【感想・ネタバレ】凍花のレビュー

あらすじ

仲の良い3姉妹だったが、長女が次女を殺害した。残された長女の日記を手にした三女は、その動機を探る。――人の本心はどこまで知ったほうがいいのか。知りたいけれど、知らないままでいたほうが幸せなのかもしれない。ある家族をめぐる慟哭のミステリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三姉妹の長女が次女を殺害してしまうミステリー。ストーリーは三女の目線から描かれていく。

長女の内面(思考)と外面(行動言動)のバランスの悩みが生きずらさになっている。
そのバランスの中心にあるものは感情で、その思考/感情/行動/言動のバランスの不安定さがそう思わせる。

デメリットに感じる部分ではあるだろうが、自分には逆に魅力に感じる部分でもある。
ひとつひとつ自分を見つめていて、その時の感情をしっかりと刻めている。
取るべき行動はもっとベターなものがあったり、もっとメリットがあるものもあったろうが、そんなのは結果論であり誰も知らない事。
そこに躓き、苦しむ姿は長女の人間らしい魅力かとも感じた。

タイトルが秀逸で「凍花」
最初なんのことか解らず手に取った作品だが、読み終わってみればこれ程しっくりくるタイトルはないのかもと感じた。
場面場面で時間も空間も嘘も真実も凍るような花の姉妹の過去現在未来。
これは上手い表現だなと感じた。

長女と三女の新たに交いだした姉妹の姿に望みを託したい。凍ってしまっていた物や凍らされた物、凍らしてしまった物は徐々に溶かし取り戻していってほしいと願う。
ただ永遠に凍らせてしまった事実だけはどうすればいいのかわからない。
ただ向き合い受け入れ、個人ではなく家族として補うことでその中心にある個人の孤独感や悲壮感は緩和される事はできる気がする。そうしてほしいと願う。

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2023年04月08日

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ネタバレ

完璧だと思っていた長姉の殺人、そこから辿ることで柚香が、または読み手が見る長姉の人物像の移り変わりがものすごく巧み。既視感のない、展開が読み切れない構成だった。

百合姉が本当に日記そのままの人物で終わっていたら、読後感は最悪だったと思うが、またひとつ捻ったところで落ちたのが良かった。

重い内容だが、登場人物が絞られていてどの人物も分かりやすく、非常に読みやすい言葉の使い方も高ポイント。

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2016年05月28日

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ネタバレ

勘違いと思い込みが最悪の結果になって、切ないな、と思いました。読んだ後、百合の顔が目に浮かびました。
定期的に読みたくなる。

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2025年06月07日

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人は見たいものしかみない。
見せたいものしか見せない。

People only see what they want to see.

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2025年09月12日

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ネタバレ

殺された次女梨花と殺した長女百合。なぜ姉2人がそうなってしまったか探る三女の柚花。
周囲からは完璧な姉には家族や他人が知らなかった内面があって哀しくて読んでるうちに辛くなった。柚花を守るために黙秘する姉、真実を知っているか探り入れようとする父、事件後更年期障害が悪化し鬱になる母…。
妹の姉自慢からの日記読んだ時の内容は妹2人には精神的に応えられなかったのと拒絶、こんな百合ではないと受け入れられないといった感じやったけどもし自分に置き換えてみたら怒りの感情が湧いてきて事件当日みたいなことに発展するかもって怖くて哀しい物語だった。
鹿島さんや彼氏の助言、全ての日記を読み終えたら妹たちに憧れて嫉妬していて人間関係が不器用に構築されてる長女なんやなって思った。周りからの完璧な姉とホヤされたら相当プレッシャー感じてたと思うし誰にも相談できないしプライドが邪魔するしで苦労をされてたんやなって思った。

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2024年01月10日

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人間はなんて不器用な存在なんだろう。自分の中にもある記憶が揺さぶられるような不思議な痛みを感じながらも憑かれたように一気に読んでしまった。読んでいてつらくなりますが間違いなく出会えてよかったと感じました。怖い物語であると同時に慈しみに溢れているという解説もよかった。どれほど話し合っても想像しても自分は自分でしかいられない。だから話し合いたいしわかりたいし努力したい。

