あらすじ
日本の高度経済成長を支えながらも、文系優位の社会で、その存在がかすみがちな「理系」。深刻な科学離れが叫ばれるいま、その地位、報酬、研究、カルチャー、教育、結婚など、理系のすべてを初めて浮き彫りにした渾身のレポート。はたして、理系は報われているか? 第1回科学ジャーナリスト大賞受賞作品。
◎養老孟司氏推薦! ――日本人が「なぜ?」という問いかけができなくなったのは、本当の「科学する心」が失われたからではないかと思う。この本は、そのわけを解き明かしている。
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情報自体が、既に古いものになってしまっていることを除けば、
面白い読み物だったかと。
書き手の意見が全面にさえ出てこなければ、
好感の持てる文章。
なにより、勉強したくなるのが、この本の魅力?
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ニッポンでの理系の報われて無さや、研究者の生活について書かれています。
まあ、理系だからというだけで待遇がわるくなるっていうか、そこは人それぞれな部分も強いと思うのですが、
それでも、官僚の方々の理科嫌いとかは治ってほしいですね。
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京大生協で売り上げナンバーワンにもなった一冊です。
理系の人はとりあえず一度読むべき。
自分も就活前に何度も読み返しました。
文理差別やゆとり教育、ポスドク問題など理系にまつわる問題を様々な切り口から多角的且つ客観的にしかも読みやすく纏めた傑作だと思います。
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毎日新聞科学環境部が、この国の高度経済成長を支えながらも、文系に比べ待遇面などで報われていない「理系」について、多くの人の話を聞きまとめたレポート「理系白書」の文庫版。
「理科離れ」が叫ばれて久しいが、文系社会の日本における科学技術者の待遇の悪さには本当にあきれる。青色発光ダイオードの中村氏の裁判は有名だが、見えないところでそういった苦汁を舐めさせられた人も数多くいることだろう。
しかしながら、決して文系だけを責めることはできないのではないか。理科を「経験」としてではなく、ただの「知識」としてしか教えない日本の初等教育。そういった人間が成長し、教える立場に立つことで、この悪循環は繰り返される。
また、大学の体系が「縦割り・たこつぼ構造」であることにも問題がある。研究室内で完結した理系人の生活。社会を知らずに社会に出て行くことになる。
現場の声が多く聞け、現在の日本の問題が数多く提起されていると思う。理系だけではなく、文系の人も読むべき本ではないか。
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もともと新聞記事のためか、内容は古びて見えることもあるがメッセージは色あせない。この国の人の理系だけに限らない「長いものには…」という姿勢も垣間見える。
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2003年の出版 「文系優位・理系不利の仕組み」が多様性のない、閉塞社会を築き上げた。その結果、日本はジェンダーから遠い国になってしまった。
日本が後進国でキャッチアップの時代は、上意下達で硬直した組織=軍隊のようでも「知識の伝承」はできたが、その組織文化では「知識の創造」は成しえない。
新たなオープンでトライアンドエラーを許容する組織・価値観に転換すべきであったが敵わなかった。
現在の労働力不足が理系・女性・外国人の登用を進め、既存の組織・価値観を壊していくのを待つ
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毎日新聞連載の書籍化。如何に日本で理系が雑に扱われているかというのが、これでもかというくらい例示されてます。
個人的には高等教育無償化は理系限定でよろしいかと。
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日本の高度経済成長を支えながらも、文系優位の社会で、その存在がかすみがちな「理系」。深刻な科学離れが叫ばれるいま、その地位、報酬、研究、カルチャー、教育、結婚など、理系のすべてを初めて浮き彫りにした渾身のレポート。果たして、理系は報われているか?〈第1回科学ジャーナリスト大賞受賞〉
研究室お先輩が置いていった本。理系は報われないとはよく聞く話。とくに理系女子は大変。高校一年の秋ぐらいにこういう本を読んでいればな……と思った。それでもまず間違いなく理系に進んだけれども。この本が出てから10年ほどたったけれども、多少改善されたとはいえ、なんやかんや日本は今でも技術者に対する扱いはまだ悪いと思う。
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「理系人への応援歌」
理系を志す人たちの夢の実現を手助けするためにも、あえて理系の世界の厳しい現状を伝えています。
生涯年収における「文高理低」の文理格差、ポスドク問題、理系人材の多様な進路、理科教育など・・・様々なテーマについて書かれています。
新聞の連載記事をまとめたものなので、ここに書かれている内容が理系の置かれている現状の全てだと思わないようにする必要があると思います。
しかし、理系の、特に研究者を志す人は一度は読んでおいた方がいいのではないかと思います。
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やっと読みました!
研究者がお金ないとか、日本のシステムが遅れているとか、そういう現状を知ることが出来たけど、それよりも研究者の方々がみんな、没頭して、夢中になっている様子がとても輝かしかった。
アーティストと一緒ね!
