林公代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
NY在住のミュージシャン・矢野顕子さんが、宇宙飛行士・野口総一さんに宇宙のことをたずねる対談本です。矢野顕子さんは宇宙に行きたくて行きたくて、宇宙飛行士になるために必須の「水泳」を、それまでは金づちだったのにがんばられて習得されたそうです。宇宙に関する知識・情報集めや勉強も盛んで、だからこそ、野口総一さんに対する質問が初歩的だったり表面的だったりせず、そればかりか質問自体からも教えられるものがあるレベルにありながら、そんな低くないレベルの質問に答えてくれる野口さんの発言も真正面から真摯なものなので、お互いのやりとりに読ませるものがあるのでした(たぶんに、お二人から様々な方向へ飛び交う言葉を、うまくまとめられた林公代さんの腕あってのことでしょう)。
本書による宇宙飛行の知識。たとえば、宇宙服は約120kg。同僚に手伝ってもらいながら、約三時間かけて着込むそう。行われる船外活動は約7時間が限度。酸素やバッテリーの限界があるからです。そして船外活動を行う、宇宙ステーションの外である宇宙空間は絶対的な「死の空間」を意識せざるを得ないのだと。そういったところから、あまり知らなかった宇宙飛行士の内面的なところなどをも知ることができます。
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宇宙空間に出た途端、「ここは生き物の存在を許さない世界である」「何かあったら死しかない」ことが、理屈抜きにわかります。(p76)
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物がぶつかっても音がなく、周りには生き物の気配はまるでなし。そして、一切の命を拒絶する、絶対的な闇がある。ゆえに、「死の空間」だと即座に感じられる。
船外活動の訓練は地球でもプールの中でたくさんの時間を使って行われているそうです。それでも、実際に宇宙空間に出るとほんとうの無重力にとまどってしまうといいます。たとえば手や足を伸ばしているのか縮めているのかも、重力を感じていないためにわからなくなる、と野口さんはおっしゃっている。また、45分毎に昼と夜がやってきます。そのため、宇宙服の冷却装置のON,OFFや、ヘルメットのバイザーの上げ下げを繰り返さないといけない。これらは、船外活動ならではの体験でしょう。
宇宙飛行士チームの話もおもしろかったです。「結果が出せない人は価値がないのか」という行き過ぎた能力主義の話から続いていく話だったのですが、弱さを見せ合えたチームのほうがうまくいくのだ、と。このあたりでは、東大先端研のアスリートや宇宙飛行士の当事者研究として「安心して絶望できる人生」というすごい言葉が出てきます。結果が出せなかった自分は価値がない、と絶望することがあると思いますが、そういうときの追いつめられた絶望はほんとうにつらいです。でも、「安心して絶望できる人生」というのは、絶望をチームにみせてよくて、チームもその絶望を包摂してくれる。こういうイメージというか、モデルというかは、復活するチャンスにあふれていて、生きやすいだろうな、と思えてきました。
あと、おもしろかったのは、イーロン・マスク氏率いるスペースX社をひきあいに、日米のビジネスモデルや研究開発モデルを比較したところ。日本の現状としては、どうも石橋を叩いて橋を渡ってばかりいるきらいがある。それが進んでいくと次のようになるのでは、と野口さんは指摘するのです
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結局一番安全なのは、橋を渡らないことになってしまう。あらゆる挑戦は避ける判断をするほうが楽なんです。リスクがないから。(p197)
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これって、僕の生活範囲にもありふれていて、この文章を読んだことで「これって、日本的な問題だったんだ!」と目からウロコでした。こういうことを言ったりやったりするのって、個人単位の問題じゃなかったんですねえ。
というように、抜き出し書きの感想を書くと、以上のようになります。いくつかの大きなテーマに沿って本書は進んでいきますが、その箇所その箇所での話のふくらみ方が豊かですし、なんというか知的好奇心を刺激してくる楽し気な対談になっていました。宇宙から、そして宇宙体験から、それまではまったく視界の外だったような知見が得られます。ほんとうは実際に宇宙旅行をみんなが経験できると、みんなの価値観がわーっと花開くのでしょうけれども、なかなかそうもいかないので、そういった新たな体験や価値観のちいさな欠片を本書から拾うことにしましょう。 -
Posted by ブクログ
野口聡一さんがめちゃくちゃ聡明でめちゃくちゃ人格者で、めちゃくちゃ宇宙も地球も人間も愛してるんだなと感じた1冊。
宇宙は命の存在をゆるさないからこそ人間の命や生命活動は美しく、その人間が生きて創っていく地球は美しい。
地球にも人間にも絶望することばっかりだったけど。。。宇宙からみたら国と国に国境なんてなくって、海に森に大地に命が生きているこの星はすごいところなんだなと、私が人間として地球に今生きていることが少しだけ誇らしくなりました。
忙殺の12月すぎて心死にかけてたけど、宇宙からみたらそんな私の悩みも考えてることもちっぽけだなあと思ってにこにこできた!
