渋谷直角のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
古典文学作品のコミックス化の企画はたまに見かけますが、本単行本は太宰治。執筆陣の多様な解釈で、時代ものあり、現代もの(YoutubeやTwitterやスマホも出てくる)ありの面白いアンソロジーになっています。
それにしても「太宰にはツイッターがよく似合う。」
作家さんそれぞれの個性が出ていてどれも面白いのですが、出色だったのは、羽生生純さんの現代版「親友交歓」!まさに羽生生純さんの作品なのですが、まぎれもなく太宰治の「親友交歓」。
マキヒロチさんの作品「恥」もとてもよかったです。漫画家宛に上から目線のウザいリプを送り続ける男。原作と性別が逆転していて、舞台も現代に移っているのですがこの違和感 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容というか、だいたいのイメージはタイトルを見ただけでなんとなくわかるんじゃないかと思う。
「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」
「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」
表題作でクウネルまでネタとして取り込んでしまうのはすごいなあと思った。「有名になりたい 手段は選ばない」と主人公は言うが、両者は遠いようで意外と近いところにあるのかもしれない。「カーミイが冬に向けて欲しいアラジンのストーブ」なんてクウネル女御用達のアイテムだし。
バンプオブチキンに憧れる男の子の作る詩や、お笑いオタクの男の子のお笑い論とか、過剰なほどの「らしい」言葉の数々 -
Posted by ブクログ
「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」
「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」
「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」
「口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画(MASH UP)」
「テレビブロスを読む女の25年」
と、タイトルだけで笑える。
救いようのなさの連続だったり、暗闇のなかをなんとか自力でもがいたり、それぞれのキャラクターの人生が幸せか不幸かなんてことを決着しようとはせず、どうしようもなくこれが自分であり、そこから見える世界を淡々と描こうとしている感じが気に入った。 -
Posted by ブクログ
希望、挫折。悲劇、喜劇。光と影。それらはつねにすでに表裏一体であったりする。
……
「コレ読んでみて」と手渡された本。
「面白いんで」「心に何も残んない」的な前フリをもらっていたせいか、かなり油断して読んでいました。ノーガードの私の心に突き刺さってくる。
これはもう、深い文学性が広がっているではないですか!
読後、肩で息をするような、二度と浮かばない沈む夕日のような感覚に包まれました(ちょっと誇張しました)。
どのように生きたって本源的には構わないけれど、本作の登場人物らの生きざまはとにかく無骨で、それでいてどこか妙なリアリティがある。このもやっとしたような、むわっとしたような読後感は何でし -
Posted by ブクログ
職場の本棚から借りた
デザイナーって本当にクセのある人とか、プライドの高い人が多いんだけど、渋井さんってプライドはあるけど表に出さず、静かに怒ってるような人で
実際にはいないフィクションの人物なんだけど、こう言う人がするデザインはきっと好きだろうなと思った
人に寄り添うのがデザイナーだと思う、エゴの強い人はアーティスト
最初渋井さんが実在する人かと思って、デザイン見たいなと思って調べちゃった
人によく会う仕事だと、声をかけられた人がどこの誰だかわからないみたいなことがたまにあって、
渋井さんにもそういうシーンがあったんだけど
誰だか思い出せない人に会った時の対処法を教えてくれた
「最後に会っ -
Posted by ブクログ
ミュージシャンを目指して活動するも芽が出ないまま35歳になった女が、枕営業の末、インディーレーベルプロデュースのJ-POPのボサノヴァカバーCDのなかの一曲を歌えることになったが……。いい年して夢を捨てきれず、サブカルにまみれて自意識ばかりが肥大した、残念な20代、30代男女の肖像をシニカルな筆致で描く連作短編集。 この短編集に出てくるのは、自分の才能や未来に対する根拠のない自信を持って、「自分は他の連中とは違う特別な存在」という自意識過剰な残念なサブカルクソバカばかり。
タイトル作に出てくるカーミィはシンガーを目指しているが特に表現したいことがあるわけではなく、「手段を問わず有名になってやる