【感想・ネタバレ】「理系」という生き方 理系白書2のレビュー

あらすじ

好奇心の芽を摘む文系教育の弊害。文系社会での生き方――日本では、理系と文系の選択を、高校でしなければならない。これは、受験に有利だからだ。その結果、大人の科学知識は欠如し、日本企業の技術力は低下している。給与・待遇が有利だと文系職種を選んだ理系卒業者は、文系カルチャーの企業社会のなかで、どう生きるのか。科学の意味を問う。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

理系白書2!

前作は理系が報われないというセンセーショナルな内容でした。

今回は、文系、理系という枠決めが生徒達の多様な興味を制限してしまうのではないかと問題提起している。
この議論はこれまでもされてきたと思うが、「自分は文系だから科学はちょっと…」や「自分は理系だから文章を書くのは…」といった勝手にカテゴリー分けによって頭から無理としてしまう人を警鐘する。

現代は前世紀のようなカテゴリー化では解決できない問題が山積している。環境問題や生命科学ひとつとってみても、科学だけでなく法や政策などについても知見がなければ解決に至らない。
多様な知識が必要にもかかわらず、文系理系間に壁ができてしまうのは高校における分類が原因であるという。
専門のカベを越えるにはどうすれば!!

文系理系の棲み分けができあがっている中で研究開発ではなく所謂文系就職する人々達が一定の比率でおり、その人たちが理系の強みを生かして活躍している。(苦労もある)

最後には科学技術教育というものの見直しについて議論。
先進国の中でも日本では科学への関心が一番低い部類に入っている。本来、科学実験は楽しいはずなのに、教科書を暗記させる現在の教育を、感動を伝えるにはどうすればよいのか。科学実験を通じて科学の面白さを伝えようとしている人達がいる。

などなど内容は多岐にわたりますが、簡潔にまとまっているので読みやすいです。教育や科学に興味のある方はぜひ

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

日本では、理系と文系の選択を高校でしなければならない。これは受験に有利だからだ。その結果、大人の科学知識は欠如し、日本企業の技術力は低下している。給与、待遇が有利だと文系職種を選んだ理系卒業者は、文系カルチャーの企業社会のなかで、どう生きるのか。科学の意味を問う。

研究室お先輩が置いていった本。これは高校教育に対する警笛という印象が強い。母校では文理分けられるのが三年生の頃で一年二年の間に現代社会・地理・日本史・世界史、生物・化学・物理、数学Cを全部やった。当時は受験に使わないし……と適当に済ませてた部分が多分にあったのだが、なんやかんや受験に使わない勉強も大事だと気付いたのは大学入ってから。受験一辺倒ではない教育にするのも大事だけれども、何故幅広い知識が大事なのかという教育が(記憶が正しければ)行われなかったので、それも中高で教えるべきだと思った。

0
2012年10月28日

Posted by ブクログ

大学受験、就活、企業などの様々な場面での理系、文系の区別が生む問題点を非常に広い角度から捉え、問題提起している一冊。
大学に問題もあるけれど、中学、高校での教育制度にはやはり改善の余地があると思います。
理系であれ、文系であれ、知識の偏りは社会に歪みを生むことは間違いない。

0
2011年10月11日

Posted by ブクログ

「理系白書」が、理系の不遇を書いた本であるのに対して、こちらは、高校から文理分けする事による文理の溝をクローズアップした上で、理系が文系就職する場合や、博士がどのように過ごしているか等をまとめている。

記事のまとめであるので、非常にすっきりしており、資料も充実しているので、まぁ読んでも損はないかと。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

毎日新聞に連載されていた理系白書をもとに発行された。
1作目が大判だっただけに、2作目は文庫版で求めやすい価格で発行されたのもありがたい。
文系・理系の間に横たわる壁とは?文理に分離している高校教育を受ける高校生たちの心境とは?
文系職種に就職した理系大学卒業者の生き方とは?
ポスドク問題、博士号取得後の多彩な生き方について、
これからの科学技術教育のあり方は?
科学と教育と社会とのつながりについていろいろ考えさせられる一冊である。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

高校生の頃、自分には文系しか選べないと思った。自分の興味関心が高校の科目の区分だと明らかに文系に偏っていたから。簡単にいうと、理系の科目は不得手だった。「地学」は好きだったけど。でも、大学に行って、興味をもった現象は「文系」で培った?知識だけでは解明することが難しく、必要な基礎知識は物理だったり、数学の統計的な考え方だったり…大いに困った。何事においても、物事に対して、柔軟に、先入観無しで、かつ、感情に左右されず、論理的に考え、取り組める。これができる人は、ああ、なんてすごい人!それに、ちょこっと、想像力があって、行動力が伴ったら、もう、天下無敵!これらが、私の場合は、無い物ねだり。でも、全てを備えているのは難しいにしても、努力はしたいもの。技術力は実は人間力なんじゃないのか?自分の人間力を高めよう。

0
2011年09月26日

Posted by ブクログ

世界史問題等の未履修問題で自分の高校を振り返ってみると、理科総合の読み替えをやっていました。正直にいうと教科書見る限り、中学時代に知っていたり他の科目のコピペがほとんどのつまらない内容だったので別に高校に文句はないのですが。あんな内容の教科書を作るような教育をなんとかしてくれることを期待します。

