斉木香津のレビュー一覧

  • 凍花

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    容姿にも経済的にも恋愛にも恵まれて、誰もが羨む姉妹だったはずなのに。
    やっぱり女性同士はどこか、張り合う気持ちがあるのか...?それが姉や、妹とだとしても。

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    2019年11月29日
  • 幻霙

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    派遣の仕事で行った倉庫で知り合った蒼太と桃里は会ったその日から一緒に暮らしている。蒼太目線の「Blue」の章と桃里目線の「Pink」の章が交互に綴られる物語は、二人の一見平穏な日常を描きながら、どこかざらついた印象がぬぐいきれない。
    蒼太が幼い頃から母から受けた仕打ちが徐々に明らかになるとき、それが無差別殺傷事件を起こした犯人の境遇と重ね合わさり、何かが起こりそうな不穏さに読むのをやめられない。

    当初は、穏やかで気配りのできる優男の印象だった蒼太が、章が進むごとに違う一面を見せるその過程が同じ斉木さんの作品である「凍花」を彷彿とさせる。
    どこか狂気じみた母親からの虐待ともいえる仕打ち、父親の

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    2019年07月11日
  • 凍花

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    三姉妹の長女が次女を殺害した事件から幕を開ける本作。概要だけだとイヤミスだが、中身は意外とあっさり。長女の日記を見つけた三女が事件の真相に迫る辺りは「ユリゴコロ」+「イノセント・デイズ」な展開だが、女性作家さんならではの繊細な心情描写が光る一作。他人に期待して逆恨みするのも、完璧主義に苦しむのも、身に覚えがあり過ぎてボディブローの様に効いてくる。完璧を求めるほど、自分も他人も許せなくなるし、自意識過剰にもなる。不完全な自分を許せてこそ他人にも寛容になれる。実際、歳を取るとそうでないとやっていけないのだ…。

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    2018年06月20日
  • 凍花

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    ネタバレ

    恵まれた容姿をもって生まれ、すべてにおいて完璧と思われる百合の、息苦しいまでの胸の内を書き綴った日記の部分を読むのは辛かった。
    人の心のうちは誰にも推し量れないのに、勝手に虚像を描いてそれと違う部分を見せられると裏切られたと怒る。人って勝手だよね。自意識が肥大し、他人に映る自分の虚像にがんじがらめになって苦しむ百合が切ない。

    重苦しい作品だったけど、エピローグの柚香から百合への手紙に救われた。
    「私たちは傷ひとつないツルツルのきれいなままで一生を過ごしたいと思っているけど、実際にはいろんなところが欠けたり、傷がついたりして・・・それでも、生きつづけるんだよね。生きるってことそのものが、そうい

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    2018年05月26日
  • 40歳の言いわけ

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    『40歳になったら同窓会をしよう』
    高校3年生の時に交わされた約束を思い出した久保健一は、同窓会を主催する。
    ところが開始時刻になっても現れないクラスメート達。

    そのころクラスメート達は、各々、同窓会にこられない事情を抱えていた!?
    「横領」「DV」「不倫」などなど、
    人生の折り返し地点に差し掛かり、悩み、もがく男女の葛藤が面白おかしく書かれていた。

    しかし、みんながみんな来られないとは...
    どれだけ問題の多いクラスなんだろう(笑)

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    2018年05月21日
  • 40歳の言いわけ

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    40歳といえば、一般的に、人生の絶頂期でしょうか。高校3年の時、40歳になったら同窓会をやろうと言ったことに従い、当時の学級委員長が幹事になって開催。幹事が会場で待ち、時間が迫ってくるも、出席予定の誰も顔を見せない。同窓会当日、出席予定者の、それぞれの「大事件」を物語にした作品。奇をてらった感はありますが、そこそこ面白かったです。斉木香津 著「40歳の言いわけ」、2016.8発行です。

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    2017年07月24日
  • 40歳の言いわけ

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    40歳になり、高校の同級生で同窓会をしようということになった。当日、幹事の久保健一は店で皆を待つが一向に誰もやってこない。参加者たちはそれぞれ事情をかかえているようで……。

