ボリス・ヴィアンのレビュー一覧

  • うたかたの日々

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    一見、ファンタジーでオシャレな小粋な世界観だけど、読み進めてみると、それはけっして生温いお伽話的なモノではなく、あくまでキャラの心情や現実をデフォルメした誇張表現だということに気づく。だから序盤の主人公の恋が成就していく幸運な時期は、まるで世界は薔薇色の装いだけれど、それが次第に上手く立ちいかなくなると、途端に周囲に影が落ちて荒廃していくのである。そこには題名の通り幸福が泡のように儚いモノであり、登場人物が不条理に打ちのめされる様には、どこか実人生とも切り離せない身につまされるリアリティがある。

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    2026年07月25日
  • うたかたの日々

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    本を読んで文章が美しいとか、あまり良く分からないが、この本は文章が美しいと感じた。
    「口の中にまるで熱い揚げ菓子をいっぱいほおばったみたいだった」独特の表現。

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    2026年06月14日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    ⭐︎4と5の間くらい…幻想的で不思議で綺麗だった。
    未来なのかいつなのか、裕福な主人公・コランはクロエに出会って恋に落ちて、結婚するが、クロエの肺に睡蓮が巣くって、彼女を救うために財産を食い潰していく。彼ができる範囲で労働するものの、結局彼女は死に、自分は没落しきり、お金がないために満足も葬式が出せない始末。彼女のためになんとかしていた労働が、不幸配達人ともいうべき職業で、そのせいでクロエが死ぬ1日前にその事実を知ってしまう、という仕掛けも悲しかった。部屋がどんどん縮み、太陽が入らなくなり、人は簡単に死んでいき(しかも復活していなさそう?)、そんなことって起こるの?ということが起こり続ける物語だったが、不思議とすんなり入ってくる。
    友人のシックとアリーズカップルの話も結局悲しく終わってしまった。ネズミちゃんも…。

    好きだったのはやはり前半の幻想的なシーン。
    ピアノを弾くと、曲に合わせてカクテルができるピアノのおしゃれさや、クロエとのデートの描写!

    「私に会えてうれしい?」
    「うん、もちろんさ!……」
    二人は、最初の歩道沿いに、脇目もふらず歩き始めた。小さなバラ色の雲が一つ、空から降りて来て、彼らに近づいた。
    「行くぞ」と雲がいった。
    「行こう」とコラン。
    雲が二人をすっぽりつつんだ。中に入ると熱く、シナモン・シュガーの味がしていた。(p.64)
    こんな情景、描けるなんて…っていう。

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    2025年08月05日
  • 日々の泡

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    所々残酷なところがあり、作中で笑えるところはほぼ無し。退屈ではないが薄気味悪さが漂う。二組のカップルの最後は悲惨すぎた。

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    2025年05月16日
  • お前らの墓につばを吐いてやる

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    文学作品としてめちゃめちゃ面白いかと言われればそうは思わない。レトリックも正直粗雑な印象だしスリラーとしての緊迫感みたいなものも特別ない。タイトルに勝る挑戦的な内容をどうしても期待してしまったわけである。
    ただ、フランス人がデビュー作としてアメリカ人を装い世に出したという本作にまつわるエピソードはまぎれもなく面白いし、終戦後まもない時代の退廃的な風潮が色濃く現れていて、人種差別というどうしようもない社会の暗部につかみかかるような作品であり、そういう意味でこの作品がもつ意味は大きいだろう。解説を読んで、ボリス・ヴィアンの生き様にも興味がそそられた。

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    2023年03月18日
  • うたかたの日々

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    美しいですね
    基本的には純粋に恋をする男女3体3の物語です。
    文が幻想的で浮遊して掴めないような印象がありました。
    それでも熱い恋の話には違いありません
    良き本でした。始まりから終わりにかけて寂しくなってきますが

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    2022年08月05日
  • うたかたの日々

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    コランとクロエの恋の話。人は簡単に死んだり、部屋の大きさが変わったり。そして、クロエの肺には睡蓮が生長するというように物語世界が不思議に彩られている。本当に不思議で滑稽な物語。
    とらえどころがないとも言える。主人公の名前の響きが好きです。

