斉木香津のレビュー一覧
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ネタバレ三姉妹の長女が次女を殺害してしまうミステリー。ストーリーは三女の目線から描かれていく。
長女の内面(思考)と外面(行動言動)のバランスの悩みが生きずらさになっている。
そのバランスの中心にあるものは感情で、その思考/感情/行動/言動のバランスの不安定さがそう思わせる。
デメリットに感じる部分ではあるだろうが、自分には逆に魅力に感じる部分でもある。
ひとつひとつ自分を見つめていて、その時の感情をしっかりと刻めている。
取るべき行動はもっとベターなものがあったり、もっとメリットがあるものもあったろうが、そんなのは結果論であり誰も知らない事。
そこに躓き、苦しむ姿は長女の人間らしい魅力かとも感じた。
タイトルが秀逸で「凍花」
最初なんのことか解らず手に取った作品だが、読み終わってみればこれ程しっくりくるタイトルはないのかもと感じた。
場面場面で時間も空間も嘘も真実も凍るような花の姉妹の過去現在未来。
これは上手い表現だなと感じた。
長女と三女の新たに交いだした姉妹の姿に望みを託したい。凍ってしまっていた物や凍らされた物、凍らしてしまった物は徐々に溶かし取り戻していってほしいと願う。
ただ永遠に凍らせてしまった事実だけはどうすればいいのかわからない。
ただ向き合い受け入れ、個人ではなく家族として補うことでその中心にある個人の孤独感や悲壮感は緩和される事はできる気がする。そうしてほしいと願う。
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ネタバレ評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
「あげなクソ婆、弔ってやらんでもいい、とか言うんで」東京の生活に行き詰まった私は、曽祖母の三十三回忌を口実に、大分の実家に帰郷した。曽祖母・匹田サダは、臼杵の裕福な家に生まれながら、昭和二年、数え歳二十のときに野津市村の農家に嫁いできたという。豊臣秀吉似のサル顔と歯に衣着せぬ物言いが災いして、実家を追い出されたらしい。しかし嫁いでからは次々と男の子ばかりを産み落とし、精米所を大繁盛させ女太閤様と呼ばれた。人に嫌われても決して家族を飢えさせず、懸命に働き続けた熱すぎる女の一生とは―。悩みも悲しみも癒えてゆく、人間賛歌!
あっぱれ! -
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ネタバレ姉が一体どのような人物であったのか。どうして実の妹を殺害してしまったのか。
また、どんな人生を送っていたのか。
殺意の有無や、百合のことを知りたくてどんどん読み進めていった。
この本では、特にコミュニケーションの難しさを考えさせられた。
嫉妬、羨望、恐怖、思い違い、捉え違い…。
そして、自責・他責思考。
人がみな持っているであろう感覚を怖がらずに吐き出し、もっと早くに誰かに受け止めてもらうことが必要だったのかも。精神科を使ってでも。
そして、心の黒い部分だけではなく、ポジティブな感情と向き合う時間が増えていたら、悲観的な百合はもっと自分を誇れるようになれたかもしれない。
生きていく中で1番解決しがたい問題なのは、人間関係ではないかと常々考えている。
百合の自信を喪失させた原因の1つとして、イジメがある。
匿名で届いたメールの文面には「百合の態度が悪かったから」「大したイジメではない」という風に書かれていた。
百合自身も、「自分が原因」と思っていたみたい。
でも、海外ではいじめた側にカウンセリングを受けさせるという。
最初に心が荒み、病んでいたのは加害者ではないだろうか。
そして、狭い世界では、なんだか“流れ”ができてしまう。(ここでは学校というコミュニティだった)
決めつけることはできないけれど。 -
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ネタバレ斉木香津著『凍花』は、長女・百合が次女を殺害するという凄惨な事件から幕を開ける。残された三女・柚香が、沈黙を貫く長女の日記を通してその真意を探っていくこの慟哭のミステリーは、心にどうしようもない寂寥感と、そして最後にはかすかな希望の光を落とす。
物語の核となるのは、百合が綴った日記である。皮肉なことに、この日記を書くよう勧めたのは他でもない母親だった。度を越した努力ができ、完璧主義である一方で、他者の気持ちを推し量ることが極端に苦手な百合。その危ういアンバランスさにいち早く気づいていたからこそ、母親は娘の危機に先回りし、寄り添いすぎてしまったのだろう。そこに悪意はなく、ただ「相手を思いやる気持ちのかけ違い」があっただけだ。同じように子を育てる親という立場からこの悲劇の連鎖を見つめると、子育ての正解のなさに途方に暮れ、もはや誰も責めることなどできなくなる。
もし、あの日記の代わりに、彼女に「本」が手渡されていたらどうだっただろうか。
人間関係に不器用で、自意識過剰な人間にこそ本が必要だ。物語の中で様々な他者の人生を疑似体験し、自分の失敗がいかに世の中に影響を与えないかを知ることができれば、「少しくらい失敗したって死にはしない」と、自身の不完全さを許すことができたかもしれない。挫折から立ち直る力を信じ、もっと失敗を表に出させてあげることができたなら、百合の完璧な世界がこれほどまでに悲惨な形で崩壊することは防げたのではないか。
しかし、この物語は絶望だけでは終わらない。ひとつの家族の凄惨な挫折は、やがて不器用な再生の物語へと繋がっていく。
