【感想・ネタバレ】日々の泡のレビュー

あらすじ

愛を語り、友情を交わし、人生の夢を追う、三組の恋人たち――純情無垢のコランと彼の繊細な恋人のクロエ。愛するシックを魅了し狂わせる思想家の殺害をもくろむ情熱の女アリーズ。料理のアーティストのニコラと彼のキュートな恋人のイジス。人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評される最高傑作。

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日々の泡は、コリンっていう主人公とクロエっていう肺に睡蓮が咲く病気にかかった奥さんと、そのほか二組のカップルの話で滅茶苦茶悲痛だった…………

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2024年04月25日

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大学生の時に初めて手に取ってから、何度も読んでいる。美しい幻想、まやかしの世界、どこまでが現実かわからないけど、恋する気持ちだけは本物なんだよね。初めはほの明るくパステル調で色彩豊かなのに、どんどん光が失われて最後は白黒の線描画という感じ。

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2021年06月02日

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初めて読んだのが原文という、今思えばかなりの無茶だったなぁ…

改めて日本語訳を読んだ時、不安だった原文の解釈がそれなりに外れてなかったことに逆に驚き、その時たまたま出ていた課題の仏作文を仏〝小説〟にして提出した(これもかなりの無茶だ)くらいの衝撃を受けた。
変な転換だけど、それくらい挑戦的な文章に思えたのだ。

今でも好きな小説として、最初に挙げる一冊。

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2020年05月24日

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頭の中が色んな絵でいっぱいになった。家が丸くなるのとか、小さくなって行くのはとても微笑ましくて悲しかった。いい作品

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2013年12月08日

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ネタバレ

まず、描写が綺麗、美しい。脳内でその綺麗な映像が細かく、鮮明に思い浮かべられるし、その映像が本当に綺麗。文章力に、脱帽です。ところどころの表現はすこし非現実的で、けど内容はどこか現実味を帯びているような表現だなと思いました。
アリーズとシックの結末、またハツカネズミのこと、残されたコランのこと。すべてなにをとっても切なくて、もう、本当にすてきな小説でした。
ニコラとイジスの話が少なかったのが少し残念かな。でもあの二人はこの後も幸せに暮らしていくんだろうと思うからこそ書かなかったんろうと思いこむ!目に見えてわかるぐらいの展開に持ち込んで、あえてかかない。コランやシックたちのことを読んでいればわかるけど、きっと、幸せルンルンランランっていう小説が書きたかったんじゃないからですよね。
とてもすてきな小説でした。ありがとうございました。

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2015年06月08日

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幻想と皮肉と遊びと悲壮の入り交じった、美しいメルヘンです。根底に暗澹とした「不条理」が見え隠れしているところなんかは、いかにも当時のフランスらしい感じもしますが、簡単にフランス文学と一括りにはできないほど力強い作品だと思います。耽美で独特な描写は、このボリス・ヴィアンでしか見たことがありません。

ストーリーだけ追ってしまうとなんだかいただけないのだけど、その見せ方は本当に秀逸です。ストーリーのトーンと同調して、描写の色合いも変化していくところはとても見事でした。おおまかに言うと、前半はライトでファンタジック、透き通った色水のようなのですが、物語が進むにつれてそこに濃紺のインクがぽたりぽたりと滴り、暗く滲んでいくような感じです。

普通の青春群像劇として読むと、現実と空想の境目にあるこの世界観を味わえないどころか、嫌気が差してしまうんじゃないでしょうか。通勤途中に途切れ途切れ、ではなく、休日の晴れた昼下がりに紅茶でも淹れて読み始めるのがいいと思います。
他の作品も読んでみたいなあ。

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2012年12月16日

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再読。もう何度読み返してるかわからない大好きな小説
というか世界でいちばんこの本がすき
あまりにも道化で可笑しいことばかりがあふれるのにどうしてこう悲痛なのかしら
本当に悲しいことは真面目なもののなかよりも、ふざけたものの中にあるのだと思う
幸せな時は全然長続きしないなぁ
そんなことないっていうひと達はとても多いけど、人間関係の脆さと同じくらい壊れやすいものだと思う、私は。
この小説だけが彼の作品の中で飛びぬけて評価されてるのも皆そのことに気付いてるのだと
だからこそ、コランとクロエが二人で過ごした時や、シック、アリーズ、ニコラ、イジス達との楽しい時がよりいっそう、きれいにみえる
酷い小説。残酷で夢も希望も全然ないけど、大好き。