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    2020年03月18日
  • お前らの墓につばを吐いてやる

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    仏人作家が米国の20世紀の人種差別問題をテーマにした小説。若い男が目的に向かって動きだしスピードを上げて一気にゴールに駆け込むような勢いがあり読みやすかった。印象的だったのは、肩のラインが黒人と認識されるポイントになり得るということ。いくら見た目白人でも分かる人には分かるらしい。今でも米国の人種差別問題は根深いなあとニュースを見て思う事がよくある。

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    2019年02月03日
  • お前らの墓につばを吐いてやる

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    絶対的な復讐心。狂えるほどの憎悪。酒と暴力とセックス。
    圧倒的な文体に飲み込まれ、読み進める。私が感情をはさむ余地などない。
    黒人の差別問題に恐怖をいだいた。ラスト2行にやっと複雑な気持ちが沸き起こる。ただただ、知ること学ぶことを私はやっていかなければ。ヴィアンの戦いの一書。

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    2018年09月02日
  • うたかたの日々

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    なんとなく、小洒落た仏版サリンジャーみたいなイメージを持ってたんだけど全然違った。アシッドでサイケ。

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    2018年07月05日
  • お前らの墓につばを吐いてやる

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    黒人の血が混じった主人公リーの白人への復讐劇。
    アルコールとセックスとバイオレンスに彩られた物語の胸に迫る最後の一文。

    ジャズのスタンダード“奇妙な果実”が頭をよぎる。

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    2018年06月21日
  • 日々の泡

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    純粋な愛に生きる登場人物たちの有り様が、幻想文学としての舞台装置と相まって不思議な読書体験を与えてくれる。市井の嫉妬や撓んだ幸せみたいな凡庸さから逃れたく手に取るなら、在り来たりな現実を遠ざけてくれる優れた非日常の媒介。

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    2018年04月22日
  • うたかたの日々

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    これまた「百年の誤読」から。前半折り返すくらいまでは正直結構しんどくて、というかついていけてなくて、四の五の言わずとりあえずこの世界観を受け入れれば良いんだ、と思えるまでに時間を要した。ともすれば強烈にスプラッタ的になる場面が、サラッと流されてたり、唐突に現実離れした発明品が登場したり、とりあえず思いつくものをどんどん投入しましたって味わい。後半はみんな死に急いで、最終的にはそして誰もいなくなった状態。静かなイメージの物語に関わらず、実際には疾風怒濤のようにめくるめく展開でした。ただ、大好物かと聞かれると、う~ん、ちょっと微妙かも。

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    2017年11月27日
  • 日々の泡

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    ネタバレ

    読み始めと読み終わりでは全然印象が違う小説。

    最初はシュールだなあ、なんて笑いながら読んでいた。
    けれども、現実と非現実が絡み合い混じりあうように紡がれる文章が、どんどん笑えなくなってくる。
    シュールというよりサイケデリック。

    好き勝手に生きているように見えて、生きていくための手段を全くもたない登場人物たち。
    奔放に生きるというよりも、緩やかに死んでいくかのように。
    自覚のない自傷。
    彼らが痛ましくてしょうがない。

    自分を生かすことすらままならないクロエ。
    クロエを支えたいのに、気持ちばかりでなんの力もないコラン。
    ふたりの生は、どんどん小さく儚くなっている。

    しかしそれよりも、シック。
    彼は自分が破滅に向かっているのを知っていながら、自分の力では止められない。
    だからアリーズから離れようとするのだが、それに対してアリーズの取った行動。
    シックとアリーズの、気持ちのかけ違いが哀しい。
    警察が踏み込んできたとき、シックの心の一部は解放されたんではないだろうか。

    現実と非現実の入れ替わりが、よい意味で引っかかる。
    咀嚼するのに時間のかかる文章だ。
    そして、私が読んだこの本は、訳が古い。
    それがまあ、いい意味で味になっている部分もあるのだけれど、やっぱりこれはちょっと古すぎるような気がするので、これから読もうと思っている人は早川書房や光文社古典新訳文庫で出ている新しい訳『うたかたの日々』の方で読んだ方がいいかもしれません。
    新訳読んでないから断言はできないけど。