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2022年04月30日

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ネタバレ

思い出の品、楽しかった記憶、考えていることは違うのに、同じ感情を共有していると思っていた妹は愕然とする。

「あの姉妹が、あんな事件を起こすなんて信じられない」
扉を閉めてしまえば、そこの家がどんな家なのかなんて他人になんて分かるわけないのに。
妹でさえ、事件が起きるまで姉は、私たちを大事にしている、私たちは『三人揃えば、最強の三姉妹』だと思っていたのだから。

姉の日記を読む妹と同じように、読む手が止まらない。姉のもう一つの顔か!?と思ったが、そうじゃない。
人の感情は常にひとつじゃなくてグラデーションなんだよなと気づく。嫉妬していても、羨ましかったり、ムカついていても、大切に思っていたり。

姉の孤独。
友人関係、職場、家族、男性との関係がうまくまわらない、葛藤の日々。
彼女は前を向こうとしていたのに。
歯車が狂う。

妹は、姉の事を完璧な女性だと思っていた。
妹の成長物語でもある。

235ページ-3~12
相手を知ることの意味。

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2022年02月25日

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三姉妹の長女が、次女を殺害してしまう。
完璧な女性だった長女が、なぜ?三女が真相を探る。

完璧に見えても、人はみんな悩みもあるし、欠点もある。
上手くやろうとして、失敗してしまう事ってよくある。
長女の百合の人生が、辛かった。
もっとラクに生きられたら、こんな事件は起きなかったんだろうなあ。

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2020年05月01日

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三人姉妹の長女が次女を殺害。才色兼備の長女が一体何故…。できる人にはできる人の悩みがあるものですね。

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2020年02月17日

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こういう心の葛藤は誰でも抱えているんじゃないかな。
それでもうまく折り合いをつけて生きてる。
自分の力だけじゃなく、出会った周りの人たちに助けられながら。

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2019年07月21日

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裏表紙のあらすじを見て購入。
綺麗な感じの表紙も中々です。

三姉妹の長女が次女を殺害。
なぜ、あの優しく美しい姉が?三女が主人公となりそのワケを考え探していくミステリー小説です。
感想としては女性特有の色々な感情、ドロドロ感が出ています。
私自身は男三兄弟、関係的にはドライな感じだったので姉妹とはこういう感情が生まれるのかと思いました。
また、知能を持ったが故の人間の複雑さを改めて感じました。

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2018年10月18日

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数年前、SMAPの中居くんがかつてラジオ番組で本作の感想を話したことから、ベストセラーになったそうなのですが、そんなこととはつゆ知らず手に取りました。タイトルとジャケットから暗く冷たい物語が想像されますが、予想に反して(軽くはないけれど)温かみが感じられます。語り手は女子大生なのにキャピキャピしすぎることもなく、不思議に落ち着けると思ったら、著者の年齢が私に近かったからのようです。

女子大生の柚香は三人姉妹の末っ子。柚香と6つちがいの長女・百合は冷静沈着な美人。4つちがいの次女・梨花はちょっとケバいがこれまた美人。柚香にとってふたりはどちらも自慢の姉。近所で評判の仲良し姉妹で、最強の三姉妹だと柚香は自負している。ところがある晩、百合が梨花を撲殺する。百合には「ついカッとなって」などというのはあり得ないこと。腑に落ちない柚香は百合について調べようと思い、百合のブログで情報提供を求める。そこに寄せられた数件のメールには、信じがたいことばかりが書かれていた。やがて百合が隠していたとおぼしき、10年間に渡る日記を発見。読んでみると家族の悪口のオンパレード。優しかった姉がこんなドス黒い感情を抱いていたとは。悲しさと怒りを募らせる柚香だったが……。

見た目だけではわからない、各人にさまざまな苦悩があります。百合は多重人格なのかな、いやそれはつまらなすぎるやろと安直に思いながら読んでいたら、日記の真相があきらかになる段で目の前がかすみました。まさか涙がこぼれ落ちる展開になるとは。家族の中に事件の加害者と被害者がいた場合、残された家族はどうなるのか。より結束するか離れてゆくのか。そんな柚香の言葉にも考えさせられます。あなたたちならきっと大丈夫。そう声をかけたくなりました。読後感も○。