「ぼくは絶望してるが、同時にすごく幸福だよ。この時点でどうでも何か欲しいものがあるってことはすごく気分のいいことだよ」

「彼はクロエを膝にのせた。ふたたび、ふたりはすっかり幸福な感じになっていた。
『ぼくはあんたのどこもかしこも全体を愛してるんだって言ったじゃない』
『それなら、もっとこまかく、どこもかしこも愛してよ」とクロエは、蛇の子みたいに甘ったれて、コランの腕の中に身をすりよせながら言った。」

「人はそう変わるもんじゃない。変わるのは物事だよ」

「コランはもう何もきこえなかった。彼は過去に生きていた。時どき微笑しては何もかも思い出しているのだった。」

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2012年10月15日

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所々残酷なところがあり、作中で笑えるところはほぼ無し。退屈ではないが薄気味悪さが漂う。二組のカップルの最後は悲惨すぎた。

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2025年05月16日

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純粋な愛に生きる登場人物たちの有り様が、幻想文学としての舞台装置と相まって不思議な読書体験を与えてくれる。市井の嫉妬や撓んだ幸せみたいな凡庸さから逃れたく手に取るなら、在り来たりな現実を遠ざけてくれる優れた非日常の媒介。

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2018年04月22日

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ネタバレ

読み始めと読み終わりでは全然印象が違う小説。

最初はシュールだなあ、なんて笑いながら読んでいた。
けれども、現実と非現実が絡み合い混じりあうように紡がれる文章が、どんどん笑えなくなってくる。
シュールというよりサイケデリック。

好き勝手に生きているように見えて、生きていくための手段を全くもたない登場人物たち。
奔放に生きるというよりも、緩やかに死んでいくかのように。
自覚のない自傷。
彼らが痛ましくてしょうがない。

自分を生かすことすらままならないクロエ。
クロエを支えたいのに、気持ちばかりでなんの力もないコラン。
ふたりの生は、どんどん小さく儚くなっている。

しかしそれよりも、シック。
彼は自分が破滅に向かっているのを知っていながら、自分の力では止められない。
だからアリーズから離れようとするのだが、それに対してアリーズの取った行動。
シックとアリーズの、気持ちのかけ違いが哀しい。
警察が踏み込んできたとき、シックの心の一部は解放されたんではないだろうか。

現実と非現実の入れ替わりが、よい意味で引っかかる。
咀嚼するのに時間のかかる文章だ。
そして、私が読んだこの本は、訳が古い。
それがまあ、いい意味で味になっている部分もあるのだけれど、やっぱりこれはちょっと古すぎるような気がするので、これから読もうと思っている人は早川書房や光文社古典新訳文庫で出ている新しい訳『うたかたの日々』の方で読んだ方がいいかもしれません。
新訳読んでないから断言はできないけど。

この本の訳の古さって、例えば
“電気オーヴンの指針は、七面鳥の焙り焼きにあわせてあり、『ほぼよろし』と『ちょうどよろし』とのあいだを揺れ動いているところだった。もうそろそろ取り出す時間だ。ニコラが緑色のボタンを押した。知覚接触子が始動して、ひっかかりもせずにすべりだすと、その瞬間に指針は『ちょうどよろし』に到達した。”
1970年って、こんな言葉使ってました?古すぎません?
知覚接触子って、センサーってことだよね。1970年にはない言葉だったのか。

ちなみにデューク・エリントンのレコードをかけるのは“電蓄”
古くない?
さすがにステレオとかレコードプレーヤーって言ってませんでしたか?

いろんな意味で面白かった。

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2016年02月16日

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容姿端麗、有り余る資産、そつのない社交性。
コランの優雅な愛と凋落の日々。
シュールで戯画的な描写。
美しくもあり、残酷でもあります。そして滑稽なのです。
美しい悲痛な愛の物語の裏に、持たざる者の鬱屈を、シニカルな視線を感じます。
愛を失い貧乏になったコランは無邪気に問います。
何も悪いことをしていないのになぜ?と。
でも彼が恵まれた生活を享受できていた理由も何も無いのです。

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2013年10月26日

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最初のうちは真面目に読んでいたので、時折挿し込まれる不可解な表現に戸惑った。
が、この独特な非現実性を理解すると、それを楽しめるようになった。
豊かなリリシズムと、優しさと、残虐性の潜む大人のファンタジー。
愛する人を失いたくなくて気も狂いそうなのに、それ以外の人間をあっけなく殺してしまうのだ。

