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Posted by ブクログ
幻想と皮肉と遊びと悲壮の入り交じった、美しいメルヘンです。根底に暗澹とした「不条理」が見え隠れしているところなんかは、いかにも当時のフランスらしい感じもしますが、簡単にフランス文学と一括りにはできないほど力強い作品だと思います。耽美で独特な描写は、このボリス・ヴィアンでしか見たことがありません。
ストーリーだけ追ってしまうとなんだかいただけないのだけど、その見せ方は本当に秀逸です。ストーリーのトーンと同調して、描写の色合いも変化していくところはとても見事でした。おおまかに言うと、前半はライトでファンタジック、透き通った色水のようなのですが、物語が進むにつれてそこに濃紺のインクがぽたりぽたりと滴り、暗く滲んでいくような感じです。
普通の青春群像劇として読むと、現実と空想の境目にあるこの世界観を味わえないどころか、嫌気が差してしまうんじゃないでしょうか。通勤途中に途切れ途切れ、ではなく、休日の晴れた昼下がりに紅茶でも淹れて読み始めるのがいいと思います。
他の作品も読んでみたいなあ。
Posted by ブクログ
再読。もう何度読み返してるかわからない大好きな小説
というか世界でいちばんこの本がすき
あまりにも道化で可笑しいことばかりがあふれるのにどうしてこう悲痛なのかしら
本当に悲しいことは真面目なもののなかよりも、ふざけたものの中にあるのだと思う
幸せな時は全然長続きしないなぁ
そんなことないっていうひと達はとても多いけど、人間関係の脆さと同じくらい壊れやすいものだと思う、私は。
この小説だけが彼の作品の中で飛びぬけて評価されてるのも皆そのことに気付いてるのだと
だからこそ、コランとクロエが二人で過ごした時や、シック、アリーズ、ニコラ、イジス達との楽しい時がよりいっそう、きれいにみえる
酷い小説。残酷で夢も希望も全然ないけど、大好き。
「ぼくは絶望してるが、同時にすごく幸福だよ。この時点でどうでも何か欲しいものがあるってことはすごく気分のいいことだよ」
「彼はクロエを膝にのせた。ふたたび、ふたりはすっかり幸福な感じになっていた。
『ぼくはあんたのどこもかしこも全体を愛してるんだって言ったじゃない』
『それなら、もっとこまかく、どこもかしこも愛してよ」とクロエは、蛇の子みたいに甘ったれて、コランの腕の中に身をすりよせながら言った。」
「人はそう変わるもんじゃない。変わるのは物事だよ」
「コランはもう何もきこえなかった。彼は過去に生きていた。時どき微笑しては何もかも思い出しているのだった。」
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