健全な価値観と判断能力を持ってそれを考える。もちろんここで対立や相克が生まれるのは避けられないが、両者、議論を持ってなんらかの合意に達する必要がある。このようにそれぞれの役割があ

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    2013年10月18日
  • 戦後世界経済史 自由と平等の視点から

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    戦後世界史というものすごい広い分野について書いてある。主軸は、保護主義の台頭、社会主義の失敗、グローバル化の波、といった大きな歴史的社会体制の流れに対して、個々の国がどのように巻き込まれ、そして対処していったかということ。もう一回読みたいね。

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    2013年10月10日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    経済は物質的な面で人間生活の基盤をなしている。経済の冷徹な原理にさらされていない人間はいない。そのため、誰もが経済について経験と価値観に基づく「一家言」を持っている。
    本書では、歴史的な流れの中で、経済制度や慣行を捉え直している。
    経済学が力が発揮できるのは、その論理を用いて説得が可能な価値選択以前の段階までであり、それ以降は政治的な選択に任される。そこが理論と政策をわける境界線である。

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    2013年08月24日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    学問の限界を探り、経済学と経済政策の違いを明らかにしながら、各々できることとできないことが冷静に議論されてる良書。

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    2013年07月19日
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み

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    経済理論と経済政策を峻別し、理論を現実に単純に当てはめようとしないことが重要である。経済政策は経済問題だけでなく、多分に政治的な要素から決められるからだ。また、経済学は社会の経済問題に一刀両断に答えられるものではない。むしろ明快な主張には用心すべきであると解く。

    経済理論はもちろん重要であるし、学ぶべき順序もある。また、経済学は万事を経済変数で説明する(経済還元主義に基づく)学問ではない。経済還元主義と経済学的なアプローチは全く異なるものだ。人間の持つ理性、情念、倫理観といったものに目を向けるとともに、自由市場は尊重しつつ、市場の有効性について批判的に再吟味することが重要である。

    現代社会

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    2013年06月05日