あらすじ
伝説の作家がアメリカ人を偽装して執筆して戦後間もないフランスで大ベストセラーとなったハードボイルド小説にして代表作。人種差別への怒りにかりたてられる青年の明日なき暴走をクールに描く暗黒小説。
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Posted by ブクログ
ジャズを愛し、黒人を敬愛していたヴィアンの人種差別に対する憎悪が、凄まじい力をこの本に託していると思いまます。
手足の震えが止まりません...。
Posted by ブクログ
文学作品としてめちゃめちゃ面白いかと言われればそうは思わない。レトリックも正直粗雑な印象だしスリラーとしての緊迫感みたいなものも特別ない。タイトルに勝る挑戦的な内容をどうしても期待してしまったわけである。
ただ、フランス人がデビュー作としてアメリカ人を装い世に出したという本作にまつわるエピソードはまぎれもなく面白いし、終戦後まもない時代の退廃的な風潮が色濃く現れていて、人種差別というどうしようもない社会の暗部につかみかかるような作品であり、そういう意味でこの作品がもつ意味は大きいだろう。解説を読んで、ボリス・ヴィアンの生き様にも興味がそそられた。
Posted by ブクログ
仏人作家が米国の20世紀の人種差別問題をテーマにした小説。若い男が目的に向かって動きだしスピードを上げて一気にゴールに駆け込むような勢いがあり読みやすかった。印象的だったのは、肩のラインが黒人と認識されるポイントになり得るということ。いくら見た目白人でも分かる人には分かるらしい。今でも米国の人種差別問題は根深いなあとニュースを見て思う事がよくある。
Posted by ブクログ
絶対的な復讐心。狂えるほどの憎悪。酒と暴力とセックス。
圧倒的な文体に飲み込まれ、読み進める。私が感情をはさむ余地などない。
黒人の差別問題に恐怖をいだいた。ラスト2行にやっと複雑な気持ちが沸き起こる。ただただ、知ること学ぶことを私はやっていかなければ。ヴィアンの戦いの一書。
Posted by ブクログ
黒人の血が混じった主人公リーの白人への復讐劇。
アルコールとセックスとバイオレンスに彩られた物語の胸に迫る最後の一文。
ジャズのスタンダード“奇妙な果実”が頭をよぎる。
Posted by ブクログ
内容・構成は凡庸。作品の最初を読んだところで、最後まで見通せてしまうし、特に面白いシーンもない。ボリス・ヴィアンの傑作『うたかたの日々』に比べると見劣りする。ただボリス・ヴィアンの「白人が不快になるような本を書いてやろう」という強い思いが全体に強く出ていてその怨念は面白い。『うたかたの日々』もそうだったけど、ボリスヴィアンは、劇として小説を書くことが非常に上手い。いかに主人公が白人を憎んでいるか、ということを自らの家を燃やしてしまう、というシーンで象徴的に描いているところは、さすが、という感じ。
白い肌を持った黒人、というテーマはたしかデュボイスもなにか書いていたけど、面白いと思った。ネラ=ラーセンの『白い黒人』とか読んでみようかな。