ボリス・ヴィアンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数年前に、この小説を題材に書かれた岡崎京子さんの漫画と、この小説のオマージュ映画『クロエ』を観ていて、両方とも不思議なお話だと思った記憶があります。
特に漫画はこの物語をそのまま漫画化したもので、それが岡崎京子さんの独特のタッチとあいまって、とても印象に残りました。
小説は…たぶん、受け付けない人は全然受け付けないタイプの作品だと感じた。
軸は恋愛小説なのだけど、SFであり、ファンタジーであり、見方によるとサスペンスでもあり。
とにかく不思議。日本人が書く小説ではないなってすごく感じた。(ボリス・ヴィアンはフランスの作家)
ありえない設定も出てくるし、脇役はありえないくらいあっさり死んだり殺 -
Posted by ブクログ
40年前、四人囃子やPRISMのギタリストだった森園さんの♪いつもスモールシガレット 指にはさんで ボリス・ビアンなんか読んでた♪という歌を聴いて、ボリス・ビアンの名前を知り、うたかたの日々を読んだ。
マライヤの清水靖晃さんのアルバム「北京の秋」も持っている。
他人様には何のことやら判らないことだろうけれど、兎も角、本屋で新装丁の本書を見つけ、購入。そうでもなければ読まなかった本である。
帯に「いうまでもないことだが、この作品には『中国』も『秋』も出てこない」とあり、チョッと驚く。
いつまでも通勤のバスの乗れないアマディアス・ジュジュ、殺人の後に隠者になろうとするクロード・レオン、彼に恩寵 -
Posted by ブクログ
昔、小学生の頃か、友達とスイカを一緒に食べているとき、種を飲み込んだら胃の中で芽が吹いて最悪死ぬこともあるんだぜ、という忠告を貰ったことを思い出した。
身体の中でスイカ発芽だとどうしようもない間抜けだが、これが睡蓮の花咲くとなると途端に悲劇的な運命の感が出てくる。
なぜ睡蓮の花が肺に咲くのか一切説明が無いように、この小説はただ作者のイメージの跳躍に任せ読者もそれを味わうことに尽きる。
筆者がトランペット奏者であるのも関係しているのだろうか。作中物語の展開のイメージに合わせて主人公とヒロインの住む家も変形していく様は、ポーを中心としたアメリカ的怪奇趣味をむしろフォローしているかのように思える。
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Posted by ブクログ
内容・構成は凡庸。作品の最初を読んだところで、最後まで見通せてしまうし、特に面白いシーンもない。ボリス・ヴィアンの傑作『うたかたの日々』に比べると見劣りする。ただボリス・ヴィアンの「白人が不快になるような本を書いてやろう」という強い思いが全体に強く出ていてその怨念は面白い。『うたかたの日々』もそうだったけど、ボリスヴィアンは、劇として小説を書くことが非常に上手い。いかに主人公が白人を憎んでいるか、ということを自らの家を燃やしてしまう、というシーンで象徴的に描いているところは、さすが、という感じ。
白い肌を持った黒人、というテーマはたしかデュボイスもなにか書いていたけど、面白いと思った。ネラ=ラ -
Posted by ブクログ
1947年に出版されたボリス・ヴィアンの代表作であり、SF的な世界がフランス流のスノッブさで味付けされた恋愛小説。
富豪の家に生まれた青年コランは、美少女クロエに出会い熱烈な恋愛関係に落ちるが、クロエを肺に睡蓮が成長する奇病にかかってしまう・・・、非現実的な設定で、スラップスティック的なユーモアも溢れる作品世界の中で、唯一コランがクロエを思う気持ちだけはストレートなものとして描かれる。
個人的にはこうしたスノッブな世界観はあまり好きではない。フランスは恋愛小説の宝庫だと言われるが、恋愛小説を殆ど読まない自分にとっては、アンドレ・ブルトンの「ナジャ」くらいの一途さが欲しい。
次は岡崎京子が