あらすじ
【映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」原作】純粋無垢、夢多き青年コランが出会った少女クロエは、肺の中に睡蓮が生長する奇病にかかっていた――パリの片隅で儚い青春の日々を送る若者たちの姿を、優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、現代で最も悲痛な恋愛小説。39年の短い生涯を駆け抜け、様々なジャンルで活躍した天才ヴィアンの代表作。
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儚い美しさという印象。
儚いから美しいのか、美しいものは奇しくも儚いものなのか。
詩を詠むように物語を読んでいく。
とてもユニークな表現は彼が持つ唯一無二のものだろう。
可愛らしい恋愛が悲痛な行方を辿る。
死が鮮やかに描かれることで、死が死でないかのよう。うたかたという言葉通り泡のように消えていく。
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ART-SCHOOL好きだから読んでみた。
独特な表現が最初掴みきれなかったけど、読み進めていくうちに、物語と不思議な言葉の繋ぎから浮かび上がる情景がピッタリ合わさって行く感じ感動した。
こういう純粋さ溢れるロマンスは好きなんだよな
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シュールで幻想的。「ピアノカクテル」「心臓抜き」「嘔吐の形の指輪」など。すぐ人が死ぬし死に方も異常だし、よく考えたら主要人物たちだけが比較的まともなようにも見える。 なんで睡蓮なんだろうなあと花言葉を調べたら「心の純潔」とか「滅亡」みたいな意味があるらしい。なんとなくしっくり来た気がする。美しい。
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大学の卒業論文をこの小説で書きました。正確にはこの小説と岡崎京子先生の漫画版で書いたのです(`・ω・´)フランス文学科だったにもかかわらずフランス文学が苦手だった私。。この作品がなかったら大学を卒業できなかったと思います。ボリス・ヴィアンの描く悲恋。独特の比喩や擬人表現に、戸惑う人が多いですが、一度何も考えずに愛だけを信じて読んでみて欲しい作品。もしどうしても読み進めにくい方は、先に岡崎京子先生の漫画版から読むのもオススメです♪
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ものすごく独特の世界。
1P目からにきびが自発的に引っ込んだりして、もしや誤訳?と思いながら読み進めると、どうやらそういう世界らしい。
こうあるべきが具現化されている、まるで現代アートを読んでいるような感覚になる。これは独特だなぁ。
描写は細かくなく、現実感を欠いている。
結婚するまでは薔薇色ふわふわ。光をひねっちゃうぐらい。
ハネムーンからが暗い。お金を数えだすところからは闇。文字通り光も届かない。
幕切れはいささか急。短い描写だけど、それでも悲しい。
シック、アリーズのサイドストーリーは、これだけ面白ければ大歓迎。
ここでは誰も幸せになれないんだね。
ピアノカクテル、花で治療など、超現実的なアイディアも楽しい。
本作、新潮の「日々の泡」と同内容。
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最近読んでない。から具体的な文章については覚えてないので触れられない。が、中学生の頃からの愛読書。というか、暇で切実で溢れる万能感と閉塞感で酸欠気味にボケーとしてる時に読むべき。
結局、この青春群像で無事に生き残ったのはアメリカ人の料理人だった。
ゆっくり読む時間がないので岡崎京子のまんが盤が便利。
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ずっと探していたものを見つけたみたいに嬉しい。
大好きな、大好きな小説。
全てがパーフェクトです。
あらすじはもとより、純粋と残酷のバランス、エッジの効いたユーモア、美しさ、淡々と壊れていく破滅感。
最高です。
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非現実と現実が混ざり合う一冊。
クロエの肺に睡蓮が咲くという奇病は悲しくも美しい。
