稲見一良のレビュー一覧
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妻がデパートの冊子の紹介か何かで興味を持ち入手した本。
私も読んでみた。短編が数編。
メインはタイトルの「セント・メリーのリボン」
ハードボイルドヒューマン小説?だった。
山を半分相続した、猟犬専門の捜索家が主人公。
やくざの奥様?の依頼は、盗まれた盲導犬を探してと。
あっさり見つけるが、犯人の背景を知った主人公は、、、
盲導犬にふさわしい、あったかい小説になっている。
短編だけに、かなり強引なストーリー仕立てだけど。
盲導犬といえば、先日一緒に旅ランしたラン友は、
盲導犬をサポートするお仕事もしている。
寄付とボランティアで成り立っていると。
この小説からもその一端がちょこっとうかがえる。
ラン友、この小説知ってるかな。
他の4編
「焚火」「花見川の要塞」「麦畑のミッション」「終着駅」
ハードボイルドでファンタジー。 -
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ネタバレダックコール
自然の中に生きる。
蔦屋書店の鳥コーナーで発見。ジャケ買い。蔦屋書店に住みたい。
短編集だと思わずに読み進めたから、最初は構成がわからなかった。
もう少しポップな物語(ペットとしての鳥と人間の愛の物語的な、、)を想像していたけど、全然違った。
自然の中で生きる鳥と、そこにまつわる人間の物語。
・望遠
おちゃめすぎるよ!
若造一人に重大任務を任せる上司たちも上司たちだけど。
映像作品の目玉のシーン。一発撮りでチャンスは一回。森の中で迎える朝日を撮る重大任務。
その緊迫感と、珍しい鳥を見つけた驚きや嬉しさのようなものが対照的に際立っていて面白い。
鳥を見つけたことの純粋な驚きや喜びが手に取るようにわかる。
そこで、仕事を放ったらかして、そのカメラで鳥を撮るという行動がおちゃめ。羨ましい。若さゆえ?
・パッセンジャー
衝撃。軽い気持ちで手に取った小説だったので、まさかこんなにも狩猟の対象になっている鳥の物語を読むことになるとは。
そして実際、人間による大量虐殺によってリョコウバトは絶滅してしまったというから恐ろしい。
狩猟という単語は馴染み深いのだけれど、想像していたよりも残虐でショックを受けた。
・密猟志願
一番ポップ。
自然の中で育った狩猟上手な少年と、癌を2回克服しリタイアしたサブカルチャー&命名好きなおじさんのお話。
おじさんを始め、物語に出てくる登場人物みんなキャラが立っていた。
少年に出会ってから楽しいことや良いことづくしで幸せそうだったから、誰か死んでしまうんじゃないかと思ったけどそんなことはなかった。少年がいなくなってしまったのはおじさんにとってはとても悲しい出来事だったろうけど。ひとときの夢。
・ホイッパーウィル
一番好き。
ハードボイルドとはこのことらしい。あまりにも非日常が味わえて新鮮だし、かっこよくて面白い。山岳小説に引き続き、虜になりそう。
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その目には誇りのごとき鳥がいる/これは男性の琴線に触れるタイプなんではないかという気がする/プロローグの石に描かれた鳥のエピソードで引き込まれた/この早朝しかないという写真を撮ろうとするカメラマン助手の前にめったに見られないシベリヤ・オオハシシギが現れる/猟師のサムは美しいハトの大群と出会い大変な目に遭う/密猟に憧れつつも失敗し続ける男の前に密猟の上手い少年ヒロが現れ弟子入りさせてもらうことになった/ケンは保安官の依頼で三人の脱獄囚を追跡することになった。オーキィとの邂逅がとろけるようにカッコいい/デコイの「俺」と少年ブン。
【一行目】川の流れに手を入れた時だった。ああ、この夏も終るな、とぼくは感じた。水が冷たかったのだ。九月の初めの、遅い午後だった。
読んだのは単行本です。 -
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ネタバレ惜しくも亡くなられた稲見一良氏の'93年の作品。
よくこの人の作品は“男のメルヘン”と云われるが本作もまさにそう。大学の頃に読んだ『ダック・コール』の煌きが蘇る。
今回収められた作品は5編。
駆け落ちした女との逃亡途中の男と束の間の休息と食事と癒しをもたらす老人との出逢いの一時を描いた「焚き火」。
雑誌のカメラマンが作家のエッセイを飾る写真を撮りに訪れた花見川で遭遇する軍用鉄道の幻を描く「花見川の要塞」。
ミッションで空撃を受け、車輪が出なくなった爆撃機ジーン・ハロー。胴体着陸をすれば機体下部の銃座にいる仲間が死んでしまう中での奇抜な着陸の顛末を語る「麦畑のミッション」。
「終着駅」は37年間、東京駅の赤帽を勤めてきた男が、ふとしたことから大金と遭遇する事で、ある決断をする話。
そして表題作「セント・メリーのリボン」は猟犬の探索を生業とする猟犬探偵竜門卓の話で、狩猟中に消えた愛犬の奪還の話と盲導犬の奪還の話が語られる。
今回目立ったのは物語が途中から始まる作品が多かった事。というよりもウールリッチの短編に特徴的に見られた、1つの大きな物語の断片を切り取って語っている手法で物語自体に決着がついているというものではないこと。
