小坂俊史のレビュー一覧
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「四コマ王子」小坂俊史先生の新婚家庭メシネタ非四コマ漫画。複数の意味で「ごちそうさま」な一冊です。
フリーダムに非コミュに独身食生活を送っていた漫画家(ほぼ小坂先生ご自身)が40歳にして同業者(ほぼ王嶋環先生。牛肉エピソードなど育ちが良さそうなイメージ)と結婚し、慣れない2人暮らしの中で食事を作ってもらったり作ったり、食材の買い物に行ったり時に食べに出かけたりの日々を送る。ただそれだけの話なのですが、語り手である作者が長い独身生活で色々拗らせているので、至る所に何とも言えないペーソスが込められていて読み応えがあります。
小坂先生の他のグルメ系作品を読んだ時も思ったのですが、この本を読んでもそん -
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激甘!!!『恋愛ラボ』より甘い漫画がこの世に存在した……。ちょっと咽ちゃう勢いの新婚メシ・ショート集。うまいのが、決してイチャイチャしているわけでもなく、けれど二人でしか乗り越えられない「ささやかな」場面がいくつもあって……甘い……甘い……。
小坂目線から描かれているにも関わらず、どこか「夫」のほうが俯瞰して描かれていて、なんとなく嫁さんのほうから読んでいるような場面がいくつもあり、改めて小坂の観察眼の鋭さが伺える。終盤のほうが二人打ち解けた雰囲気になっていて、チッ、だ(笑)
事情があり二巻は確約されていないそうですが、連載は続いているようなので、ぜひ次も出版されてほしい本。(もちろんネタが切 -
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日本国内にひっそり佇む、様々な「わびれ」物件の紹介・訪問記漫画です。
有名な秘境スポットや廃墟スポットへの訪問録も勿論含まれていますが、見所はそれらよりもむしろ、今現在密やかに生息する物件、あるいはゆるやかに消え去ろうとしている物件に注がれる作者の愛に満ちた視線と、物件の生息する土地やそこに暮らす人々に向き合う誠実な態度にあると思います。
作者の作品の魅力の1つに、ちょっと世間の本流から外れた女の子の、鋭くも温かい視点での描写がありますが、そうした描写に通じるスタンスが、この作品からも存分に感じられます。
なお、本州最東端のトドケ崎訪問編に登場する、宮古市姉吉漁港の「本州最東端の蛇口」は、東 -
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素晴らしい!!! ラストシーンで思わず枕に突っ伏し、声を上げて泣いてしまった。
3冊目が一番自由度が高く、同時に『ふたりごと自由帳』に近い辛辣さがあって、孤独感、人はひとりで生きてゆく、というどうしようもない閉塞がより強かった。だからこそ、3作全部を1本に繋げる、たった8コマのあの破壊力がすごい! 最終回にする、という決意の強さが、一番強いメッセージを引き出していたのかも。
たとえ人間が死ぬまで独りぼっちの存在だとして、それが覆せない真実だとしても、それでも……きっと人は、自分ではない誰かを想うことが出来る。すべては繋がっている。きっと生きてゆけるよ。絶望の向こうの真心がまっすぐと読む人を突き -
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11年夏、18きっぷの旅で遠野に滞在したときに、やけに外装が古い本屋さんで見かけて手に取った一冊。みずしな孝之は知っていたので作者の名前だけは知っていて、なるほど中身もみずしなフォロワーな感じなのですが、とにっかくお話がいい! 普通の漫画では描き出さない見事な“ツボ”を突いて突いて突きまくってくれます。「遠野」という『ちょっと変わった田舎町』の世界観と、だらだらと過ごしながらも少しづつ自分や他人の生き方と向き合っていく主人公たちの淡々とした日々が、面白くて、ちょっとだけせつない。「もろもろの不安・もろもろの後悔」「生まれて初めて子どもが欲しいなんてことを思っちゃって」「なんだよ、ずるいなー」「