貧乏が引き起こす数々の不幸。
いつも読んでいる小説とは違い、世界観に溶け込むのが難しかったけれど、本当に美しい小説だった。
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悲劇的な、あまりに悲劇的な恋愛小説。
これ以上に悲痛な作品を、ぼくは未だ読んだことがない。
"二つのものがあるだけだ。それは、きれいな女の子との恋愛だ。それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽だ。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。"
そんな序文に始まる物語の中で、登場人物はその醜いもの達に踊らされ、右往左往するばかり。醜くない二つのものを守ろうと、身を削ったところで、レコードは擦り切れ、金は尽き、血は流れ、人は死ぬ。
あらゆる恋愛感情は、突き詰めると性欲と依存心と虚栄心に因数分解される。未だ反証を見ないそんな持論を持つ人間にさえ、この作品は悲哀を抱かせる。
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⭐︎4と5の間くらい…幻想的で不思議で綺麗だった。
未来なのかいつなのか、裕福な主人公・コランはクロエに出会って恋に落ちて、結婚するが、クロエの肺に睡蓮が巣くって、彼女を救うために財産を食い潰していく。彼ができる範囲で労働するものの、結局彼女は死に、自分は没落しきり、お金がないために満足も葬式が出せない始末。彼女のためになんとかしていた労働が、不幸配達人ともいうべき職業で、そのせいでクロエが死ぬ1日前にその事実を知ってしまう、という仕掛けも悲しかった。部屋がどんどん縮み、太陽が入らなくなり、人は簡単に死んでいき(しかも復活していなさそう?)、そんなことって起こるの?ということが起こり続ける物語だったが、不思議とすんなり入ってくる。
友人のシックとアリーズカップルの話も結局悲しく終わってしまった。ネズミちゃんも…。
好きだったのはやはり前半の幻想的なシーン。
ピアノを弾くと、曲に合わせてカクテルができるピアノのおしゃれさや、クロエとのデートの描写!
「私に会えてうれしい?」
「うん、もちろんさ!……」
二人は、最初の歩道沿いに、脇目もふらず歩き始めた。小さなバラ色の雲が一つ、空から降りて来て、彼らに近づいた。
「行くぞ」と雲がいった。
「行こう」とコラン。
雲が二人をすっぽりつつんだ。中に入ると熱く、シナモン・シュガーの味がしていた。(p.64)
こんな情景、描けるなんて…っていう。
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美しいですね
基本的には純粋に恋をする男女3体3の物語です。
文が幻想的で浮遊して掴めないような印象がありました。
それでも熱い恋の話には違いありません
良き本でした。始まりから終わりにかけて寂しくなってきますが
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コランとクロエの恋の話。人は簡単に死んだり、部屋の大きさが変わったり。そして、クロエの肺には睡蓮が生長するというように物語世界が不思議に彩られている。本当に不思議で滑稽な物語。
とらえどころがないとも言える。主人公の名前の響きが好きです。
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これまた「百年の誤読」から。前半折り返すくらいまでは正直結構しんどくて、というかついていけてなくて、四の五の言わずとりあえずこの世界観を受け入れれば良いんだ、と思えるまでに時間を要した。ともすれば強烈にスプラッタ的になる場面が、サラッと流されてたり、唐突に現実離れした発明品が登場したり、とりあえず思いつくものをどんどん投入しましたって味わい。後半はみんな死に急いで、最終的にはそして誰もいなくなった状態。静かなイメージの物語に関わらず、実際には疾風怒濤のようにめくるめく展開でした。ただ、大好物かと聞かれると、う~ん、ちょっと微妙かも。
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コランとクロエ、シックとアリーズ、どのカップルも純で真っ直ぐに愛し合っているゆえに世界と均衡がとれなくなっていく様子がとても切なかった。肺に睡蓮の花が巣食う奇病にかかったクロエが周りの世界と共に衰弱していく様子に、解説で小川さんがおっしゃっているように、そこから解放されるには死しかないことがひたすらに伝わってくるのも辛かった。「現代でもっとも悲痛な恋愛小説」というキャッチフレーズにも頷ける作品。
