ミギーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「おい、兄さん」
手を放したら壊れる、と太一は思った。
何だって、壊れるのだ。誰かとの絆とか、関係だとか。そんなものはある日突然、簡単に狂って壊れて、失くしてしまえばもう戻らない。
確かなものなんて、何ひとつない。
どうせ失うのなら最初から、他者との関わりなんてなくていい。誰も何も自分には関係ないし、どうでもいい。誰かの気持ちなんてわからなくていい。わかりたくない。
――そう、思っていた。ずっと。
母親との絆すらあんなに呆気なく消えてしまうのなら、他の人間との関係なんてもっと脆いに違いない。だから、いつも心のどこかで信じてなんかいなかった。誰かが、自分のことを想ってくれるなどとは。
やっとわ -
Posted by ブクログ
“―――君は他の人のことなんか、何も見てないよ。
自分が何を見ていなかったのか、もう一度考えたらわかるだろうか。
ずっと先延ばしにしていた、その答を見つけられるだろうか。
(家に……)
太一は唇を噛んだ。
(家に帰ろうか)
父とその再婚相手に、家に帰ってもう一度会ってみよう。
空栗荘に来てから初めて、太一はそう思った。”
溶けた雪女にとりつかれた太一が色々なことに気付き初めている話。
雪女は、あれかな、今はやりのツンデレかな(多分違)
健気に頑張る采奈も好き。
この物語はあと一冊で完結だと。
采奈には幸せになってほしい。
でも鈍い太一が好きだ。
“「あ、編み目とかとんでるしっ」
太一は