ボリス・ヴィアンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めと読み終わりでは全然印象が違う小説。
最初はシュールだなあ、なんて笑いながら読んでいた。
けれども、現実と非現実が絡み合い混じりあうように紡がれる文章が、どんどん笑えなくなってくる。
シュールというよりサイケデリック。
好き勝手に生きているように見えて、生きていくための手段を全くもたない登場人物たち。
奔放に生きるというよりも、緩やかに死んでいくかのように。
自覚のない自傷。
彼らが痛ましくてしょうがない。
自分を生かすことすらままならないクロエ。
クロエを支えたいのに、気持ちばかりでなんの力もないコラン。
ふたりの生は、どんどん小さく儚くなっている。
しかしそれよりも、シック -
Posted by ブクログ
<裕福な青年コランは友人のパーティーで出会った美しい女性クロエと恋におちる。
デュークエリントンの曲と同じ名前の彼女と送る幸せな結婚生活。しかし彼女には・・・>
カズオイシグロの作品は全てハヤカワep文庫より出版~。
ということですっかりハヤカワep文庫支持者になりました。
そしてそれではハヤカワep文庫の他の著者のも読んでみようと買ってみた一冊。
あとがきの書評が小川洋子というわけで。
あらすじはいたって普通というか定番。
しかし「スケートでぶつかり合った人間達の死体は係りの人間が脇へ掃いていった」とか、
「一般家庭の蛇口からうなぎが出てきたのでそれを料理した」等、
奇妙さ、不思 -
Posted by ブクログ
全く同じ内容であるという「うたかたの日々」(ハヤカワepi文庫)は翻訳文に抵抗があって、全く読み進めることが出来なかった。
しかしこの曾根元吉訳の「日々の泡」(新潮文庫)は問題なく読むことができた。日本人作家でも合う合わないがあるから、それの違いかな?
肺に睡蓮の花が咲く奇病に冒されたクロエと、彼女に恋をしたコランの物語なのだけど、シックやアリーズ、そしてニコラと、彼らを取り巻く人々までもが不幸になっていく。
救いのない哀しい物語。
もう少し、彼らに救いがあってもいいのではないだろうか?
シックは致し方ないにしても…。
カクテル・ピアノや素敵なギミックがあちこちに。
部屋や街の様子、物事の描 -
Posted by ブクログ
初めてのシュールレアリズム文学でした。
最初は、コミカルな印象を受けて、本当に面白いのかと思いながら読み進めました。
中盤、斜陽文学の感じが出てきたので、谷崎の細雪に近いものを感じました。
そして、終盤の急展開がまさに悲劇でしたね。読書会では意見が別れましたが、私はラストがとても強く印象に残りました。
シュールレアリズム文学ってどうなのかなと思ってましたが、不思議な現象の描写が、逆に心理描写を際立たせている感じを受けました。
クロエに関しては、悲劇のヒロインなのか、さげまんなのか考えるのはとても面白いと思います。
そして、花が何を象徴してるのかという事も。
カフカの変身の様に、何かの象徴何で