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2017年05月10日

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美しく隙のない長姉が2番目の姉の命を奪った。末の妹は自慢だった長姉がなぜ罪を犯さなければならなかったかを探ろうとする。少しずつ見えてくる長姉の知らなかった姿。
 人は一面だけで判断できないということを改めて思う。丁寧に人を描いている。

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2016年04月01日

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私も末っ子。 よく似た構成、役回りだけに、同じ様な気持ちに。 (三兄弟ですが) 最後にデカイどんでん返しがあると思いきや!完璧主義者の苦悩。 悲しい。

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2015年11月16日

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人に完璧な良い人なんていなくて、本当はどこかで苦労してたり、悩んでたりしている。見えてる部分だけがその人なんじゃなくて、見えない、見せてない裏の部分も含めてその人なんだって気付かされた。

外面だけみて、完璧だって羨むんじゃなくて、その人の努力で隠してる部分があるって考えることもその人に寄り添える一つだなと思った。

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2025年02月16日

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三姉妹の長女が次女を殺した。

…にしては、全体的にサラリとした感じ。ドロドロを期待していたのだが…

動機は何?出できた日記を読み進めるうちに変化する感情。
感情の変化は理解できるところもあり、首を傾げるところもある。母親が理解できず、そうじゃないだろ!とツッコミを入れる。

ただの姉妹喧嘩で済んだはずが、こうなるとはね…
でも、ほぼこうはならない。

解説より「人は自分の信じたいように信じる」
皆がそうなら、それでいいよと思う。二面性なんて誰にでもあるでしょ?表裏一体だよ。当たり前すぎ。
大事な人ならきっとわかってくれる。
裏切られたも幻想。自分が信じたいように信じてるだけ。読みが甘かったわ…で済ますしかない。

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2023年04月19日

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ネタバレ

才色兼備で誰からも憧れられる存在の長女・百合。
その百合が次女を殺害してしまうという物語。
三女の柚香がその理由を探る中、長女が書き綴っていた日記を見つけるのですが、その日記には衝撃的な文章が綴られていたのです。

あー、なんか分かるなー。
だって私も、長女なんだもんなー。でもだからって妹を殺したりはしないけどね。

だけどやっぱり、百合の気持ちにどうしても感情移入してしまうんですよね。

でも他の立場の方が読めば(例えば次女や三女の方)、また違った目線で読めて、違った感想になるんだろうな。きっと。

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2022年02月17日

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ネタバレ

色々突っ込みどころはあれど、終盤まではページを捲る手が止まらないほど面白かった。
ただ、最後が残念だった。

小説の帯に書いてあった『感動』というよりは、末っ子の妹の残酷さに戦慄した。

本気でそう思って姉に手紙を書いたとしたら、恐ろしいほどの憎悪だ。
まさに、長女が内心抱いていた気持ちとドンピシャで。
純粋な悪なのだと感じた。

それとも、妹までもおかしくなったのか?

それなら秀逸ミステリーだと思う。

そうでなく、家族の再生を狙っているとしたら、これほどの嫌味はないな、ということに作者は気づかずに書いていることになる。

だから、やはり、性悪だったのは末っ子だったのだ。
というところに着地した。

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2020年05月05日

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家庭の悲劇から気持ちよく再生する物語だと思っていた。

評判になるほど美しい三姉妹で、姉の百合は長女らしくいわば優等生である。才能を生かしてデザイン会社に勤めて、少し責任のある仕事を与えられるようになっている。

そんな姉が次の姉の梨花をアイロンで殴って殺してしまった。

末娘の柚香は訳がわからない。そこに百合の日記が出てくる。

端正で、やさしく非の打ち所の無いような姉がなぜこんな日記を書いていたのか。

日記には、生々しい本音が綴られていて、家族のことは憎悪もあらわで、おぞましい渾名で書き込んでいる。
それが14年にわたって続いて、犯行後、日記帳は重ねて物置に積んであった。

