斉木香津のレビュー一覧
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数年前、SMAPの中居くんがかつてラジオ番組で本作の感想を話したことから、ベストセラーになったそうなのですが、そんなこととはつゆ知らず手に取りました。タイトルとジャケットから暗く冷たい物語が想像されますが、予想に反して(軽くはないけれど)温かみが感じられます。語り手は女子大生なのにキャピキャピしすぎることもなく、不思議に落ち着けると思ったら、著者の年齢が私に近かったからのようです。
女子大生の柚香は三人姉妹の末っ子。柚香と6つちがいの長女・百合は冷静沈着な美人。4つちがいの次女・梨花はちょっとケバいがこれまた美人。柚香にとってふたりはどちらも自慢の姉。近所で評判の仲良し姉妹で、最強の三姉妹だ -
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戦時中の横浜で暮らしている19歳になる真砂代はパッとしない容姿の性格も地味な娘。ある日紹介で見合いをするが、その男はろくに話もせず、貴子という見知らぬ女性と比較して席を立ってしまう。貴子は自分は踏んでも構わない女だと皆から思われていると悲しく思った。
ある日ひょんな事で貴子の家を掃除する役割をすることになった真砂代は、その贅沢で勝手な貴子に反発を覚えながらも、彼女の描く絵や、結婚の馴れ初めなどに触れる度に次第に惹かれていくのを感じていた。
そんな刺激ある毎日を送るうちにも、本土に戦火は迫り彼女達の運命を大きくかえていくのでありました。
とても良い本でしたが、あらすじでわざと衝撃のラスト的な事 -
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三姉妹の長女が次女を殺した。
…にしては、全体的にサラリとした感じ。ドロドロを期待していたのだが…
動機は何?出できた日記を読み進めるうちに変化する感情。
感情の変化は理解できるところもあり、首を傾げるところもある。母親が理解できず、そうじゃないだろ!とツッコミを入れる。
ただの姉妹喧嘩で済んだはずが、こうなるとはね…
でも、ほぼこうはならない。
解説より「人は自分の信じたいように信じる」
皆がそうなら、それでいいよと思う。二面性なんて誰にでもあるでしょ?表裏一体だよ。当たり前すぎ。
大事な人ならきっとわかってくれる。
裏切られたも幻想。自分が信じたいように信じてるだけ。読みが甘かった -
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異能を持つ女性捜査官を主人公にしたシリーズの第一弾らしい。異能は物語のラストで、ある登場人物の心情を明らかにするためぐらいにしか使われず、お話の中で浮いている感じ。続刊の惹句を見る限り、シリーズが進むにつれて、使い方はこなれていっているようだ。癖のある登場人物が多く、短めのページ数の中に、これでもかとばかりに、ややこしい人間関係が詰め込まれていて、半ば呆れてしまうほど。この手が好きな人には楽しめそう。ただ、物語のエンジンになるエピソードが、オチ的に扱われて、ラスト近くまで伏せられているので、少女の事件へ執着が異様で、無理矢理感のある筋の運びになっている感はある。
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ネタバレ色々突っ込みどころはあれど、終盤まではページを捲る手が止まらないほど面白かった。
ただ、最後が残念だった。
小説の帯に書いてあった『感動』というよりは、末っ子の妹の残酷さに戦慄した。
本気でそう思って姉に手紙を書いたとしたら、恐ろしいほどの憎悪だ。
まさに、長女が内心抱いていた気持ちとドンピシャで。
純粋な悪なのだと感じた。
それとも、妹までもおかしくなったのか?
それなら秀逸ミステリーだと思う。
そうでなく、家族の再生を狙っているとしたら、これほどの嫌味はないな、ということに作者は気づかずに書いていることになる。
だから、やはり、性悪だったのは末っ子だったのだ。
というところに着 -
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家庭の悲劇から気持ちよく再生する物語だと思っていた。
評判になるほど美しい三姉妹で、姉の百合は長女らしくいわば優等生である。才能を生かしてデザイン会社に勤めて、少し責任のある仕事を与えられるようになっている。
そんな姉が次の姉の梨花をアイロンで殴って殺してしまった。
末娘の柚香は訳がわからない。そこに百合の日記が出てくる。
端正で、やさしく非の打ち所の無いような姉がなぜこんな日記を書いていたのか。
日記には、生々しい本音が綴られていて、家族のことは憎悪もあらわで、おぞましい渾名で書き込んでいる。
それが14年にわたって続いて、犯行後、日記帳は重ねて物置に積んであった。
柚香は驚き、