【感想・ネタバレ】経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組みのレビュー

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Posted by ブクログ 2014年04月10日

 私は1975年に大阪大学経済学研究科に入学したのだが、そのときに猪木先生はMITでPh.D.を得て、着任したばかりであったと記憶している。私は国際金融の専攻だったため、労働経済学を教える猪木先生の講義を受けるチャンスがなかったが、なぜか他の院生を通じて、先生と親しく交わる機会を得た。猪木先生は父上...続きを読むが猪木正道氏(京大教授・防衛大学長を務めた高名な政治学者)だけあって、とにかく品の良い先生であった。しかも、学識がおそろしく広く、しかも語学の達人であった。彼はMITではドイツ人のアメリカへの移民を研究してPh.D.論文を書いたので、まず、英語とドイツ語に堪能である。そこに加えてフランス語も読めるという。彼の研究室にはTimes Literary SupplementやLe MondeやDer Spiegelが何冊も置いてあり、私が愚かにも「これら、全部読むんですか?」と聞いたら、「そうです、読みますよ」と軽く答えられてしまったのは、驚きであった。
 さて本書の特徴は経済学に出来ることと、出来ないことをキチンと整理し、経済学の限界を明確にしたことではないだろうか。世界的に1980年代以降、レーガン・サッチャーに代表される「アングロサクソン的な自由主義的・市場主義的経済観」が主流となっていると思われるが、市場に任せておけば貧困や失業問題が自動的に解決されるものではないことは自明の理である。もちろん、貧困や失業をどうとらえるかにも、対立する考え方が存在する。何が正しいか、という問題は極めて哲学的・倫理学的な問題であり、猪木氏はアリストテレスのニコスマス倫理学を引用したり、トクビル、ヒューム、A.スミス、F.ナイトなどの著作を引用しながら、経済学上の問題には対立する価値観が立ちはだかり、その間のバランスを取る必要を強調する。
 さらに社会的問題は経済学の論理だけでは解決出来ない、実際上の困難が存在する。すなわち、政治的な問題である。猪木氏は具体的にTPPを挙げる。TPPは確かに日本の農業に困難をもたらすかも知れない。しかし、TPPは中国には参加要請がなく、中国はTPPを中国封じ込めの意図があると考えている。一方で、中国は軍事力を増強しており、アメリカと同盟を組む日本は、国際政治・外交上の配慮をここにする必要があると著者は指摘する。
 あるいはユーロ危機の問題を見ても、経済学の論理では、あれだけレベルの違う国々が統一通貨を使うことの危険性が指摘されていたのに、政治的判断(欧州統一という名前のもとのドイツの封じ込め)が優先されたことが指摘される。
 また副題にあるように制度的枠組みにはそれなりの歴史的な理由があり、急激な制度変化はしばしば意図せざる副作用をもたらすと警告を発する。
 猪木氏は「個」と「社会」の対立、「効率」対「公正・公平」、「自由」対「規律・秩序」の緊張関係の間で知性を働かせてバランスを取ることの重要性を古今の思想家の著述を借りながら、深く考察している点に改めて感銘を受けた。労働経済学から出発しながらも、氏の関心は経済思想に向けられ、1987年に『経済思想』という分野・概念別に経済学の歴史を俯瞰するという斬新な著作を上梓されており、その学識の深さ・広さにはいつも敬服させられてきたが、本書も格差問題、少子高齢化問題、産業の空洞化問題、財政赤字問題等々、困難な経済問題に直面する日本の今後を考える上で、単に経済学だけではなく、広く、政治や哲学・倫理の視点を持つことの重要性を教えてくれる。
 なお、本書は決して易しい本ではない。しかし、消化の良いものばかり食べていては、身体の健康が守られないのと同じように、精神を健全にするには本書のような、かみ応えのある本を読むことは大いに有益であると信じる。


追伸:なお氏の著作に『文芸にあらわれた日本の近代』(2004年)という本があるが、明治以降の小説に日本の近代社会がどのように描かれてきたかを考察している。通常の文芸評論家にはできない芸当を披露しており、理科系学問の経済学者のなかにあって、珍しく文学を愛し、かつ経済学的にそれを料理してみせる技を著した優れた著作である。