柚香は驚き、百合の本性に触れてしまうと、家族の顔までが歪んで見える。
今までの生活は何だったのだろう。

と言う事件の発端から残った家族のそれぞれが、日記を読むにしたがって、今までの時間(特に百合の)を振り返ることになる。

どこの家庭でも何かと問題はある。それが小さいか大きいかは別として、何事も無い穏やかな家庭はすくないのではないだろうか。
絆と言ったり家族愛と言って、それなりにバランスが取れているようでも、また世間体と言うものもあってそちら向きの顔もある。
家庭の中に入ると、変わりないように見える日々は血のつながりだけで成り立っているような(と思い込んでいる)輪がある。本能的な親子の愛情がある。それが個人の心の奥にある真実を見えなくする。
家族であっても姉妹であっても、わかると言うのは傲慢で、家族だからと言って支配できるものでもなければ、自由放埓な生活が許されるものでもない、こういう煩わしい(家族と言うもには決まってある)人間のルールや縛りが家族独特の血のつながりなのだろうが、甘えてはいけない。そういう縛りがあってこそ、理解や愛情が他人とは違う濃さがよりどころなのだ。善し悪しとは別にして個人にかえれば、かえって煩わしいものかもしれないとしても。

中には百合のように、外の世界とうまく付き合っていけないものがある。百合のようなケースは、そう珍しいとは思わない。ただ自分と折りあうことができないことがゆり自身の問題で、はき違えたプライドになやんでいることが見えないだけに家族は安心している。しかし、子供のことが何も解らないほどに安心できるものだろうか。気がついたからこそ母親は日記を書くように言ったのだが。イジメに気づいて転校もさせている。しかし
この辺りの書き方は甘いと思う。

j妹を殺したいと言う衝動に自分をなくしてしまうほど悩みの根が深いものだあったなら、母は別として家族のだれも気がつかなかった、百合のほころびが見えなかったというのはおかしい。

現実に起きている様々な事件は、誰も異変に気づかないほど暗くて、根が深いものだろう。さまざまなストレスにさらされている今、想像を超える闇を抱えた人が衝動的にこう言った事件を起こす。そういう現在の社会を通してみれば、百合のような重たい心を抱えながら暮らしている方がいるということは理解しやすい。理解はできても助けることは難しい。作者もむつかしい問題だったのだろう。

この、実に暗いテーマは時代性を抜きにしたら、あまり面白いとは言えない。
異常に醜悪な、それも家族に対して、救いようの無いほどの悪口暴言が吐き出されている日記を読んで、ただ、励まし。理解している振りをしている。情けない母親も書き足りない。母親が鬱なら、父親はどうなのかと考えてしまう。
子供に対する愛情はどう現していいのか解らないことが多い。子供はかわいい。でも子供は子どもの世界を生きている。それをどれだけ理解できるだろうか。それでも気づかないはずはない
子供は成長とともに、親との関係が変化していくことがわかってくる。親には親の生活があり、子供は新しい社会の中で生きていくことを学んで行く。
それが家庭や心の中に溜めこんで、適応できない繭を作った中にこもってしまうと、弱い羽は伸びることが出来ない。
解ることや理解するために、親は時には自分を捨てなくてはならないこともある。教育は自己の確立、自立という。
子供がいつまでも親に手助けされるを辱(親不孝)とする。家族はどこまでも、できるならば血族という暖かい本能を分かちあっていくのがいい。
智恵と言うのはいつ成熟するのだろう。試練を経て学ぶよりないのだろうか、どんな厳しい試練でも。
暖かい家族がいながらでも、人間ってなんて厄介なものだろう。小説は極端であってもいい、稀な出来事で成り立っているが、やはり現実を離れてはいけない。
百合の犯罪の根が見えると、家族は何か安堵した風になる。こんな深い傷を受けた家族はどう再生していくのだろう。そこが軽い。
百合の無残な日常を知りながらなすすべもなく放置し、妹たちは気がつかない。そんな家族が、大き過ぎる罪を背負った百合を見たあと、残った家族は団結し理解しただけで、形ある日常、自分を取り返すことが出来るのだろうか。出来るわけがないと思うが、なにか明るいのも不思議だ。