特に「終着駅」はやくざの金を盗んだその後が非常に気になるが、稲見氏は赤帽の杉田雷三という男がある決断をする1点のみを語るに過ぎない。そこから先は読者に任せるとでも云っているかのようだった。
冒頭の1編「焚火」も駆け落ちした男の物語としてはエピソードのうちの1つに過ぎない話なのだが、これもそこ1点に集約してそこから拡がる物語を語っているかのようだ。
表題作は主人公竜門卓が明らかにフィリップ・マーロウをモデルにした不屈の騎士(卑しき街を行くではなく一人孤独に山野を駆ける)として描いている。粗にして野だが卑ではないという言葉を具現化した人物像になっており、非常に魅力がある。特に狩猟と犬に関しては作者の確たる知識・経験が色濃く反映されており、自然体であるがゆえに本物が書く本物の物語といった感じがした。
その反面、盲導犬の件は作者自身も詳しくはなかったのだろう、明らかに作者が取材し、対面した人物をそのまま頂いたという感じで素人じみた書き方になっている。
しかしここでもリチャードという老人の造形が際立っており、稲見氏の技量が遺憾なく発揮されている。特に盲導犬窃盗の犯人側の事情も心に傷みを伴うものであるのが上手いと感じた。最後の竜門の不器用さも含め、心に残る作品だ。
「麦畑のミッション」はもろ映画『メンフィス・ベル』だ。結末は容易に予想つくものの、ここでは戦争物も飛行機の装備や操縦技術などの専門知識の精緻さも含め、この人の底知れない懐の深さに唸らされる。物語も麦畑同様、豊穣この上ない。
一番好きなのは実は「花見川の要塞」。花見川にそれと気付かないほど朽ち果てた軍用鉄道の線路とトーチカがあるという設定で子供の頃に作った秘密基地を思い出させてくれたし、なんせ戦争中の軍用鉄道が目の前で蘇り、しかも年代物のライカと古いフィルムで撮影が出来たというおまけも含め、これぞ男のメルヘンだ。時間を忘れた読書だった。
稲見作品の特徴として野外の食事の描写が挙げられる。素朴で粗野な食事をなんとも上手そうに描写する筆致はこちらの涎を誘う。
そして野鳥がモチーフとして出てくる事。この野鳥に対する愛情が行間から滲み出てきている。いや、野鳥だけでなく食事の件も含め、自然への愛情と敬意がそこはかとなく心に染みゆく。
とにかく全てが色彩鮮やかだ。風景も物語も。
私は今回、稲見氏の作品を読んで日本のマーク・トウェインだと思った。作品数は非常に限られているので一度に読まず、また数年後、出逢う事にしよう。 -
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男のお伽話という趣きの短編集です。一人の男が夢を見ているような設定ですが、短編自体に鳥以外の接点はありません。どれもこれも雰囲気の違う話で全く飽きません。
ハードボイルドな雰囲気のものもあれば、ジュブナイルっぽいものもあります。
途中何故か僕の敬愛する野田知佑さんの本の引用も有ったりして、とてもとてもわくわくしました。
そういう副産物を省いたとしても、皆味わい深い短編となっているので、是非皆様に手に取って頂きたい佳作となっています。
狩猟というものが持つ残酷な部分というのは、必ず誰かが処理してくれている血なまぐささを無視する傲慢さとつながっていると思います。自然を破壊するのは自然から命を間引いて食す人ではなく、自然から遠く離れた人々の手で行われます。
狩猟や釣りを残酷だという気持ちも分かるのですが、そこに関わっている人は自然を愛している人たちなので、自然に関心が無い人たちは情け容赦なく、死刑宣告の書類にサインをするのです。
閑話休題
とにかく、自然に包まれたくなる本です。今すぐ釣りに行きたくなります(僕は狩猟は無理) -
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日本のハードボイルドの中では
伝説的な作品と言われているこの小説。
実はハードボイルドというよりも大人のメルヘンという感じの
優しくてhappyな気分にさせてくれる短編集です。この小説は文体的にはハードボイルドだし
狩猟とかマンハントなんかがモチーフになってるんですが
実は思い切りメロウな大人のメルヘンなんですね。
そしてファンタジー。
魔法使いとかが出て来るわけではないんですが、
苦境に立たされる主人公を救うことになるアイデア
つまり筆者である、稲見一良さんの描く奇跡がなんとも良いんですよ。
暖かくて優しい奇跡を物語の中で描いてくれるんですね。
どんな奇跡なのか?という事を書いてしまうと
もしもこれから読む方がいらっしゃるとしたら
マズイのでもちろん書きませんが(笑)
ネタバラシしたいなぁと思わずにはいられないので
奇跡を必要とする登場人物たちの苦境だけ少し書きましょうか(笑)
6篇の短編が収録されていますが、ラストの2篇は最高ですね。
【波の枕】では東南アジア沖で乗船が火事になり
ただ一人で海に漂うという男の話。
この男いかつい顔の無愛想な朴念仁ではあるんですが、
陸に帰れば怪我をした鳥や小動物なんかを元気になるまで
介抱してやるような優しい男でもあるんですね。
で、だだっ広い海で一人ぷらぷらもうどうなってもいいか、
なんて諦めはじめているところでちょっとした奇跡が起きるんですね。
その奇跡というのが良いんだな、まさかそんな展開とは!!