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Posted by ブクログ 2013年07月27日

過去の経済学者の理論の紹介だけでなく、最近の経済データや哲学的観点からの意見など、読み応え十分。これまで読んだ「経済学の新書」のイメージとは全然違う。良い。

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Posted by ブクログ 2013年05月06日

経済思想の歴史的な変遷を追いつつ、「経済学に何ができるか」というテーマについて理論と現実の対比によって明快に論点を提示している。
かなり高尚な内容だが、非常に平易で読みやすい。おすすめ。

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Posted by ブクログ 2013年03月25日

新書としては、超第一級の名著。これだけ丁寧に経済学を解説し、なおかつ文章が練り込まれており、経済学の限界を素直に認めながら、その可能性を探っている。

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Posted by ブクログ 2013年05月16日

20130311~0516 経済理論、思想史的な記述と現実の経済事情や経済史に関する記述がうまく融合されている感じ。難しいけど読みやすいですw
著者のバランス感覚が優れているのが良く分かります。

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Posted by ブクログ 2012年12月17日

経済学というより、かなり倫理的な本です。経済社会的な諸問題に対して、経済学だけでは解決しえない限界を明らかにしながらも、なおかつ経済学のもつ本質的な役割を示そうとする試みだと思います。この本を読んで、中庸ってものの重要性と困難さをしみじみ感じました。それと経済学って倫理学の子なんだなあって改めて思い...続きを読むました。
歯切れの悪さこそが素晴らしい良書です。お奨めの本です。

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Posted by ブクログ 2012年12月10日

理論と現実の間をさまよう経済学。
そんな経済学の不完全性を受け入れ、その狭間を地道に埋めようとしてきた経済学者の格闘の書。
経済学が何を考えてきたのか。
経済学がどのようなものなのか。
完全な社会科学などないし、目指すべきでもない。
自分自身がその間を行ったり来たりして自分の頭で考えることでしか前に...続きを読む進むことができない。
そう感じさせる内容でした。
新書とは思えない。

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Posted by ブクログ 2019年08月15日

 経済学の基礎のキソが学べる一冊。本書は――書名とは裏腹に――経済学の「限界」を考察することで、逆に「可能性」を明らかにするというアプローチを採る。ただ、難しい理論の話は少なく、第1部は身近な話題(税金・インフレなど)から経済学を考える内容となっており、第2・3部は経済を行う主体である「人」について...続きを読む倫理・思想面から考察を行っている。
 著者の結論は「経済学が力を発揮できるのは、その論理を用いて説得が可能な価値選択以前の段階までであり、それ以降は政治的な選択に任すほかない」(p.238)という、一見すると身も蓋もないものである。ただ、経済の主体である「人」が、矛盾した二つの欲求を望む「二重思考」から自由でない以上、その行動を理論化することには限界があるのは当然であろう。むしろ重要なのは、ある経済政策について、どこまでが経済学の「論理」に拠るもので、どこからが「政治的な選択」に拠るものなのかを見極める眼を持つことである。
 本書は、何か斬新な主張を展開しているわけではないが、経済学に興味を持たせる様々な「キッカケ」を提供してくれる一冊であり、非常に勉強になった。

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Posted by ブクログ 2015年12月20日

著者は「経済学に何ができるか?」という問いに明確な答えは、出していない。重要なのは、経済政策における経済学の限界を知ることだ。現代のミクロ経済学の主流は、「合理的で独立した自由な個人」を想定することから出発する。しかし、これは人間類型のひとつを代表したモデルにすぎない。したがい、経済理論と政策の関係...続きを読むについて、我々は常に用心深くあらねばならない。

そして、本書の冒頭に著者は「むしろ理論の役割を限定することによって、その力を適切に発揮できるようにするためである。理論は、我々に何を示し、実際の経済政策の運営のどの段階までの知恵を授けてくれるのかを反省することである」と断言する。経済学の限界を知ることによって、我々は経済学の役割を知ることができるのだろう。

本書は経済学者の猪木武憲さんが朝日新聞に1年間連載されたコラム「わかりやすい経済学」で取り上げたテーマを中心に、書き下ろされた新書。ただし、本書は、難解な部類に入る本と思う。

著者は「自分の仕事が人の役に立っているのだろうかとふと考えたことが幾度かあった」。したがい、本書については、経済学者の著者が経済学の限界を、どう考えているのか、そしてどう限界を克服するのか、その訴えに耳を澄まし理解することが、正しい読み方と思う。

