高坂正堯のレビュー一覧

  • 歴史としての二十世紀(新潮選書)

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    お盆のとき、父親から同じ本を間違えて二冊買っちゃったからと貰った本。
    1990年の6回の講演を書籍化したもの。

    嚙み砕いたような語り口は読み易いが、裏付けされた知識は凄い。

    序盤の第一次世界大戦前のドイツのについて、大言壮語、自信過剰という言葉が出てくる。「ドイツが世界の中で名誉ある地位を占めたい」と世界に言ってしまう。公言せずに密かにやるのが賢い、とある。この指摘に東条英機の本を読んだばかりなので反応してしまう。日本は国を挙げて自信過剰で大言壮語してたんだよな。

    共産主義が絶対だった時代も語られる。結局、共産主義は失敗したけど、資本主義が正しいものと証明されたされた訳ではないとする。ま

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    2024年08月18日
  • 歴史としての二十世紀(新潮選書)

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    講演録。
    だからということもあってか、分かりやすい。
    そういうふうに捉えておく考え方があるんだな、と改めて思う。
    「正しさ」が、絶対のものとしてどこかにある、と思い過ぎると,ディストピアが立ち現れる、ということを感じた。

    高坂さん。
    解題、を見ると、56歳くらいでこの講演を行っている。今の自分とそう変わらない年齢だ。
    この人がたまにテレビに出て、なんとなく京都大学に憧れたような記憶がある。
    月日が経つのは早いものと思う。

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    2024年04月30日
  • 文明が衰亡するとき

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    ローマ、ヴェネツィア、1960-70年代のアメリカという時代・地理ともに異なる文明を「衰頽」というテーマで貫いた著作。

    著者の感覚的で断定的な記述が少なくない。それらがしっかりと腹落ちするかは読者の見識に依るところが大きいように思う。
    よく見ると論拠が書かれていることもあるが、そうでない場合には著者の思想や感性を掴む必要がある。
    特にアメリカの部分はついていけなかった印象が強い。

    一方で、ヴェネツィア衰頽の原因に関する洞察は興味深かった。終章にかけての、通商国家の根本的な脆弱性を一般化した説明は非常に含蓄があったように思う。

    そして本書の最たる美点は、歴史研究への向き合い方を示したことで

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    2023年02月08日
  • 世界地図の中で考える

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    目の前のことで忙殺されるなか、少し大きな視点で物事を考えたいと思い、読んでみた。
    表現が丁寧すぎる感じがするし、中身も少し難しく感じた。
    他の本でもう少し勉強したい。

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    2023年01月23日
  • 国際政治 改版 恐怖と希望

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    まさしく入門書、という感じの本。

    国際政治学の大家である高坂正堯が徹底的なリアリズムに基づいて書いた、国際政治を論ずる上での羅針盤となる不朽の名著である、と称賛すべき一冊だろう。

    一方で新たな視座の提供には乏しく、本書を通して著者が伝えていることは、極端に言えば「平和な世界を作るのは難しい」の一言に尽きる。

    考えうる政策の例示と批判、ものごとの二面性といった、読んでいてあまり面白くはない著述が続くため人によっては退屈に感じるかもしれない。
    このあたりは著者の現実主義ゆえか、それとも国際政治それ自体がもつ複雑さゆえだろうか。

    自分としては第1章の後半、第3章あたりは面白かったものの、全体

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    2022年04月03日
  • 世界史の中から考える

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    多分初めて読んだと思う、この著者の本を。
    その昔、テレビでよく出ていた論客の印象がありますが、果たしてその記憶が正しいのか?定かではありませぬ。
    でも愛国心に係る自意識の重要性、どの時代、どの場所でも通じる指摘かと。肝に銘じまする。

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    2021年02月27日
  • 世界史の中から考える

    購入済み

    項目毎に胆摘に解説されています

    元々、朝日新聞の「リーダーたちの本棚」で推薦されていた「文明が衰亡するとき」を買おうと思って、その類書を買ってしまった次第です。が、これも、著者の選んだテーマごとに、内容が盛りだくさん、そして各々、コンパクトにまとまっていて、すごく読みやすいです。