と私は思いました。
それから【デコイとブンタ】これは結構変わった設定で
デコイつまり鴨狩りなんかで使う木製の囮の模型ですね、
これが語り手の話なんですよ。
そのデコイがブンタという少年に拾われて大事に扱ってもらう。
その少年は一人で遊園地へ行くのですが観覧車のてっぺんで
置き去りになってしまうんですね、もちろんデコイも一緒に。
そして間の悪いことにその日からしばらく遊園地は休園の予定で
このままではずっと観覧車に閉じ込められたままになる。
もちろん、食料もないし、昔の話ですから携帯もあるわけなく
助けを呼ぶことも出来ない。
だけど、この少年あきらめないんですね、そこで奇跡が起きる、
そして少年に奇跡が起きるように、デコイにも何かが起きるんですね。
はい、どんなことが起きるのでしょうか??
どちらも見事なメルヘンですし、happyな気分にさせてくれます。
この本、久々に読んでおセンチになっていた私も元気になりました(笑)
ということでオススメですよ。
2017/08/20 21:12 -
Posted by ブクログ
点数は3.5にしたいのだけど、どちらかといえば4寄りといったところ。ハードボイルドの嫌なところが結構出ている。それは、童心とか男の夢といった、男の甘えのようなもの、そもそも童話のようなものをハードボイルドの文体で描くという試みは、そのような甘えを感傷や哀傷であると勘違いしており根本的にまちがっているとしか思えない。その意味で、マンハントの話や子どもとの交流の話は全く受け付けない。
反面、海で遭難していたら亀と鳥がいたという話はとぼけた味わいがあって楽しい。生と死のはざまの厳しさというものも、トビウオを食べるシーンで印象的に表現されている。とぼけた味わいと厳しさのバランスが、実にリアル、
最後の話もなかなかよい。人間同士のドラマではないのにきちんと最後にクライマックスがあるのが素晴らしい。そして風船の絵がすごく美しい。
各話のベースになる石に絵を描く男の話も地味によかった。 -
Posted by ブクログ
これも長らく絶版の憂き目に遭っていたが、一度復刊された稲見氏の数少ない長編。
夜な夜な歴戦の猛者たちが集うパブ「パピヨン」。そこに現れたレッドムーン・シバと名乗る男がその中の4人の男に勝負を持ちかける。自分と戦って勝てば三千万円を支払うと。
その男達は己の強さと賞金のために勝負に乗り、シバの待つ山へと向かう。
本書はギャビン・ライアルの長編『もっとも危険なゲーム』の本歌取り作品。
勝負に挑む男達はそれぞれ手裏剣の名人、射撃の名手、怪力を誇る元レスラーと、実に戯画化された人物たち。
ブルース・リーの映画にもなっていそうな設定で、この手の内容に荒唐無稽さを感じ、のめり込めない人には全くお勧めできない作品。
しかしこれほどシンプルな設定も昨今では珍しく、確かページ数も300ページもなく、すっと読めるのが特長だ。つまり色んなことを考えずにただ目の前に繰り広げられる戦いの物語に身を委ねるのが正しい読み方といえよう。
一応それぞれの登場人物の行動原理、人生哲学、生い立ちなども書かれており、ただの戦闘小説に終っていないとだけ付け加えておこう。
個人的にはこの手の物語は大好き。映画化されてもいいくらいのエンタテインメント性があるので、物好きな監督が映画化されたら再び復刊されるのではと思っているので、ひそかに期待しているのだが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
“竜門猟犬探偵舎”に奇妙な依頼が舞いこんだ。
動物プロダクションから傷ついた一頭のトナカイとともに一人の少年が失踪、その行方を追ってほしいというものだった。
竜門卓は相棒の猟犬ジョーを連れ、その臭跡を辿りながら有馬の山中へと分け入るが…(「トカチン、カラチン」)。
心優しきアウトローたち。
自らの信念に従い行動する男の美学。
感動の連作短編集。
[ 目次 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]