1日1章のペースで読んだが、充実した読書体験だった。★4つ。
また、同じ著者の「戦後経済世界史」は★5つのお勧め。

なお、最近、インドネシアでは毎年の最低賃金をインフレ率と経済成長率の合計値で規定するという大統領令が発効し、労働組合は猛反発している。おそらく、定昇分とベアの理論から、政治家が安易に考えた足し算と思うが、これこそ、シュンペーターが「リカード的悪弊」と呼んだ「単純化され抽象化された理論をそのまま現実の政策に当てはめようとする安易な発想だ。

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Posted by ブクログ 2014年04月19日

猪木武徳が2012年に発表した新書。ガッチガチの経済学に関する本かと思ってましたが、社会学や倫理学など幅広いクロスオーバー的な内容でした。昨今、社会的に取り沙汰されている様々な問題について、経済学だけでは語れないし、逆に経済学を知らないままでも語れない。それだけ純粋な理論よりも実践や色々なものに対す...続きを読むる知性が重要だと感じました。この本を理解するには、ある程度の素地が必要かもしれないです。あと、一つ一つの話題の分量が少ないので、気になった部分は別の参考書にあたりましょう。

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Posted by ブクログ 2013年10月18日

アダムスミスの道徳感情論やフランク・ナイトを軸に現在の経済の問題を考えていく。経済学の理論よりも社会学・哲学に理論の方が多いんじゃないかというくらい後者の方がよく引用されている。竹内洋先生が推薦する本だけあるなという感じ。
「順序立てた論理」(=経済理論)。これだけでなく、「気持ちよさ」など精神的な...続きを読む無形の要素(=善き経済政策)の必要性も説く。そして専門家は、(各々違うかもしれないが)モデルを通し、回答する。アマチュアは健全な価値観と判断能力を持ってそれを考える。もちろんここで対立や相克が生まれるのは避けられないが、両者、議論を持ってなんらかの合意に達する必要がある。このようにそれぞれの役割があり、いずれも文明社会に住む人間の義務と責任であるとも説く。
経済還元主義の不完全性をつく、そんな一冊。

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Posted by ブクログ 2013年08月24日

経済は物質的な面で人間生活の基盤をなしている。経済の冷徹な原理にさらされていない人間はいない。そのため、誰もが経済について経験と価値観に基づく「一家言」を持っている。
本書では、歴史的な流れの中で、経済制度や慣行を捉え直している。
経済学が力が発揮できるのは、その論理を用いて説得が可能な価値選択以前...続きを読むの段階までであり、それ以降は政治的な選択に任される。そこが理論と政策をわける境界線である。

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Posted by ブクログ 2013年07月19日

学問の限界を探り、経済学と経済政策の違いを明らかにしながら、各々できることとできないことが冷静に議論されてる良書。

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Posted by ブクログ 2013年06月05日

経済理論と経済政策を峻別し、理論を現実に単純に当てはめようとしないことが重要である。経済政策は経済問題だけでなく、多分に政治的な要素から決められるからだ。また、経済学は社会の経済問題に一刀両断に答えられるものではない。むしろ明快な主張には用心すべきであると解く。

経済理論はもちろん重要であるし、学...続きを読むぶべき順序もある。また、経済学は万事を経済変数で説明する(経済還元主義に基づく)学問ではない。経済還元主義と経済学的なアプローチは全く異なるものだ。人間の持つ理性、情念、倫理観といったものに目を向けるとともに、自由市場は尊重しつつ、市場の有効性について批判的に再吟味することが重要である。

現代社会の最大の問題点は、価値の相克であり、倫理の問題である。そして、社会問題の解決には、価値観についての合意が重要となる。経済学は、価値選択以前の問題について、理論的に分析することはできるが、価値自体を決めることはできない。その意味では、経済学の視点だけでは強い主張は行えないし、また、そのような主張をしない品性が求められる。