これまで家族の在り方に向き合ってこなかった父親が、事件を機に覚悟を決める姿がその象徴である。周囲から「涙ジジイ」と揶揄されながらも、無様に、そしてありのままの姿で通勤し続ける彼の姿は、ある程度成長した子供に対する親の誠実な向き合い方であり、純粋にかっこいい。親だからといって完璧である必要はなく、その無様さを見せることが家族を繋ぎ止める杭となる。
姉への手紙の中で、「最近のお父さんは外では涙ジジイって呼ばれてるんだってさ」と、柚香がフランクに語りかける場面。深刻ぶって悲劇の枠に閉じこもるのではなく、案外あっけらかんと現実を受け止めるその軽やかさにこそ、家族が確かな再生へと向かっている証がある。
思いやりがすれ違い、一度は凍りついてしまった家族の時間は、無様なありのままの姿を曝け出すことで少しずつ溶け出し、再び結びついていく。どうしようもない寂寥感の果てに見出した「かすかな希望」は、不完全な人間たちが不完全なまま家族を生きていくための、力強い祈りそのものである。 -
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ネタバレ殺された次女梨花と殺した長女百合。なぜ姉2人がそうなってしまったか探る三女の柚花。
周囲からは完璧な姉には家族や他人が知らなかった内面があって哀しくて読んでるうちに辛くなった。柚花を守るために黙秘する姉、真実を知っているか探り入れようとする父、事件後更年期障害が悪化し鬱になる母…。
妹の姉自慢からの日記読んだ時の内容は妹2人には精神的に応えられなかったのと拒絶、こんな百合ではないと受け入れられないといった感じやったけどもし自分に置き換えてみたら怒りの感情が湧いてきて事件当日みたいなことに発展するかもって怖くて哀しい物語だった。
鹿島さんや彼氏の助言、全ての日記を読み終えたら妹たちに憧れて嫉妬していて人間関係が不器用に構築されてる長女なんやなって思った。周りからの完璧な姉とホヤされたら相当プレッシャー感じてたと思うし誰にも相談できないしプライドが邪魔するしで苦労をされてたんやなって思った。 -
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ネタバレ思い出の品、楽しかった記憶、考えていることは違うのに、同じ感情を共有していると思っていた妹は愕然とする。
「あの姉妹が、あんな事件を起こすなんて信じられない」
扉を閉めてしまえば、そこの家がどんな家なのかなんて他人になんて分かるわけないのに。
妹でさえ、事件が起きるまで姉は、私たちを大事にしている、私たちは『三人揃えば、最強の三姉妹』だと思っていたのだから。
姉の日記を読む妹と同じように、読む手が止まらない。姉のもう一つの顔か!?と思ったが、そうじゃない。
人の感情は常にひとつじゃなくてグラデーションなんだよなと気づく。嫉妬していても、羨ましかったり、ムカついていても、大切に思っていたり。
姉の孤独。
友人関係、職場、家族、男性との関係がうまくまわらない、葛藤の日々。
彼女は前を向こうとしていたのに。
歯車が狂う。
妹は、姉の事を完璧な女性だと思っていた。
妹の成長物語でもある。
235ページ-3~12
相手を知ることの意味。
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文章は淡々としていて、登場人物たちの感情も、描かれてはいるけれど抑えめ。
どんなことがあったのかは序章で何となく知らされるので、それがいつどんな風に起こるのかと気にしつつ読んだ。
第一章は、約百年前のできごとと現在のパートが交互に繰り返される。第二章は、数十年前のできごとと、現在のパート。これらがどうつながっていくのかなというところにも興味が湧いたし、なにげない日常を記すような語り口なのにけっこうすごい展開があるので、目が離せなかった。
アゴタ・クリストフさんの「悪童日記」を読んでいた時に近い感覚があった。
静かに驚き続けながら最後まで読み終えた。好きなテイスト。面白かった。 -
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表紙のイラストで今時の話かと思っていたら、戦時下の横浜が舞台だった。容姿の冴えない19歳の真砂代は強引にすすめられたお見合いを受ける。しかし、見合い相手にはずっと思い続けている貴子という年上の女性がいた。
惨めな気持ちになる真砂代だったが、偶然にもその貴子と知り合い家事を手伝うことになる。
働かずにお洒落な洋服に身を包み、庭の花を見ながら絵を描いて過ごす貴子。
誰しもが生きるだけで精一杯だった戦時下に、夫とパリで暮らす為に絵だけを描く貴子を嫉妬しながらも、いつしか彼女の生き方に憧れていく真砂代。
真砂代に一番に完成した絵を見せてくれると言っていた日に空襲が起きた。
家族が疎開し、銭湯を続ける祖父と2人きりの暮らしの中その日を生き延びる為に一生懸命な真砂代にとって貴子の家だけが、桃源郷だったと言う言葉が印象的だった。
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超能力者が出る話が好きで、書店でそんな小説を見かけると手が出てしまう。本書もそう。しかも刑事もの!
でも2つの意味で裏切られてしまう。主人公は超能力を持ってはいるが自由に使いこなさないし、刑事ものといっても捜査ではない。長期休養で訪れている田舎町であがった死体の真相を探ろうとはするのだが捜査ではない。
なんでこんな設定に、こんな展開にしたんだろうと疑問に感じたが、読みすすめるうちに止まらなくなった。そんな結末かと思わせてのさらなる展開が待ち受けてて。んーー、我慢して読み進めて正解ってこともあるんだな。
なんならシリーズ化してほしいとさえ思う。