【感想・ネタバレ】日々の泡のレビュー

あらすじ

愛を語り、友情を交わし、人生の夢を追う、三組の恋人たち――純情無垢のコランと彼の繊細な恋人のクロエ。愛するシックを魅了し狂わせる思想家の殺害をもくろむ情熱の女アリーズ。料理のアーティストのニコラと彼のキュートな恋人のイジス。人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評される最高傑作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、描写が綺麗、美しい。脳内でその綺麗な映像が細かく、鮮明に思い浮かべられるし、その映像が本当に綺麗。文章力に、脱帽です。ところどころの表現はすこし非現実的で、けど内容はどこか現実味を帯びているような表現だなと思いました。
アリーズとシックの結末、またハツカネズミのこと、残されたコランのこと。すべてなにをとっても切なくて、もう、本当にすてきな小説でした。
ニコラとイジスの話が少なかったのが少し残念かな。でもあの二人はこの後も幸せに暮らしていくんだろうと思うからこそ書かなかったんろうと思いこむ!目に見えてわかるぐらいの展開に持ち込んで、あえてかかない。コランやシックたちのことを読んでいればわかるけど、きっと、幸せルンルンランランっていう小説が書きたかったんじゃないからですよね。
とてもすてきな小説でした。ありがとうございました。

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2015年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めと読み終わりでは全然印象が違う小説。

最初はシュールだなあ、なんて笑いながら読んでいた。
けれども、現実と非現実が絡み合い混じりあうように紡がれる文章が、どんどん笑えなくなってくる。
シュールというよりサイケデリック。

好き勝手に生きているように見えて、生きていくための手段を全くもたない登場人物たち。
奔放に生きるというよりも、緩やかに死んでいくかのように。
自覚のない自傷。
彼らが痛ましくてしょうがない。

自分を生かすことすらままならないクロエ。
クロエを支えたいのに、気持ちばかりでなんの力もないコラン。
ふたりの生は、どんどん小さく儚くなっている。

しかしそれよりも、シック。
彼は自分が破滅に向かっているのを知っていながら、自分の力では止められない。
だからアリーズから離れようとするのだが、それに対してアリーズの取った行動。
シックとアリーズの、気持ちのかけ違いが哀しい。
警察が踏み込んできたとき、シックの心の一部は解放されたんではないだろうか。

現実と非現実の入れ替わりが、よい意味で引っかかる。
咀嚼するのに時間のかかる文章だ。
そして、私が読んだこの本は、訳が古い。
それがまあ、いい意味で味になっている部分もあるのだけれど、やっぱりこれはちょっと古すぎるような気がするので、これから読もうと思っている人は早川書房や光文社古典新訳文庫で出ている新しい訳『うたかたの日々』の方で読んだ方がいいかもしれません。
新訳読んでないから断言はできないけど。

この本の訳の古さって、例えば
“電気オーヴンの指針は、七面鳥の焙り焼きにあわせてあり、『ほぼよろし』と『ちょうどよろし』とのあいだを揺れ動いているところだった。もうそろそろ取り出す時間だ。ニコラが緑色のボタンを押した。知覚接触子が始動して、ひっかかりもせずにすべりだすと、その瞬間に指針は『ちょうどよろし』に到達した。”
1970年って、こんな言葉使ってました?古すぎません?
知覚接触子って、センサーってことだよね。1970年にはない言葉だったのか。

ちなみにデューク・エリントンのレコードをかけるのは“電蓄”
古くない?
さすがにステレオとかレコードプレーヤーって言ってませんでしたか?

いろんな意味で面白かった。

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2016年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こまかな描写がひとつひとつロマンチックだったり、おとぎ話だったり、極端に巨大だったり、いろいろと表情が豊か。そして物語も切なくてね。肺の睡蓮が咲いてしまう奇病とか。貧しくなっていく若者たちとか。イマジネーションがたまらなく愛おしいと思わせる。

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2012年06月13日

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