毎日新聞科学環境部のレビュー一覧
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日本はもはや科学先進国ではない!?という感じの本。
「日本を抜かせ、米国に追いつけ!」と言わんばかりに政策として科学を重要視する、韓国・中国。官僚制が硬直化や、意思決定に長い時間をかけるシステムになってしまった日本と違い、即断即決でバイオ面で猛追撃をかけるシンガポール。
それに対し、日本に打つ手はあるのか?新聞社が書いているだけの事があり、片方の意見に寄りすぎることもなくバランスよい。
日本の問題点は、ハード面重視でソフト面が軽視されること。アジアの諸外国と違い、危機感が若者に少ないこと。ハードスキームの硬直化が挙げられるのかもしれない。イノベーションは、異なるバックグラウンド -
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毎日新聞科学環境部が、この国の高度経済成長を支えながらも、文系に比べ待遇面などで報われていない「理系」について、多くの人の話を聞きまとめたレポート「理系白書」の文庫版。
「理科離れ」が叫ばれて久しいが、文系社会の日本における科学技術者の待遇の悪さには本当にあきれる。青色発光ダイオードの中村氏の裁判は有名だが、見えないところでそういった苦汁を舐めさせられた人も数多くいることだろう。
しかしながら、決して文系だけを責めることはできないのではないか。理科を「経験」としてではなく、ただの「知識」としてしか教えない日本の初等教育。そういった人間が成長し、教える立場に立つことで、この悪循環は繰り返される -
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理系白書2!
前作は理系が報われないというセンセーショナルな内容でした。
今回は、文系、理系という枠決めが生徒達の多様な興味を制限してしまうのではないかと問題提起している。
この議論はこれまでもされてきたと思うが、「自分は文系だから科学はちょっと…」や「自分は理系だから文章を書くのは…」といった勝手にカテゴリー分けによって頭から無理としてしまう人を警鐘する。
現代は前世紀のようなカテゴリー化では解決できない問題が山積している。環境問題や生命科学ひとつとってみても、科学だけでなく法や政策などについても知見がなければ解決に至らない。
多様な知識が必要にもかかわらず、文系理系間に壁が -
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二〇〇六年、中国人研究者の発表論文数は米国に次いで世界二位となった。引用された論文数や引用回数では、まだ日本が多いものの、理学分野では抜かれるのも時間の問題だ。工学分野においても、韓国をはじめとする電機メーカーに、シェアで抜かれている。日本人研究者は、今何をすべきなのか。
研究室の先輩が置いていった本。科学技術が国を支える上で大事、しかし日本に置ける科学者技術者の扱いが低い。という一作目と似た内容。海外に技術者が流出していき、日本の国力が下がる。それを防ぐにはどうしたらいいかという話。色々な話があり読み応えがあった。
理系白書の三冊は(特に高校生に)是非ともすすめたいと思える本であった。 -
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日本では、理系と文系の選択を高校でしなければならない。これは受験に有利だからだ。その結果、大人の科学知識は欠如し、日本企業の技術力は低下している。給与、待遇が有利だと文系職種を選んだ理系卒業者は、文系カルチャーの企業社会のなかで、どう生きるのか。科学の意味を問う。
研究室お先輩が置いていった本。これは高校教育に対する警笛という印象が強い。母校では文理分けられるのが三年生の頃で一年二年の間に現代社会・地理・日本史・世界史、生物・化学・物理、数学Cを全部やった。当時は受験に使わないし……と適当に済ませてた部分が多分にあったのだが、なんやかんや受験に使わない勉強も大事だと気付いたのは大学入ってから -
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日本の高度経済成長を支えながらも、文系優位の社会で、その存在がかすみがちな「理系」。深刻な科学離れが叫ばれるいま、その地位、報酬、研究、カルチャー、教育、結婚など、理系のすべてを初めて浮き彫りにした渾身のレポート。果たして、理系は報われているか?〈第1回科学ジャーナリスト大賞受賞〉
研究室お先輩が置いていった本。理系は報われないとはよく聞く話。とくに理系女子は大変。高校一年の秋ぐらいにこういう本を読んでいればな……と思った。それでもまず間違いなく理系に進んだけれども。この本が出てから10年ほどたったけれども、多少改善されたとはいえ、なんやかんや日本は今でも技術者に対する扱いはまだ悪いと思う。