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Posted by ブクログ 2013年05月23日

さまざまな「価値」がぶつかり合う、現代の自由社会。その結果、様々の難題が私たちの前に立ちはだかっています。

人間にとって正義とは、幸福とは。

著者は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。

デモクラシーのもとにおける経済学の可能性と限界を問い直す試みがなされたものである。以下、...続きを読む内容。

序章 制度と政策をめぐる二つの視点

第Ⅰ部 自由と責任

第1章 税と国債 ― ギリシャ危機を通して見る

第2章 中央銀行の責任 ― なぜ「独立性」が重要なのか

第3章 インフレーションの不安 ― 貨幣は正確には操作できない

第Ⅱ部 平等と偶然

第4章 不確実性と投資 ― 「賭ける」ことの意味

第5章 貧困と失業の罠 ― その発見から現在まで

第6章 なぜ所得格差が問題なのか ― 人間の満足度の構造

第7章 知識は公共財か ― 学問の自由と知的独占

第8章 消費の外部性 ― 消費者の持つべき倫理を考える

第Ⅲ部 中庸と幸福

第9章 中間組織の役割 ― 個人でもなく国家でもなく

第10章 分配の正義と交換の正義 ― 体制をいかにデザインするか

第11章 経済学的厚生と幸福 ― GDPを補完するもの

終章 経済学に何ができるか

*人の世をはかる尺度は百家争鳴ですが、自分が納得できる一つの思考パターン「型」を持っていれば、人間、この世を上手に生きれるのではと思います(笑)。 

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Posted by ブクログ 2013年04月22日

数年前に流行った政治哲学のように、問題に対して経済学なりの解答を出そうとしている本だと思う。もちろん理論と実践が異なることも指摘している。

内容は下記の通りだが、処方箋を出すと言うよりも考え方を紹介してる方が強く、簡単に説明することよりもその裏にある単純化の問題を指摘している。

第1部 自由と責...続きを読む
 ・税と国債
 ・中央銀行の責任
 ・インフレーションの不安

第2部 平等と偶然
 ・不確実性と投資
 ・貧困と失業の罠
 ・なぜ所得格差が問題なのか
 ・知識は公共財か
 ・消費の外部性

第3部 中庸と幸福
 ・中間組織の役割
 ・分配の正義と交換の正義
 ・経済的厚生と幸福
   ・経済学に何ができるか

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Posted by ブクログ 2013年04月19日

趣旨としては経済理論と現実をしっかりと区別し、どちらに偏り過ぎてもいけないというところか。また、経済学ですべてを解決することは不可能だということ。経済学は人々が幸福を追求できるための条件を整えるだけで、直接的に幸福にはできないという点は非常に納得。

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Posted by ブクログ 2013年02月06日

題名のとおり「経済学という分野に何ができるのか」そのような問いに対して、筆者なりの回答をだしている。かなり抽象度の高い話なため、一読では一体何を言っているのか、よくわからないところが多い。それはすべて読者の責だが、各章同士の連関は強くないので、関心がある章を引っ張って読むのもよし。第9章の「中間組織...続きを読むの役割」では、現代の経済学が個人と国家(政府)という二元的な対立図式で社会制度を考えているところが経済学の見落としであるいう。個人と国家の間には、消費者団体や労働組合、経営者団体などの「結社」が存在し、それが現在の経済システムを構築しているという。このように、個人と国家という図式は、社会制度を考える上で、便宜的に分類しただけであり、そのように単純化することで精緻な理論を組み立てつつ、一方で理論の限界をもっていたのが経済学であるという。
この本を読み、経済学が何をターゲットに研究してきたのか、その貢献度と限界、未来を俯瞰することができるのではないか。ことさら、経済至上主義への批判から経済学への批判へと行きがちな現代において冷静にその是非を考えるには一読の価値があると思う。

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Posted by ブクログ 2013年02月02日

経済学に出来ることそして出来ないことについて書いた本。
やや雑多ですが新書にしてはボリュームがあり読み応えもなかなか。

出来ないことをはっきりさせた上で経済学の担う役割を示している点は、
ものごとを混同して考える人の多い昨今において有意義だと思います。
経済学の扱っている範囲の広さも分かりますしね...続きを読む
とりわけ価値の問題と実効性の問題が興味深かったです。

経済学の外郭についての本であり中心についての本ではないので、
入門書くらいの知識はあった方が良いかもしれません。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年01月13日