作風と言いながら、余りに醜悪な百合の内面と、それを許すような終焉。終結は少し理解するのが辛い。

百合の内面とのギャップが興味深く、印象的な作品だと思えるかもしれないが、もう少し厚みと登場人物に対する愛情を期待したい作品だった。

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2019年12月29日

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容姿にも経済的にも恋愛にも恵まれて、誰もが羨む姉妹だったはずなのに。
やっぱり女性同士はどこか、張り合う気持ちがあるのか...?それが姉や、妹とだとしても。

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2019年11月29日

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三姉妹の長女が次女を殺害した事件から幕を開ける本作。概要だけだとイヤミスだが、中身は意外とあっさり。長女の日記を見つけた三女が事件の真相に迫る辺りは「ユリゴコロ」+「イノセント・デイズ」な展開だが、女性作家さんならではの繊細な心情描写が光る一作。他人に期待して逆恨みするのも、完璧主義に苦しむのも、身に覚えがあり過ぎてボディブローの様に効いてくる。完璧を求めるほど、自分も他人も許せなくなるし、自意識過剰にもなる。不完全な自分を許せてこそ他人にも寛容になれる。実際、歳を取るとそうでないとやっていけないのだ…。

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2018年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恵まれた容姿をもって生まれ、すべてにおいて完璧と思われる百合の、息苦しいまでの胸の内を書き綴った日記の部分を読むのは辛かった。
人の心のうちは誰にも推し量れないのに、勝手に虚像を描いてそれと違う部分を見せられると裏切られたと怒る。人って勝手だよね。自意識が肥大し、他人に映る自分の虚像にがんじがらめになって苦しむ百合が切ない。

重苦しい作品だったけど、エピローグの柚香から百合への手紙に救われた。
「私たちは傷ひとつないツルツルのきれいなままで一生を過ごしたいと思っているけど、実際にはいろんなところが欠けたり、傷がついたりして・・・それでも、生きつづけるんだよね。生きるってことそのものが、そういうふうに欠けたり傷ついたりしていくことだから。」
傷を負った百合を家族が迎え、互いに支え合って信頼を取り戻していくことを願う。

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2018年05月26日

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「最強の三姉妹」のつもりだったのに、長女・百合はなぜ次女・梨花を殺してしまったのか?
三女・柚香はその謎を追い、百合を理解するために、百合の本当の姿を探し始める。
「お姉さんてどんな人?」
父親でもいい、母親でもかまわない。
身近にいる家族の誰かについて聞かれたとき、どんなふうに答えるだろうか。
親としての顔しか知らない自分にきっと気づくに違いない。
会社で働く社会人としての顔、親しい友人たちと過ごす中年のおじさんとしての顔、対外的に示す家長としての顔。
どれも慣れ親しんでいる父親としての顔とは違っていることだろう。
いつでも自分を守ってくれる存在。
自慢の姉であり、ずっと一緒に暮らしてきた誰よりも身近にいた存在。
それでも、本当の百合がどんな人間であったのか柚香にはわかっていなかった。
人は誰でも見たいものしか見ない。
柚香は自分が望んでいた姉・百合という虚像を見続けていただけだ。
百合自身がそう仕向けてきたところもあるだろうけれど。
完璧な人間なんているはずがない。
どこかで力を抜き、どこかで息抜きをしなければ神経がまいってしまう。
百合にとっては家庭はその場所ではなかった。
妹たちに向かって自分をさらけ出すことが出来なかったから。
家族の中で一番百合を理解していたのは母親だろう。
異常に高いプライド。相対する繊細で脆い精神。コミュニケーション力がまったくない不器用さ。
要領のよさで幼い頃からピンチを脱してきた柚香には、どんなときでも動じない百合の姿は姉としては理想的に見えただろう。
その裏で百合がどんな思いを抱えていたのか、想像することもしない。
柚香の自分中心な身勝手さが際立つ序盤。
徐々に真実に近づきながらも目を背けようとする中盤。
そして、百合の本当の姿にたどり着く終盤。
柚香の心理的な変化は、そのままどこか怖ろしいものを垣間見ているような居心地の悪さを突きつけてくる。
どんなに身近にいる人でも、本当にその人を理解することは難しい。
これほどの犠牲を払う前にどうにかならなかったのか…とも思う。
でも、梨花の犠牲があったからこそ見えてきたものがあるとも思う。
人というものの恐ろしさと不気味さと、哀れさと悲しさがドッと襲ってくるような物語だった。
人に脅え卑屈になりながらも、高いプライドゆえに日記の中でしか自分と向き合えなかった百合。
彼女の残した日記には血を吐くような叫びが押し込められている。
それはそのまま、誰にでもある意味通じるものがあるのかもしれない。