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2014年01月07日

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全く同じ内容であるという「うたかたの日々」(ハヤカワepi文庫)は翻訳文に抵抗があって、全く読み進めることが出来なかった。
しかしこの曾根元吉訳の「日々の泡」(新潮文庫)は問題なく読むことができた。日本人作家でも合う合わないがあるから、それの違いかな?
肺に睡蓮の花が咲く奇病に冒されたクロエと、彼女に恋をしたコランの物語なのだけど、シックやアリーズ、そしてニコラと、彼らを取り巻く人々までもが不幸になっていく。
救いのない哀しい物語。
もう少し、彼らに救いがあってもいいのではないだろうか?
シックは致し方ないにしても…。

カクテル・ピアノや素敵なギミックがあちこちに。
部屋や街の様子、物事の描写などいろいろな部分で、村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のハードボイルド・ワンダーランド部分を想起してしまった。
似てるというわけではないのに。

黒ひげの灰色ハツカネズミが松葉杖をついて歩いてる姿など、映像として見たいと思ってしまった。

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2012年01月24日

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前衛的とか不条理って、こんな感じ?

けっこう好きです。
部屋がシャボン玉みたいに変わるところ。
銃の育成
心臓抜き
最後のねずみの自殺方法

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2011年12月25日

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初めてのシュールレアリズム文学でした。
最初は、コミカルな印象を受けて、本当に面白いのかと思いながら読み進めました。
中盤、斜陽文学の感じが出てきたので、谷崎の細雪に近いものを感じました。
そして、終盤の急展開がまさに悲劇でしたね。読書会では意見が別れましたが、私はラストがとても強く印象に残りました
シュールレアリズム文学ってどうなのかなと思ってましたが、不思議な現象の描写が、逆に心理描写を際立たせている感じを受けました。

クロエに関しては、悲劇のヒロインなのか、さげまんなのか考えるのはとても面白いと思います。
そして、花が何を象徴してるのかという事も。
カフカの変身の様に、何かの象徴何でしょうが、それは何かと考えるのは面白いですね。

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2011年11月29日

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途中までは機械的に読んでいたけれど、後半、坂を転げ落ちていくように不幸になっていく様に引き込まれた。強烈な印象。

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2011年11月28日

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こういうの好き。駆け足で読んでしまったから、もう一度、ゆっくり再読したい。

翻訳がちょっと、ずれているというか・・・。「ナイロン靴下」ってストッキング??他にも随所に、ええっ?と思うような表現で、夢の世界から現実に一挙に戻ってしまうことがあったのがとても残念

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2011年11月18日

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とても素敵な小説だった。水道管のうなぎ、カクテルピアノ、肺の睡蓮などシュールな描写が散りばめられていて「!!?」となるけれど、読むほどにそのきれいで悲しい世界観に吸い込まれていく。静かな狂気がたくさん。きらきらしたものもたくさん。

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2011年04月11日

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言葉遊びに溢れた幻想的な世界で刹那的に生きる若者達。儚さの中にしかない美しさを知っているからこそ、人々はこの物語を愛するのでしょう。

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2021年01月04日

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毎日おしゃれをして、料理人の手の込んだ食事を食べて、乱痴気騒ぎをしている。仕事もしていない若い主人公がお金がなくなったらどうなるのか心配になる。しかもコラン夫婦は労働を馬鹿にしている。まるで『アリとキリギリス』のキリギリスみたいだ。
妻のクロエが倒れたと聞いて慌てているのはわかるが、スケート場の案内人がもたもたしていたから殺すのは怖すぎる。
読んでいくとだんだん、ファンタジー要素の強い本なのだとわかってくる。

蒸気機関、肺に蓮ができて毎日花が必要になる病気、銃は人肌で温めて作る、など要素としては面白いと思うが、好きにはなれなかった。

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2020年11月01日

Posted by ブクログ

読みながら、自分の加齢をひしひしと感じた。昔読んだ時は描写の美しさと、コランとクロエ可哀想!みたいなピュアな感想しかなかったのに、今読むと「お金が無いって本当にツラいよな〜」みたいな感想になってしまう(恋愛部分はさして……。アリーズの肩を持ちたい)。

