毎日新聞科学環境部のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2008/3/11
日本には文系理系の間に壁が存在する。これは高校における文理分け教育に起因する。確かに,大学入試に合格するためには入試に課される科目だけを勉強していくのが近道だろう。しかし,このことが勉強のゴールは大学合格だという意識を生んでしまい,大学入学後に勉強の目的を見失う可能性をはらんでいるのではないか。また,文理いずれかに特化した教育ではバランスの取れた幅広い教養が身に付かないのではなだろうか。本書では,「壁を壊そう」ということをテーマとし,文理分け教育の功罪,文理の壁を越え活躍する人々の成功と苦悩,博士号取得者の問題,これからの科学教育のがどう展開すべきかということなどが豊富な実 -
Posted by ブクログ
理系白書第3弾。アジアに猛追され、欧米に出遅れる日本のサイエンスの未来は?
問題は、ずばりマネジメントの問題。資金がまわらない、評価ができない。特許競争に負ける。などなど・・・。
これは、日本がダメになったというよりは、日本の地位が向上したためだと思う。かつては、先頭を走る欧米を追いかけるだけで良かった。しかし、いくつかの分野では追いついてしまった現在では、自ら戦略を立てなければならない。それを行う力が今の日本には足りない。逆にアジアは、かつての日本のように、先頭集団を猛追している。
例えば、NatureやScienceなどで評価されてから、大幅な予算が出たりする。つまり海外で評 -
Posted by ブクログ
理系がどう生きているか取材した本。理系の文系就職、ポスドク問題、理科離れ、教育現場などを扱った本。
今は文理分けなんてナンセンスだと思う。でも高校生の頃は、国語や社会をあまり勉強しなかったな。受験にさほど必要なかったからかな。
じゃあ、大学受験をそういう風に変えればいいのかというと、そう単純な問題でもない。(私大の経営とか、学生の能力差とか)
内容的には、社会に問題提起する感じなので、文系の人間にも是非読んで欲しいと感じた。数学オリンピックなどで活躍する学生、現場で工夫して行われる理科教育、先進的な大学で行われるダブルメジャーなどを読むと、少し安心する。ポスドク問題は、前に読んだ「 -
Posted by ブクログ
大学生協で見かけてつい購入してしまった。
流し読みでだいたい読んだが、大要は前作と変わっていない。本の厚さもそうだが、内容も、ある程度薄い。とはいえ前作が出版されてからそれほど年数が経過していないので、時間的に変化のない部分に関しては特に書くこともないのだろう。
前作は理系の実験に追われる生活やポスドクの就職難、オタク文化など、理系という生き方そのものに焦点が当たっている感があった。近作は第1章が高等学校の文理選択に充てられているように、文系と理系を比較することにより理系という選択を論じている。就職の項でもバブル期の理系のメーカー離れ=文系就職についてかなりのページが割かれている。
このアプ -
Posted by ブクログ
「理系は報われているか」という帯にひかれて買った本。
この本の冒頭で紹介されている、文系学生と理系学生の生涯賃金の格差はとても衝撃的だった。他に印象に残った点を挙げると、理系カルチャーの章。オタク趣味が理系と相容れやすい理由などが考察してあり興味深かった。
しかし全体的に実験系(生物学・物理学など)や機械系の話が多く、私の専門である情報工学の話は少なかった。そのため本書で言及されている理系のもつ強み、たとえば実験で失敗を重ねることで積んだ試行錯誤の経験とか、そういったものがあまり身近に感じられない点が残念でならないということに最近気づいた。コンピュータサイエンスというのは特殊な領域だと改めて感