    ママ友トラブルに横領、DV妻に後妻業……それぞれのエピソードはそれなりに面白かったのだけど投げっぱなしでなあ……まあ40にもなれば人生いろいろあるよねってことなのかな。

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    2017年07月08日
  • 40歳の言いわけ

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    同窓会を開く主人公。来てくれると期待するがなぜか誰も来てくれない。あの人はくる・・・と思っていた人たちはいったいどうして同窓会に出られないのか、同窓会に来ない人たちの「いいわけ」が語られる。40歳にもなれば色々あるのだろうとは思ったが、ちょっとハプニングが多くてリアル感が少なかったような。そもそも6人しか出てこず、他の人たちが欠席って同窓会の人数少な過ぎないか?というツッコミが読後最初のツッコミだった。

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    2017年05月21日
  • 踏んでもいい女

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    まだ100年にも満たない昔、日本は戦争をしていた。
    普通に暮らしている場所が戦場になって、飛行機がたくさんの焼夷弾を落としたり機銃照射で多くの人が殺されていった。
    非戦闘員が住んでいるとわかっている場所を、何のためらいもなく「戦争だから」という理由だけで攻撃できる。
    それこそが戦争の悲劇なのかもしれない。
    戦時下であるにも関わらず悠々自適の生活を送る貴子。
    みんなが食べるものにも困っているときに、働くわけでもなく、ただ食べて絵を描くだけの生活。
    雑草を摘み、ひよこを育て、真砂代が祖父との生活のために苦労しているときも、貴子がいる家だけは別世界だった。
    掃除を引き受ける代償が貴子からのお礼の言葉

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    2017年03月15日
  • 凍花

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    「最強の三姉妹」のつもりだったのに、長女・百合はなぜ次女・梨花を殺してしまったのか?
    三女・柚香はその謎を追い、百合を理解するために、百合の本当の姿を探し始める。
    「お姉さんてどんな人?」
    父親でもいい、母親でもかまわない。
    身近にいる家族の誰かについて聞かれたとき、どんなふうに答えるだろうか。
    父親としての顔しか知らない自分にきっと気づくに違いない。
    会社で働く社会人としての顔、親しい友人たちと過ごす中年のおじさんとしての顔、対外的に示す家長としての顔。
    どれも慣れ親しんでいる父親としての顔とは違っていることだろう。
    いつでも自分を守ってくれる存在。
    自慢の姉であり、ずっと一緒に暮らしてきた

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    2017年03月13日
  • 凍花

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    ネタバレ

    なんというか、とても刺激的なストーリーだった。
    この作者の本をもっと読んでみたい。
    ーーー
    三姉妹の長女・百合が次女を殺した。才色兼備で仕事も順調だったはずの百合はなぜ凶行に及んだのか? 残された三女の柚香はその動機を探るが、やがて姉が自分の知らない別の顔を持っていたことを知る。それは、にわかには信じがたいものだった。--完全黙秘を続ける百合。戸惑う柚香。何かを守ろうとする父親。何かを隠そうとする母親。ある家族をめぐる慟哭のミステリー。

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    2016年11月17日
  • 40歳の言いわけ

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    40歳を迎えた年に久保健一は高校3年生の時の約束を思い出し、同窓会の幹事をすることに。

    同窓会の返信には、参加となっているのに開始時間になっても会場の居酒屋に現れない同級生たち。
    彼ら彼女らを待ちつつ、返信はがきを見てどんな人だっけ?と思ったり、あいつなら、と思ったりしつつ時間が過ぎていく。

    一方で参加の返信をしたものの、【ある事情】があって会場に行けなくなっている同級生、恩師のまさに今!が同時進行で書かれています。

    高校生から23年。40年たった今、同級は一人も参加できないのか?それとも旧交を温めることができるのか。
    それぞれの人生、いろいろが書かれています。

    はじめて読んだ作家さん

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    2016年11月11日
  • 凍花

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    ネタバレ

    2016年36冊目。
    相手のことを分かっているようで実は分かってないってことはやっぱある。それが家族だとしても。
    言ってもすべて伝わるわけじゃないけど、言わなきゃ全く伝わらないわけで、やっぱ辛かったら自ら発信していかないとこういうことになってしまうのかな。
    んー、地味に恐ろしい。