現在経済学が解決しなければいくつかの課題と経済学の対処方法等を述べていく。
経済学が想定する仮定の限界を示してくれる。

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Posted by ブクログ 2013年01月04日

経済の入門書ではないが、入門書を読んだ次くらいに読むとちょうど良い気がする本。
様々な社会問題について、経済学的な視点でそれらを考えるとどうなるかについて簡潔に解説してくれる。
机上の空論を展開するのに終始せず、一つ一つの問題と正面から現実的に、倫理的に向き合っている本書のテーマはまさに「経済学に何...続きを読むができるか」「何ができないか」についてであり、この本にはこの題名こそがふさわしいと思った。

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Posted by ブクログ 2012年11月23日

筆者なりの概念の整理により、経済学にまつわる現代的な問題が紹介されている。
全くこの分野に知識がなくとも読めなくはないが、前提知識がないとツライ。じっくり腰を据えて読むべき本である。そう言った意味で高度な新書であると言えるだろう。

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Posted by ブクログ 2020年03月16日

ユーロ危機や格差、投資など人々の相反する価値がぶつかる事象を、経済学の観点から解説する。
著者によれば経済学を通じて事象を論理的に見ることは大いに役立つが、だからといって経済学の単独の論理がすべてを解決するのではないと説く。その上に人間の情念が左右する政治的な要素が加わることを言及する。
物事を解決...続きを読むするには正論をかざすだけでなく、複眼的な視点を持つことが肝ということだろう。

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

新書という読み物としてはよかった。

「リスク」と「不確実性」が異なるものであると、今更初めて認識した。「言われれば、確かに」という感じだが。
「リスク」は、人間の知識の不完全性に起因しているが、その事象が生起する客観的な確率分布がわかっている事象に適用する概念。「不確実性」は前例や経験の蓄積がない...続きを読むために客観的な確率分布を知りえない事象で、主観的に推定するしかない事象にまつわるもの。

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Posted by ブクログ 2014年02月06日

経済学と一口に言っているが,哲学的な面や社会学的な面まで手広く取り扱っている.人間自身を取り扱う学問であるからこその難しさについては非常に納得がいった.

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Posted by ブクログ 2013年03月29日

税と国債 徴税能力
中央銀行の責任 ハイエクの貨幣発行自由化論
インフレーションの不安 富の強制移転 自己実現的という罠
不確実性と投資 有限責任の不思議
貧困と失業の罠 
なぜ所得格差が問題なのか 豊富な情報はやる気をそぐ
知識は公共財か 
消費の外部性 倫理は習慣である
中間組織の役割 結社
...続きを読む配の正義と交換の正義
経済的厚生と幸福 効用と福祉
経済学に何ができるか

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年03月16日

「第2章 中央銀行の責任」 にて、ハイエクの貨幣発行自由化論が扱われているが、南北戦争までの四半世紀の米国は、フリーバンキングの実験場と化した結果、銀行倒産が続出し失敗に終わったことは興味深い。

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Posted by ブクログ 2013年02月12日

経済学に何ができるか、というよりは経済学者の猪木氏は何を考えているか、の色彩が濃い
一般向けの新書に有りがちな、素人騙しの一部学説をコンセンサスにしたてあげてない所は評価できるし、スミスやナイト、ピグーといった歴々からの引用も硬派でいい
ただし内容が中央銀行、TPP、貧困などといった最近の話題にその...続きを読む面子を絡めてるので、想定読者層をどこにおいているのかは疑問である

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Posted by ブクログ 2013年02月11日

財政の破綻懸念、ユーロ危機、貧困問題等々、我々を取り巻く様々な経済事象について考えるとき自ずと本著のタイトルそのままの疑念が浮かんでくる。そうした現実的な諸問題に対する経済学の効用と限界、そして政治・社会とのしがらみを図表や数式を一切用いずにプラグマティックに解説し、「経世済民」という言葉を頭に刻ん...続きを読むでくれる好著。

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Posted by ブクログ 2013年01月29日

経済学の役割について個々のトピックをあげて、経済学の歴史的アプローチの背景を解説している。概論的なトピックではあるが、著者のこれまでの著作と同じく、深い理解のもと経済史的な観点からよくまとまっており、経済学の復習には良いと考える。
トピック:税と国債(国家のファイナンス)、中央銀行の役割、インフレ、...続きを読む不確実性、貧困、所得格差、知識、分配と交換、中間組織、幸福。

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