Posted by ブクログ
■書名
理系白書
■筆者
毎日新聞科学環境部
■内容
「理系」は報われない。
平均的な「文系」より数倍の勉強時間を必要とする。
社会に出てからも新たな技術開発のために日夜勉強を
続けていかなければならない。
しかし、その「理系」のおかげで、日本は技術立国として
高度成長期を走りとおし、世界第2位の経済大国となった。
一見すると「文系」より活躍している。
役に立っている。
が、報われない。
・給料が低い
・管理職になれない
・勤務時間が長い
・閉鎖的空間に追いやられる
「理系」に対する評価が社会の評価が低いのである。
(アピールが足りない、文系の方ががんばっている!という意見もあるだろうが。。。)
世界が日本の技術力に追いつき始めている。
技術が良いだけでは製品が売れなくなっている。
新たな価値を生まなければならない。
新たな価値は理系の技術と、文系の社会性を合わせて生まれるものだろう。
「理系」と「文系」の壁をとっぱらい、新たな価値を生むためには、
「理系」と「文系」の融合が大事である。
そのための第一歩としてお互いの現状認識をしなければならない。
文系は社会性が高く、世の中をかけめぐっているため、
知り合うことは多い。
一方、理系は内側に閉じこまりぎみ。大学の研究生活を
つづる本もこれまでなかった。
本書は理系の素顔、実態を如実に描いている。
■所感
自分も理系で大学の研究室にいただけに、
そうなんだよーとうなづけるところがたくさんあります。
・話すことが嫌い
・主張が苦手
・外より内に力を注力
・外のことがよくわからない
・今やっていることの社会的価値がわからない
確かにこんな理系だったら社会から評価されなくても
当然なのかもしれない。
アメリカの理系を詳しくないからあまりいえないけど、
聞くところによると、優秀な人は自分の技術の社会的位置づけの
認識を持ち社会に対してどんな価値を提供できるかを常に考えている
そうだ。
(当然、日本の優秀な理系は考えていると思うが、割合としてアメリカの
ほうが高いのだとか。その分、平均的な技術レベルは日本のほうが高いとか。)
これからの理系は、
社会を知り、自分の技術の価値を認識することが大事なんだと思う。
基礎研究をやっている技術者もしかり。
基礎研究は社会に直接的な利益をもたらさないから価値が低いと言われるが、基礎研究が応用研究の種の源になっているのは確かなはず。
いずれにしろ、これからの理系は
自分も含め、もっともっと対外的に自分と技術をPRしなければ
ならないと思います。
そうしないと、いい人材、技術が埋もれていってしまうことになる。
Posted by ブクログ
この本のように定量的に理系の不遇を示してくれることに意義があるのだと思う。読み物としても面白い。文理選択前の学生さんには、サラッとでも流し読みするよう勧めたい。
Posted by ブクログ
彼等なくては、いまの日本はなかった。そんな「縁の下の力持ち」的な存在な彼等の現状に焦点をあてた毎日新聞によるルポ。つい先日『高学歴ワーキングプア』を読んでたら、多少重なる箇所もあり、ますます日本がつくる制度に不安を覚えた。文庫でも2006年発行、単行本は2003年発行で、現状というにはちょっと古いかもしれないが、あまり変わっていないのでは・・。やっぱりうちの身近の制度では文理が分かれるのが当たり前で、教育関係の学部学科も相変わらず文学部となっていますし・・。理系についての評価が客観的に書かれているし、新聞社の文章のため読みやすく、且つ面白かったです。
Posted by ブクログ
新聞の記事が元の題材なので(※記事を再編集したものがこの本)、語り口が単調だったりいささか話や事実に省略が見られたりはします。が、それでもこの本は優れている。
みんなね、理系の実態を知らなさ過ぎる。「技術立国」とかつては謳われたこの国は今どうなっているのか。内容が専門的だったりするので読むのに時間はかかりますが、一読の価値アリです◎
Posted by ブクログ
「理系は報われているか」という帯にひかれて買った本。
この本の冒頭で紹介されている、文系学生と理系学生の生涯賃金の格差はとても衝撃的だった。他に印象に残った点を挙げると、理系カルチャーの章。オタク趣味が理系と相容れやすい理由などが考察してあり興味深かった。
しかし全体的に実験系(生物学・物理学など)や機械系の話が多く、私の専門である情報工学の話は少なかった。そのため本書で言及されている理系のもつ強み、たとえば実験で失敗を重ねることで積んだ試行錯誤の経験とか、そういったものがあまり身近に感じられない点が残念でならないということに最近気づいた。コンピュータサイエンスというのは特殊な領域だと改めて感じた。メーカーに就職しなかったら、どこに就職するのだろうか。どうしても考えてしまう。
Posted by ブクログ
2008/3/7
「科学技術立国」を標榜する日本だが,理系(そもそもこのような文理分けがあるというのもこの本では問題にされているのだが)がもっと報われる社会に変わらなければ,科学者を志すような学生は増えないだろう。
Posted by ブクログ
理系の人たちこのままでいいんかいな?
っていう感じの本.
色々な面から,理系のいいところ.足りないところ.恵まれてないところ.が描かれてます.やっぱり日本の大学は・・・orz