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ミシェルゴンドリーの映画を観て、世界観は好きなんだけど見せ方にいまいち入り込めず、本を読んでみました。
同じ物語の世界なのに、前半と後半でまるで違う光とか温度とか匂いとか。
そういうものがページから伝わるのがすごいなぁ、と。
あと逆に映画のアレンジのおもしろさもわかった。
いやぁ、すごいロマンチックですね。
肺が苦しくなった。
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現実的でない夢を見ているような…。
私はこの本が気に行っている。
胸に睡蓮の花が咲く奇病にかかる主人公の恋人。
幻想的で美しいが、ある意味残酷な物語。
映画もいい。
本同様、たまに見返したくなる。
幸いなことに、録画したものが手元にある。
本筋は置いといて、
この話にはカクテルピアノなるピアノが出てくる。
ピアノを弾くとカクテルが出来ると言うようなそんな感じのピアノ。
このピアノが私はとても好きだ。
私はピアノがそんなにうまい方ではないので、あまりおいしいカクテルが出来ないだろうけど…。
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とても不思議な小説だった。不思議なことが普通なことのように描かれていて最初は戸惑ったが、読んでいるうちに世界に入り込んでいけた。
肺に睡蓮の花が咲く病気におかされた妻の病状を和らげるために、花を部屋中に置く主人公。花を買うために憂鬱な仕事をする。
不思議な世界の中にも現実的な世界ときちんとリンクしている感情があり、とても面白かった。
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<裕福な青年コランは友人のパーティーで出会った美しい女性クロエと恋におちる。
デュークエリントンの曲と同じ名前の彼女と送る幸せな結婚生活。しかし彼女には・・・>
カズオイシグロの作品は全てハヤカワep文庫より出版~。
ということですっかりハヤカワep文庫支持者になりました。
そしてそれではハヤカワep文庫の他の著者のも読んでみようと買ってみた一冊。
あとがきの書評が小川洋子というわけで。
あらすじはいたって普通というか定番。
しかし「スケートでぶつかり合った人間達の死体は係りの人間が脇へ掃いていった」とか、
「一般家庭の蛇口からうなぎが出てきたのでそれを料理した」等、
奇妙さ、不思議さ、アイロニーがこめられた細部が、現実を一部離れたような世界を創造している。
そして最後のストーリー展開。
その結末は、世界観とあわせ、涙というより悲痛な笑顔を読者に抱かせるものでしょう。
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独特の世界観と描写についていくのは大変だけど、少しづつ壊れていく感じは好きだな。
イメージしにくいんだけと、映像的という、ちょっと不思議な感覚だった。
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綺麗な音楽のような小説だと思います。
イメージが現れては膨らみ、飛躍し、変化し、また現れるような感じ。
スケートリンクで頭が飛んでいっちゃう場面はちょっと笑いましたが、そういう突飛さも含めてイマジネーション溢れるのがこの作品の好きなところです。
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数年前に、この小説を題材に書かれた岡崎京子さんの漫画と、この小説のオマージュ映画『クロエ』を観ていて、両方とも不思議なお話だと思った記憶があります。
特に漫画はこの物語をそのまま漫画化したもので、それが岡崎京子さんの独特のタッチとあいまって、とても印象に残りました。
小説は…たぶん、受け付けない人は全然受け付けないタイプの作品だと感じた。
軸は恋愛小説なのだけど、SFであり、ファンタジーであり、見方によるとサスペンスでもあり。
とにかく不思議。日本人が書く小説ではないなってすごく感じた。(ボリス・ヴィアンはフランスの作家)
ありえない設定も出てくるし、脇役はありえないくらいあっさり死んだり殺されたりするし(それなのに殺した側は捕まらない)、その辺りは完全にファンタジー。