    この本の訳の古さって、例えば
    “電気オーヴンの指針は、七面鳥の焙り焼きにあわせてあり、『ほぼよろし』と『ちょうどよろし』とのあいだを揺れ動いているところだった。もうそろそろ取り出す時間だ。ニコラが緑色のボタンを押した。知覚接触子が始動して、ひっかかりもせずにすべりだすと、その瞬間に指針は『ちょうどよろし』に到達した。”
    1970年って、こんな言葉使ってました?古すぎません?
    知覚接触子って、センサーってことだよね。1970年にはない言葉だったのか。

    ちなみにデューク・エリントンのレコードをかけるのは“電蓄”
    古くない?
    さすがにステレオとかレコードプレーヤーって言ってませんでしたか?

    いろんな意味で面白かった。

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    2016年02月16日
  • うたかたの日々

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     コランとクロエ、シックとアリーズ、どのカップルも純で真っ直ぐに愛し合っているゆえに世界と均衡がとれなくなっていく様子がとても切なかった。肺に睡蓮の花が巣食う奇病にかかったクロエが周りの世界と共に衰弱していく様子に、解説で小川さんがおっしゃっているように、そこから解放されるには死しかないことがひたすらに伝わってくるのも辛かった。「現代でもっとも悲痛な恋愛小説」というキャッチフレーズにも頷ける作品。

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    2015年11月29日
  • うたかたの日々

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    ミシェルゴンドリーの映画を観て、世界観は好きなんだけど見せ方にいまいち入り込めず、本を読んでみました。
    同じ物語の世界なのに、前半と後半でまるで違う光とか温度とか匂いとか。
    そういうものがページから伝わるのがすごいなぁ、と。
    あと逆に映画のアレンジのおもしろさもわかった。
    いやぁ、すごいロマンチックですね。
    肺が苦しくなった。

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    2015年08月16日
  • 日々の泡

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    容姿端麗、有り余る資産、そつのない社交性。
    コランの優雅な愛と凋落の日々。
    シュールで戯画的な描写。
    美しくもあり、残酷でもあります。そして滑稽なのです。
    美しい悲痛な愛の物語の裏に、持たざる者の鬱屈を、シニカルな視線を感じます。
    愛を失い貧乏になったコランは無邪気に問います。
    何も悪いことをしていないのになぜ?と。
    でも彼が恵まれた生活を享受できていた理由も何も無いのです。

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    2013年10月26日
  • 日々の泡

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    最初のうちは真面目に読んでいたので、時折挿し込まれる不可解な表現に戸惑った。
    が、この独特な非現実性を理解すると、それを楽しめるようになった。
    豊かなリリシズムと、優しさと、残虐性の潜む大人のファンタジー。
    愛する人を失いたくなくて気も狂いそうなのに、それ以外の人間をあっけなく殺してしまうのだ。

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    2014年01月07日
  • うたかたの日々

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    現実的でない夢を見ているような…。
    私はこの本が気に行っている。
    胸に睡蓮の花が咲く奇病にかかる主人公の恋人。
    幻想的で美しいが、ある意味残酷な物語。

    映画もいい。
    本同様、たまに見返したくなる。
    幸いなことに、録画したものが手元にある。

    本筋は置いといて、
    この話にはカクテルピアノなるピアノが出てくる。
    ピアノを弾くとカクテルが出来ると言うようなそんな感じのピアノ。
    このピアノが私はとても好きだ。
    私はピアノがそんなにうまい方ではないので、あまりおいしいカクテルが出来ないだろうけど…。

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    2012年10月22日
  • うたかたの日々

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    とても不思議な小説だった。不思議なことが普通なことのように描かれていて最初は戸惑ったが、読んでいるうちに世界に入り込んでいけた。
    肺に睡蓮の花が咲く病気におかされた妻の病状を和らげるために、花を部屋中に置く主人公。花を買うために憂鬱な仕事をする。
    不思議な世界の中にも現実的な世界ときちんとリンクしている感情があり、とても面白かった。

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    2012年07月01日