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    2020年03月01日
  • 世界史の中から考える

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    P54.
    陸奥宗光は日清戦争の外交を総括した「蹇蹇録」において「勝者が敗者よりもかえって危険の位置に陥いる危険があるものだ」と書いた。
    陸奥宗光は遼東半島を割譲させることに、始めから反対であったようだが、開国以来最初の戦勝に酔った日本人が過大な要求をしており、内政上の考慮で、そうなった。
    →日本はその進みうる地に進み、その止まらざるをえない所で止まった

    歴史上のバブル
    1636年 オランダチューリップバブル
    1720年 イギリス南海会社泡沫騒動
    →ウォルポール蔵相
    1873年 ドイツバブル
    →背景に1870年普仏戦争勝利、1871年ドイツ統一

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    2018年05月23日
  • 国際政治 改版 恐怖と希望

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    国際政治の基本的な視座を学べる。

    理想論ではなく地に足ついた国際政治論。これを読むだけでニュースとかの見方が変わるかな。

    軍事・経済・国際機関の3つに分けて、国際政治を紐解く。

    軍事に関しては、力による支配も、完全なる軍備放棄も不可能。

    経済に関しては、軍事並みに重要なアクターであり、かつそれが暴走しないように取り組む必要がある。

    国際機関に関しては、過度な期待は禁物で、あくまで権威による支配の状態が続きやすい。結局は各国家の動向で平和が実現される。

    結局国際政治は、今できることをやりながら、すぐにはできないことをできると信じることが大切というのは確かにと思った。

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    2018年04月23日
  • 文明が衰亡するとき

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    文明が衰亡する原因は何か。
    ローマ帝国の場合は、①蛮族の侵入、②ローマを発展させたエリートの減少と奴隷解放による活力と進取の気象の欠如、先見と常識の不足、道徳的・政治的活力の弱体化、③雨に恵まれたよい気候が悪化し乾燥することによる農業の弱体化やマラリアの蔓延、④繁栄をもたらした福祉国家が、逆に税を重くし、社会の担税能力を超える福祉国家化、である。
    ヴェネチアの場合は、①新航路の開拓の失敗、②新進気鋭で商業的であった文化の衰退から乱伐からくる木材の不足、である。
    現代のアメリカに目を転じると、①都市計画の失敗、②拡大路線に対する諦め、③政府の拡大からくる政府の疲弊など、衰亡の兆候が表れ始めている

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    2016年07月28日
  • 世界史の中から考える

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    ネタバレ

    元京都大学教授・高坂正堯氏によるエッセイ的世界観。著者曰く「私なりの旅行記」です。
    約50年前の著作であり、その内容は現在の世界の状況とは多分に異なる部分はありますが、それでもなお、考察の鋭さになるほどと思わされる箇所も多々ありました。


    「旅行記」と言うとおり、著者が実際に世界各地で実際に見聞きした、手触りのある物事から、独自の考察を展開していくことを私は期待していました。
    しかし、惜しむらくは、その期待に沿う形式であるのは第1章「タスマニアにて」のみでした。
    それ以降の章は、筆者の知識や過去の事実を元に論が展開されることが多かったように思います。

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    2015年09月23日
  • 文明が衰亡するとき

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    ■文明衰退

    A.昔から今まで人々は、種々の角度から、文明の衰亡を論じて来た。中でも、ローマ帝国の衰亡については、多種多様の説がある。例えば ――
    ・蛮族(ゲルマン民族)の侵入によって亡ぼされた。
    ・ローマを発展させたエリートたちの家系が絶滅し、それに代わって秀れた新エリートが出現しなかった。
    ・気候の変化により、農業が衰頽した。
    ・強さの源泉である共和政が崩れ、専制政治が出現した。
    ・経済の中核である奴隷制大農場の存続が難しくなった。

    B.経済的な要因に、ローマの衰亡の原因を求める説は多く、それは今日における支配的な説と言える。

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    2014年04月05日