猪木武徳のレビュー一覧
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新書本ながら小さな文字で約380ページにわたり戦後の世界経済史について簡潔にまとめた本。戦後を10~20年ごと区切り、各地域を網羅しつつ、機械的にではなく適当なテーマを設定しつつ、わかりやすくまとめられている。私も大学で経済を学んだことがあるが、世界経済史については、さまざまな多数の書籍・文献を読んだ(読まされた)経験があり、苦労した思い出があるが、この本は、とてもわかりやすく、大事なところをうまくまとめていると思う。特に、全世界がほぼ網羅され旧社会主義国、東南アジア、アフリカまで言及されておりとても勉強になった。著者がむすびで述べている、「政治的安定、私的所有権の確立、法の支配が、経済的に豊
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私は1975年に大阪大学経済学研究科に入学したのだが、そのときに猪木先生はMITでPh.D.を得て、着任したばかりであったと記憶している。私は国際金融の専攻だったため、労働経済学を教える猪木先生の講義を受けるチャンスがなかったが、なぜか他の院生を通じて、先生と親しく交わる機会を得た。猪木先生は父上が猪木正道氏(京大教授・防衛大学長を務めた高名な政治学者)だけあって、とにかく品の良い先生であった。しかも、学識がおそろしく広く、しかも語学の達人であった。彼はMITではドイツ人のアメリカへの移民を研究してPh.D.論文を書いたので、まず、英語とドイツ語に堪能である。そこに加えてフランス語も読めると
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Posted by ブクログ
タイトルの通り、戦後から現代までの、世界各国の歩みを経済史の視点で概観している。扱う地域は非常に広く、社会主義国、アフリカや南米などの新興国も取り扱われている。また、著者がこの広汎なターゲットをいかに見るか、という定まった視点が冒頭にきちんと提供されている。扱うテーマの性質上、地域や時代が点々とするが、決して教科書的な記述に終始せず、著者の与えた視点でもって経済史として概観することができる。
5つの視点とは、下記である。
・市場化と公共部門の拡大のせめぎあい
・グローバリゼーションの進展と、それによる変化
・平等/公平性、富の分配に対する考えの変化
・世界的な統治機構の果たした役割・機能
・市