お正月ゆっくりできた時に読めてよかったです。
各国の要人のみなさんもこれ読んだ方がいいよ(小声)
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Posted by ブクログ
ネタバレ地球が眩しすぎて、地球が昼の間は宇宙空間は真っ暗闇であること。
100%死の世界である宇宙空間にいると、100%生の世界である地球に躍動を感じること。
死の側から見ると、地球の命は特別だと感じられること。
地球に命があるのは偶然が重なった結果で、即ち奇跡であること。
命は危ういバランスで成り立っていること。
地球から離れて宇宙空間から地球を見るという「離見の見」によって、生きている地球を、地球の尊さを感じられること。
野口さんの分かりやすい説明によって、宇宙について様々なことを知ることができた。
常に新しいことに挑戦し続けている野口さんに感銘を受けた。
この本を野口さんがISSに滞在している今読むことごできたのは、大きな意味があると思う。
「石橋を叩いて渡ることが本当に信頼性を上げることになるのか。安全第一という名目で判断を回避しているだけではないのか。」
「カーリングが人生ではなく、人生の中にカーリングがある。」
「出来ることをする。一日一日を積み重ねる。」
ISSを追跡できるアプリをインストールしたり、野口さんのTwitterをフォローしたりして、私と宇宙の距離が少し近くなった気がする。
宇宙に行ってみたい。宇宙から地球を見てみたい。 -
Posted by ブクログ
とても興味深く読めました。
私は矢野顕子さんのファンで、彼女が宇宙に対して並々ならぬ思いを抱いているのは知っていました。どんな思いなのかを知りたくて読んだのが理由です。
それも面白かったですが、野口宇宙飛行士の宇宙飛行についての思い、死と隣り合わせの空間での作業で感じること、今後の宇宙開発な宇宙産業についての考えなど、報道されてる事は一部の表面的な事で、その奥には色々な考えや思いがあって、そこがとても素晴らしかったです。
おそらく矢野顕子さんが、宇宙について勉強していて、自分の考え方や想像などあったからだと思います。
今はTwitterで野口さんから送られる写真を楽しみする毎日です。
宇宙には興味があるけど、難しそうで…と敬遠してる人に読んで欲しいです。 -
Posted by ブクログ
野口さんの講演会に行ってきました(^_^)
以前にこの本を読んでとてもよかったので
野口さんにはとても親しみを感じていました
講演会の内容です
前半はJAXAに関する紹介と
以前に滞在したISSの様子をまとめたムービーでした
後半は、宇宙飛行士になるための資質について
知識があること、迅速に対応できること
異文化への対応など
その中にアウトリーチというのがあったんです
自分のやっている事を他にわかってもらう
つまり、説明責任って言うのかな
これらって、今の自分たちにも
当てはまることなんですよね
資質は、訓練によって得られるもの
予定通りに行かなかったときに
何があるか?違う視点を見つけること
宇宙飛行士にならなくても
みんな、いろいろ頑張らなきゃね -
Posted by ブクログ
最近、コミックの宇宙兄弟にハマッたことがきっかけで宇宙関連の本を手にとるようになりました。
この本はわたしのような宇宙初心者には最適!だと思います。
1章はスペースシャトルやISS内のこと、宇宙での生活のことが詳しく書かれていて興味深かったです。2章は野口さんの簡単な自伝といった感じでした。
この著書で野口さんはしきりに、「近いうちに宇宙がもっと身近なものになる!」と書かれていましたが、わたしもそうなってくれたら本当に素晴らしいと思います。
自分が住んでいる地球をこの目で見られたら……一体どんな気持ちになるのか。
宇宙開発がより進めばいいなと思うと同時に、わたしもそれに貢献できたら…と思わせてくれました。