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    2016年06月12日
  • 凍花

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    長女が、次女を殺し、三女が理由を探る

    人は何を考えているかなんてわからないよね
    たとえずっと一緒に暮らしていようと、みんな仮面を被っているのです

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    2016年06月05日
  • 凍花

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    ひと言で言えば長女の苦悩?
    自分も長子なので弟妹に弱みを見せられない、親に素直に甘えられない気持ちが少し理解できました。
    百合ねえは家族にさえひどい渾名をつけて日記に罵詈雑言を書き綴ることによって、心のバランスをとろうとしていたんでしょうね。
    柚香か百合ねえか、感情移入の対象は読者の兄弟構成によって変わりそうです。

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    2017年08月29日
  • 踏んでもいい女

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    ネタバレ

    タイトルに惹かれて。
    カバー絵や裏表紙の説明書きを見た感じでは今時の「踏まれやすい女あるある話」かと思いましたが、そうではなくて戦時中のある魅力的な女性を描いた物語でした。

    貴子の発言や思想には現代にも通じるものを感じ、うなずける部分が多々ありました。
    しかし、そんな独自の思想を持っていた彼女も戦火の下には無力で、たくさんの人と同じように惨い亡くなり方をしてしまった……。

    色々な意味で期待を裏切られた作品でした。

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    2016年10月12日
  • 凍花

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    小さな掛け違いからの軋轢がやりきれなくてつらい。自分がよく知ってるつもりだった家族の、次々明かされる側面。思いあたることもあり、読み手の気持ちも揺れる。掛け違ったものも含めて、受け入れるのが家族なんだろうか。

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    2016年01月31日
  • 凍花

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    ネタバレ

    おもしろかった~
    なんかちょっと泣けてしまった

    仲の良い美人三姉妹(みんな成人)
    やさしくておしとやかな長女が
    はなやかで元気な次女を殺してしまう
    三女は長女の力になろうと、もっと姉のことをよく知ろうとして日記を発見し
    そこに書かれていた暴言悪口の数々(ちょうこわい)に驚愕し距離を置こうとするけれど
    よーーく読めばあらふしぎ
    そこに書かれていたのは・・うんぬん

    ホラーであり、戦慄の日記と
    姉の苦悩と孤独と
    起きてしまった悲劇
    みたいな

    おもしろかったー

    ひとが何を考えてるかとか自分をどう思ってるかとか
    わからないといいつつ
    わかってると思いがちだけど(きょうだいや家族なんかとくに)

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    2016年01月24日
  • 凍花

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    ネタバレ

    長女の人物像が変化していくあたり、どんでん返しのような感覚もあり。最後にもう一つくらいひっくり返るかと思ったけど(実は殺したのは母だった…とか)、それは無かったな。

    ラスト近くで父親の苦悩が現れる場面が、一番心に染みました。父は父で、家族を守るという役割を必死に果たしてたんだ。
    なのに柚花、さらっと流し過ぎでしょう。もっと大人になってください。

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    2015年11月15日
  • 踏んでもいい女

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    ネタバレ

    最初、タイトルの意味を踏んでも→いい女(踏まれても尚)と勘違いしました。。。
    踏まれてもいいと思われている、みじめな女、という意味でしたが、主役はどちらかというと「貴子」という風変わりな美人に重点が置かれているような気がしました。
    時代背景が現代でなく、戦時中がメインで、とろいと言われていた真砂代が貴子と出会って意識に変化が。絵ばかりかいて人に家事をさせて、贅沢ばかりが目につき、自分勝手に見えて高飛車な貴子に反感を持ちつつも最後は好きになっている。
    現代を生きる私からすると、真砂代のほうが最初からあまり好感を持てない気がした。
    対照的な二人を描いているので、どうなっていくのか先は気になりながら

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    2014年05月15日