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2017年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんというか、とても刺激的なストーリーだった。
この作者の本をもっと読んでみたい。
ーーー
三姉妹の長女・百合が次女を殺した。才色兼備で仕事も順調だったはずの百合はなぜ凶行に及んだのか? 残された三女の柚香はその動機を探るが、やがて姉が自分の知らない別の顔を持っていたことを知る。それは、にわかには信じがたいものだった。--完全黙秘を続ける百合。戸惑う柚香。何かを守ろうとする父親。何かを隠そうとする母親。ある家族をめぐる慟哭のミステリー。

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2016年11月17日

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ネタバレ

2016年36冊目。
相手のことを分かっているようで実は分かってないってことはやっぱある。それが家族だとしても。
言ってもすべて伝わるわけじゃないけど、言わなきゃ全く伝わらないわけで、やっぱ辛かったら自ら発信していかないとこういうことになってしまうのかな。
んー、地味に恐ろしい。

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2016年06月12日

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長女が、次女を殺し、三女が理由を探る

人は何を考えているかなんてわからないよね
たとえずっと一緒に暮らしていようと、みんな仮面を被っているのです

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2016年06月05日

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ひと言で言えば長女の苦悩?
自分も長子なので弟妹に弱みを見せられない、親に素直に甘えられない気持ちが少し理解できました。
百合ねえは家族にさえひどい渾名をつけて日記に罵詈雑言を書き綴ることによって、心のバランスをとろうとしていたんでしょうね。
柚香か百合ねえか、感情移入の対象は読者の兄弟構成によって変わりそうです。

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2017年08月29日

Posted by ブクログ

小さな掛け違いからの軋轢がやりきれなくてつらい。自分がよく知ってるつもりだった家族の、次々明かされる側面。思いあたることもあり、読み手の気持ちも揺れる。掛け違ったものも含めて、受け入れるのが家族なんだろうか。

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2016年01月31日

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ネタバレ

おもしろかった~
なんかちょっと泣けてしまった

仲の良い美人三姉妹(みんな成人)
やさしくておしとやかな長女が
はなやかで元気な次女を殺してしまう
三女は長女の力になろうと、もっと姉のことをよく知ろうとして日記を発見し
そこに書かれていた暴言悪口の数々(ちょうこわい)に驚愕し距離を置こうとするけれ
よーーく読めばあらふしぎ
そこに書かれていたのは・・うんぬん

ホラーであり、戦慄の日記と
姉の苦悩と孤独と
起きてしまった悲劇
みたいな

おもしろかったー

ひとが何を考えてるかとか自分をどう思ってるかとか
わからないといいつつ
わかってると思いがちだけど(きょうだいや家族なんかとくに)
そうじゃなかったと知った時の衝撃
でもまあこれはわざと悪く書くカウンセリングみたいな役割もあっての罵詈雑言だったんだろうけど

こっわいよねーーー><

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2016年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長女の人物像が変化していくあたり、どんでん返しのような感覚もあり。最後にもう一つくらいひっくり返るかと思ったけど(実は殺したのは母だった…とか)、それは無かったな。

ラスト近くで父親の苦悩が現れる場面が、一番心に染みました。父は父で、家族を守るという役割を必死に果たしてたんだ。
なのに柚花、さらっと流し過ぎでしょう。もっと大人になってください。

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2015年11月15日

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