果たして労働は尊いのか卑しいのか。金が無いと人間的文化的な生活は出来ないという絶望感。俺をすりこぎにしちまった奴!そいつはだれだ!だれなんだ!hey you !(from ヘイ・ユー・ブルース)

昔も今も、イケメン料理人のニコラが好き。

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2015年07月25日

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再読。葬儀の場面とクロエ悪女説以外覚えてなかった。全く印象に残ってなかったけど、結構人が死にまくってたんだ。この世界観はなんかちょっとラリってる感じやね。嫌いじゃないけども。

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2013年08月15日

Posted by ブクログ

輝かしい愛の日々からの肉体と精神の病魔による転落劇というのはいまだ反復され続けているものだが、ただ若いというだけでない、あまりの純粋性がはらむ危うさは、やはりひとをたじろがせる。
死して時代の寵児となったヴィアンの悲痛と諧謔の日々はどんなジャズを奏でていたんだろう。

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2013年07月31日

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「フランス文学の恋愛小説において死ぬのは必ず女」という法則にもれず、深い愛、愛による堕落、生活苦、もお決まり。けれど、椿姫やマノンレスコーと比べるとどことなく若くて甘酸っぱいところ、突然の猟奇的殺人と前ぶれもなく動物が喋り出すファンタジー要素がこの小説の個性であり現代と近代の違い。20世紀の小説はあまり読まないので内容より時代背景が気になる。料理の描写が長いのはなぜ?

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2012年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こまかな描写がひとつひとつロマンチックだったり、おとぎ話だったり、極端に巨大だったり、いろいろと表情が豊か。そして物語も切なくてね。肺の睡蓮が咲いてしまう奇病とか。貧しくなっていく若者たちとか。イマジネーションがたまらなく愛おしいと思わせる。

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2012年06月13日

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「彼は不幸じゃない」・・・「彼には苦しみがある、そのことが私には耐えられないのよ。」

ハナレグミのアルバムに「日々のあわ」っていうのがあって、
それと同じ題名だったから買った。
この作品がアルバムタイトルの由来になってるのかは、知らない。

こういう作品はどうやって楽しんだらいいのか今一つよくわからない。
メルヘンチックというのか、退廃的というのか、
後書きを読んでみると、なるほどすごいのかもと思ったりもするのだけれど、、、
ところどころきれいな描写というか、きれいな想像があったりする。
肺に花が咲いて病に伏せるなんて、素敵だと思うけど、

こういうのは原書で読まないとわからないかな。

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2011年08月13日

Posted by ブクログ

「日々の泡」、もしくは「うたかたの日々」という作品。

『20世紀で一番悲痛な恋愛小説』だったかな?!
っていうキャッチフレーズをひょんなきっかけで聞き、読んでみた本。
『悲痛』ってなかなか言わないし聞かないよねと思いつつ読んでみたら、たしかに悲痛だなと。。
こんな物語を思いつき作品として残せる著者はすごいなと感じました。ボリスヴィアン作品は他にも読んだけど、翻訳者が著者の才についていけなかったのか、文章は難しいと感じました。
※ちなみに、ともさかりえ主演で「クロエ」という邦画もあります。・・・が、この作品を映像化しようと考えるのはエゴとしか言えないでしょう。。

≪コメント≫
本が好きで「一般的にはマイナーだけど実はメジャー」な本が読みたい人は絶対に読んだほうがいいけど、履歴書の趣味欄に書くことがないからとりあえず読書って書くような人には正直お勧めできません。

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2011年01月29日

Posted by ブクログ

フランス文学な感じのまどろっこしさが読んでてしんどかったけど、バスマットに塩を振ったら泡が出てくるとことか、クロエの肺に咲いた睡蓮を他の綺麗な花々で脅すとことか本当に好き。

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2010年10月14日

Posted by ブクログ

不条理を描いた小説を読むのがあまり得意ではないので、途中何度か辛くなってしまった。しかし、ラストのハツカネズミが自殺するシーンが素晴らしくて、嫌な気持ちになったんだか感動したんだかよく分からないことになりました。別に全然愉快なシーンではないのに、どうしてこの場面を気にいってしまったのだろう…。

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2010年10月04日

Posted by ブクログ

ポツ、ポツと湧き出した夢幻の種が、幸福の絶頂とともに
咲き乱れ、強い香りを放ちながら恐ろしい勢いで枯れてゆく
という感じ?
キリスト像とのやり取り、結婚式との対比が切ない。

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2014年10月05日

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