0
2011年04月20日

Posted by ブクログ

前作を読んでからかなりの時間が経過してしあっているため、前作との比較はやりにくいけれど、確か前作は理系研究者たちの現状に焦点を当てていて、今回は文理分け教育の弊害について焦点を当てている・・といいたいところだけど、けっこう前作と内容はかぶっている気がするし、特に何かが進展したわけでもないし、前作よりは内容がちょっと薄くなってしまっているようにも思える。でも、面白いことには変わらない。このままの教育方法では日本は育たないと思うし、経済協力開発機構の調査の結果の、日本の正答率の低さにはショックを受けた。私も理数が苦手で諦めてしまったくちなので、逃げてしまった過去の自分を思い出したり、そして今の自分の理数分野の知識の無さを再確認してしまったり。この本を、日本の現状を、大学受験を迎える前の学生たちに知ってほしいと思える。

0
2010年05月23日

Posted by ブクログ

本書は高校の文理選択の功罪から始まる。文系人間、理系人間に完璧に分けることが弊害をもたらしていることから述べられ、文から理へ、理から文への転身が難しい硬直した制度も問題視する。文理どちらの教養も身につけた人達の活躍も語られている。バブルの頃の就職が理系にとって(給料面から)厳しいことから、理系人間の文系会社への就職傾向が高まった。しかし、理系としての素養が会社経営にも生きてきている。結局は両刀使いがよいのだ。科学技術立国の日本を憂える理科離れから、理数系に対する教育政策がいろいろ施行されている。つまるところ、後手後手なんだな。また揺れ戻りが起こる・・・そんな気がする。

0
2010年05月16日

Posted by ブクログ

「理系白書」の続編です。昔読んだので内容は忘れました。
高校での文理の選択は果たしていいことか!?みたいな内容だったかな…
僕は高校時代から専門性を深めていく必要は無く、大学からやればいいという意見にはいたく賛成してます。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

2008/3/11
日本には文系理系の間に壁が存在する。これは高校における文理分け教育に起因する。確かに,大学入試に合格するためには入試に課される科目だけを勉強していくのが近道だろう。しかし,このことが勉強のゴールは大学合格だという意識を生んでしまい,大学入学後に勉強の目的を見失う可能性をはらんでいるのではないか。また,文理いずれかに特化した教育ではバランスの取れた幅広い教養が身に付かないのではなだろうか。本書では,「壁を壊そう」ということをテーマとし,文理分け教育の功罪,文理の壁を越え活躍する人々の成功と苦悩,博士号取得者の問題,これからの科学教育のがどう展開すべきかということなどが豊富な実例やデータをもとに書かれている。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

 理系がどう生きているか取材した本。理系の文系就職、ポスドク問題、理科離れ、教育現場などを扱った本。

 今は文理分けなんてナンセンスだと思う。でも高校生の頃は、国語や社会をあまり勉強しなかったな。受験にさほど必要なかったからかな。
 じゃあ、大学受験をそういう風に変えればいいのかというと、そう単純な問題でもない。(私大の経営とか、学生の能力差とか)

 内容的には、社会に問題提起する感じなので、文系の人間にも是非読んで欲しいと感じた。数学オリンピックなどで活躍する学生、現場で工夫して行われる理科教育、先進的な大学で行われるダブルメジャーなどを読むと、少し安心する。ポスドク問題は、前に読んだ「高学歴ワーキングプア」にほぼ含まれる内容。

 就職に関する話題に偏るが、印象的だった文章を抜粋
 
 バブル期の学生の文系就職にはいくつかの理由がありますが、一つは若者が製造業の限界を感じた結果でした。今から思えば、彼らの判断は正しかったです。「メーカー離れ」は、若者が社会に問いかけて重要なメッセージだったのです。
 ←同感。理系の研究職なら、修士卒は当たり前。学費も多くかかる。文系就職は、学部学科不問。研究職は、専攻もかなり重要。でも給料が安い。就活中、理系は、好きなことやらせてあげるんだから、給料安くても良いでしょみたいな空気を感じてしまった。就活で見た技術系の企業の社員が、やっぱり報酬には不満があるようだったし。今、外資金融、外資コンサルを目指す理系の院生が多いのも重要なメッセージだと思う。理系と文系の生涯賃金格差は5000万円という記事もあったな。
 僕は、20歳にもならないころに選択した理系や学科なんてどれほどの意志があるのか、たった数年間でどれほどのことを学んだか、自分がやりたいこと、やるべきことは別にあるのではないか、と感じて研究職は選ばなかった。この選択が正しいかどうかは、今後の努力次第だけれど、今のところ後悔はない。
 僕なんかとは違って、純粋にその学問が好きでこれに一生を捧げようと本気で思っている人を何人か見たことがある。そういう人は尊敬する。

 

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

続編。
今回は、教育という分野に焦点をあてて書かれています。
高校生からの文理分けは必要なのか?
そもそも将来的にやりたいことが文理選択により制限されてしまう・・・
などなど。
分けるということが制限に繋がってしまうことがあるということを提示し、今の教育制度に疑問を投げかける本です。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

大学生協で見かけてつい購入してしまった。

流し読みでだいたい読んだが、大要は前作と変わっていない。本の厚さもそうだが、内容も、ある程度薄い。とはいえ前作が出版されてからそれほど年数が経過していないので、時間的に変化のない部分に関しては特に書くこともないのだろう。
前作は理系の実験に追われる生活やポスドクの就職難、オタク文化など、理系という生き方そのものに焦点が当たっている感があった。近作は第1章が高等学校の文理選択に充てられているように、文系と理系を比較することにより理系という選択を論じている。就職の項でもバブル期の理系のメーカー離れ=文系就職についてかなりのページが割かれている。
このアプローチの到達目標としては、理系と文系と言う仕切り方そのものへの疑問提起であるようなニュアンスを感じる。これは前作の最終章あたりでも述べていたことなので、このあたりを補強する目的での出版という意味合いもあったのでは。なおそれだけでなく、前作出版以降も変わらぬ博士課程修了者の就職難などについても取り上げられている。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング