稲見一良のレビュー一覧
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妻がデパートの冊子の紹介か何かで興味を持ち入手した本。
私も読んでみた。短編が数編。
メインはタイトルの「セント・メリーのリボン」
ハードボイルドヒューマン小説?だった。
山を半分相続した、猟犬専門の捜索家が主人公。
やくざの奥様?の依頼は、盗まれた盲導犬を探してと。
あっさり見つけるが、犯人の背景を知った主人公は、、、
盲導犬にふさわしい、あったかい小説になっている。
短編だけに、かなり強引なストーリー仕立てだけど。
盲導犬といえば、先日一緒に旅ランしたラン友は、
盲導犬をサポートするお仕事もしている。
寄付とボランティアで成り立っていると。
この小説からもその一端がちょこっとうかがえる。 -
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ネタバレダックコール
自然の中に生きる。
蔦屋書店の鳥コーナーで発見。ジャケ買い。蔦屋書店に住みたい。
短編集だと思わずに読み進めたから、最初は構成がわからなかった。
もう少しポップな物語(ペットとしての鳥と人間の愛の物語的な、、)を想像していたけど、全然違った。
自然の中で生きる鳥と、そこにまつわる人間の物語。
・望遠
おちゃめすぎるよ!
若造一人に重大任務を任せる上司たちも上司たちだけど。
映像作品の目玉のシーン。一発撮りでチャンスは一回。森の中で迎える朝日を撮る重大任務。
その緊迫感と、珍しい鳥を見つけた驚きや嬉しさのようなものが対照的に際立っていて面白い。
鳥を見つけたことの純粋な驚きや -
Posted by ブクログ
その目には誇りのごとき鳥がいる/これは男性の琴線に触れるタイプなんではないかという気がする/プロローグの石に描かれた鳥のエピソードで引き込まれた/この早朝しかないという写真を撮ろうとするカメラマン助手の前にめったに見られないシベリヤ・オオハシシギが現れる/猟師のサムは美しいハトの大群と出会い大変な目に遭う/密猟に憧れつつも失敗し続ける男の前に密猟の上手い少年ヒロが現れ弟子入りさせてもらうことになった/ケンは保安官の依頼で三人の脱獄囚を追跡することになった。オーキィとの邂逅がとろけるようにカッコいい/デコイの「俺」と少年ブン。
【一行目】川の流れに手を入れた時だった。ああ、この夏も終るな、とぼ -
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ネタバレ惜しくも亡くなられた稲見一良氏の'93年の作品。
よくこの人の作品は“男のメルヘン”と云われるが本作もまさにそう。大学の頃に読んだ『ダック・コール』の煌きが蘇る。
今回収められた作品は5編。
駆け落ちした女との逃亡途中の男と束の間の休息と食事と癒しをもたらす老人との出逢いの一時を描いた「焚き火」。
雑誌のカメラマンが作家のエッセイを飾る写真を撮りに訪れた花見川で遭遇する軍用鉄道の幻を描く「花見川の要塞」。
ミッションで空撃を受け、車輪が出なくなった爆撃機ジーン・ハロー。胴体着陸をすれば機体下部の銃座にいる仲間が死んでしまう中での奇抜な着陸の顛末を語る「麦畑のミッション」。
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男のお伽話という趣きの短編集です。一人の男が夢を見ているような設定ですが、短編自体に鳥以外の接点はありません。どれもこれも雰囲気の違う話で全く飽きません。
ハードボイルドな雰囲気のものもあれば、ジュブナイルっぽいものもあります。
途中何故か僕の敬愛する野田知佑さんの本の引用も有ったりして、とてもとてもわくわくしました。
そういう副産物を省いたとしても、皆味わい深い短編となっているので、是非皆様に手に取って頂きたい佳作となっています。
狩猟というものが持つ残酷な部分というのは、必ず誰かが処理してくれている血なまぐささを無視する傲慢さとつながっていると思います。自然を破壊するのは自然から命を間引い -
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日本のハードボイルドの中では
伝説的な作品と言われているこの小説。
実はハードボイルドというよりも大人のメルヘンという感じの
優しくてhappyな気分にさせてくれる短編集です。この小説は文体的にはハードボイルドだし
狩猟とかマンハントなんかがモチーフになってるんですが
実は思い切りメロウな大人のメルヘンなんですね。
そしてファンタジー。
魔法使いとかが出て来るわけではないんですが、
苦境に立たされる主人公を救うことになるアイデア
つまり筆者である、稲見一良さんの描く奇跡がなんとも良いんですよ。
暖かくて優しい奇跡を物語の中で描いてくれるんですね。
どんな奇跡なのか?という事を書いてしまうと
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点数は3.5にしたいのだけど、どちらかといえば4寄りといったところ。ハードボイルドの嫌なところが結構出ている。それは、童心とか男の夢といった、男の甘えのようなもの、そもそも童話のようなものをハードボイルドの文体で描くという試みは、そのような甘えを感傷や哀傷であると勘違いしており根本的にまちがっているとしか思えない。その意味で、マンハントの話や子どもとの交流の話は全く受け付けない。
反面、海で遭難していたら亀と鳥がいたという話はとぼけた味わいがあって楽しい。生と死のはざまの厳しさというものも、トビウオを食べるシーンで印象的に表現されている。とぼけた味わいと厳しさのバランスが、実にリアル、
最後の -
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これも長らく絶版の憂き目に遭っていたが、一度復刊された稲見氏の数少ない長編。
夜な夜な歴戦の猛者たちが集うパブ「パピヨン」。そこに現れたレッドムーン・シバと名乗る男がその中の4人の男に勝負を持ちかける。自分と戦って勝てば三千万円を支払うと。
その男達は己の強さと賞金のために勝負に乗り、シバの待つ山へと向かう。
本書はギャビン・ライアルの長編『もっとも危険なゲーム』の本歌取り作品。
勝負に挑む男達はそれぞれ手裏剣の名人、射撃の名手、怪力を誇る元レスラーと、実に戯画化された人物たち。
ブルース・リーの映画にもなっていそうな設定で、この手の内容に荒唐無稽さを感じ、のめり込めない人には全くお勧めで -
Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
“竜門猟犬探偵舎”に奇妙な依頼が舞いこんだ。
動物プロダクションから傷ついた一頭のトナカイとともに一人の少年が失踪、その行方を追ってほしいというものだった。
竜門卓は相棒の猟犬ジョーを連れ、その臭跡を辿りながら有馬の山中へと分け入るが…(「トカチン、カラチン」)。
心優しきアウトローたち。
自らの信念に従い行動する男の美学。
感動の連作短編集。
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