空間がゆがむSF。
主人公コランが愛する妻・クロエが抱える病はサスペンス。(肺に睡蓮が咲くという奇病)
物語の冒頭では幸せだった人々が、物語が進むにつれて破滅に向かっていく。
悲しいまでに美しく退廃的なのに、文章のタッチが軽くて、奇妙なギャップがおもしろい。
悲しいしつらい物語だけど、日本特有の湿った情緒みたいなものがないせいなのか、それともこのヴィアンという人の書き方の影響なのか、終始乾いた感触で読みきった。
フランス映画は独特だとずっと思ってきたけれど、フランス小説も同じくなのかも。
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抽象表現に定評のあるフランス文学にチャレンジ。
藤原祐の「レジンキャストミルク」内に登場した殊子先輩のあの本です。
いちいち情景を擬人法で表したり、すごく回りくどい表現が大半なので、想像力が大事。
長文詩かよ、と疑いたくなるけど、恋愛の表現としては率直なのかもしれない。
現実から乖離した架空の設定等(弾くとカクテルができるピアノとか)にワクワクできたら勝ちです。
ワタシはネズミを飼いたくなりました。
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昔、小学生の頃か、友達とスイカを一緒に食べているとき、種を飲み込んだら胃の中で芽が吹いて最悪死ぬこともあるんだぜ、という忠告を貰ったことを思い出した。
身体の中でスイカ発芽だとどうしようもない間抜けだが、これが睡蓮の花咲くとなると途端に悲劇的な運命の感が出てくる。
なぜ睡蓮の花が肺に咲くのか一切説明が無いように、この小説はただ作者のイメージの跳躍に任せ読者もそれを味わうことに尽きる。
筆者がトランペット奏者であるのも関係しているのだろうか。作中物語の展開のイメージに合わせて主人公とヒロインの住む家も変形していく様は、ポーを中心としたアメリカ的怪奇趣味をむしろフォローしているかのように思える。
ちなみに個人的には、主人公・コランとヒロイン・クロエの悲劇よりも、脇役カップルであるシックとアリーズの悲劇の方が実はより現実的で、それ故胸に来るものがある。
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確かに奇妙な作品だった。作者の想像力の突飛さが印象的であり、また未来派っぽい表現が目立った。コランが貧乏になっていくシーンは身につまされた。どうやって映画化したのだろう。
Posted by ブクログ
1947年に出版されたボリス・ヴィアンの代表作であり、SF的な世界がフランス流のスノッブさで味付けされた恋愛小説。
富豪の家に生まれた青年コランは、美少女クロエに出会い熱烈な恋愛関係に落ちるが、クロエを肺に睡蓮が成長する奇病にかかってしまう・・・、非現実的な設定で、スラップスティック的なユーモアも溢れる作品世界の中で、唯一コランがクロエを思う気持ちだけはストレートなものとして描かれる。
個人的にはこうしたスノッブな世界観はあまり好きではない。フランスは恋愛小説の宝庫だと言われるが、恋愛小説を殆ど読まない自分にとっては、アンドレ・ブルトンの「ナジャ」くらいの一途さが欲しい。
次は岡崎京子がこの作品をマンガ化しているので、そっちも読みたい。
Posted by ブクログ
言語でしか表現することのできない空間。私はこの作品に登場するファンタジー的なガジェットが好きである。ピアノカクテルとか心臓抜きとか。サルトルのパロディも笑えた。
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私が最も好きな花に睡蓮があります。
小説作品の中で睡蓮が印象的に登場する作品を調べたらこの作品にあたりました。
しかし読んでみてびっくり、恋愛小説といえばいいのかSFといえばいいのかわからない破天荒さ。
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ある意味、これもセカイ系の一つの形なのかもしれない。あなたと私の関係によって、世界の広さも部屋の広さも伸縮自在。イエスが二人を祝福すれば、それを引き裂くのは肺に咲いた睡蓮の花。徹頭徹尾ロマンチック&サイケデリックな文体で彩られた世界は徹底して非現実的なんだけど、なぜか最後のネコとネズミの会話ですとんと現実に着地する。飲みなれないワインを嗜んでみたような、そんな不思議な読後感。