あらすじ
【映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」原作】純粋無垢、夢多き青年コランが出会った少女クロエは、肺の中に睡蓮が生長する奇病にかかっていた――パリの片隅で儚い青春の日々を送る若者たちの姿を、優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、現代で最も悲痛な恋愛小説。39年の短い生涯を駆け抜け、様々なジャンルで活躍した天才ヴィアンの代表作。
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Posted by ブクログ
ずっと探していたものを見つけたみたいに嬉しい。
大好きな、大好きな小説。
全てがパーフェクトです。
あらすじはもとより、純粋と残酷のバランス、エッジの効いたユーモア、美しさ、淡々と壊れていく破滅感。
最高です。
Posted by ブクログ
⭐︎4と5の間くらい…幻想的で不思議で綺麗だった。
未来なのかいつなのか、裕福な主人公・コランはクロエに出会って恋に落ちて、結婚するが、クロエの肺に睡蓮が巣くって、彼女を救うために財産を食い潰していく。彼ができる範囲で労働するものの、結局彼女は死に、自分は没落しきり、お金がないために満足も葬式が出せない始末。彼女のためになんとかしていた労働が、不幸配達人ともいうべき職業で、そのせいでクロエが死ぬ1日前にその事実を知ってしまう、という仕掛けも悲しかった。部屋がどんどん縮み、太陽が入らなくなり、人は簡単に死んでいき(しかも復活していなさそう?)、そんなことって起こるの?ということが起こり続ける物語だったが、不思議とすんなり入ってくる。
友人のシックとアリーズカップルの話も結局悲しく終わってしまった。ネズミちゃんも…。
好きだったのはやはり前半の幻想的なシーン。
ピアノを弾くと、曲に合わせてカクテルができるピアノのおしゃれさや、クロエとのデートの描写!
「私に会えてうれしい?」
「うん、もちろんさ!……」
二人は、最初の歩道沿いに、脇目もふらず歩き始めた。小さなバラ色の雲が一つ、空から降りて来て、彼らに近づいた。
「行くぞ」と雲がいった。
「行こう」とコラン。
雲が二人をすっぽりつつんだ。中に入ると熱く、シナモン・シュガーの味がしていた。(p.64)
こんな情景、描けるなんて…っていう。