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「幽霊を見たことがある?」と、クラスの、それほど親しくもない男子に問われた太一は「ある」と答えた。なにしろカラクリ荘に来てからというもの、幽霊どころか妖したちの絡む色々な事件に巻き込まれてきたのである――が、そこがうまく説明できない。そもそも人との距離がうまく掴めない太一にとって、彼がなぜそんな話を自分にしてきたのか皆目見当もつかないのだった。だが、理由を訊けぬままに別れた後、自分でも不思議に思うほど、その事が気にかかってしまう。以前の自分であればそんな事はなかった。なのに――なぜ!? 賽河原町に春風が吹き、少年の心にも、小さな春が訪れる……。ハートフルご町内妖怪奇談第4巻!! ※電子版は文庫版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
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霜島ケイさんの別シリーズ読破してしばらく、なんか無性に癒されたくなって、こちらの一巻を買った。
読み終える毎に次巻を買って数日で読破。ゆっくり読むつもりが……。
十代の頃に読んで面白かったかどうかはわからない。
こんな素直な話が、十代の捻くれた心に入ったかどうか。
アラサーになって初めて読んで、アラサー女は、なんだかこれまでを振り返り「自分もいろいろあったなあ」としみじみした。
なにせアラサーなので、視点は太一くんを見守る側に回る。
太一くんの周りには愉快な面々がたくさんおり、でも太一くんに何かを押し付けることはなく、彼が自ら答えを掴むのを、見守っている。
読んで全く疲れない。
この本はわたしに、特に何も押し付けてこない。
妙な理想論とか。暑苦しすぎる友情やめんどくさすぎる恋愛や諸々、そういうゴリ押しやめてーと思うものが無かった。挿絵も含めて。
まったく押し付けがましくなかった。
太一くんはカラクリ荘に逃げ込んで助かった。
わたしも逃げ出して、逃げ込んだ先で救われたクチだから「自分もいろいろあったなあ」としみじみしたり時には涙したり、楽しく読んだ。
霜島ケイさんは色んな話が書ける人なんだなと思った。
続きがあれば読んでみたい。
とりあえず紙の本で買って本棚に並べたいと思った。
Posted by ブクログ
○感想
ようやく読めました。
彼は、属性的にはマルタ・サギーなんだなぁ、と。ラストの選択もマルタっぽい。
ここ数十年分の少年・少女小説を分類してみたくなります。
たとえば、新しく来たお母さんがアレルギーもちのマンガ家って設定は10年前は通じなかった気がするので。どなたかがレビューで書いてはったのですが、異質なものへの寛容というよりはローカルな集団の中での平均的なものがより広い集団の中でも受け入れられやすくなった感じ?
ただし物語の中だけで。
鈴子さんの言葉がアイタタタでした。
『あったかい場所におかえり』という帯が好きです。あと絵が好き。
がんばったら、戻れなくても変えられなくても、何かがつながるかもしれないというのは、そういうのを希望って呼ぶんだろうなと思いました
狢の、どちらがわも選べない気持ちは、なんとなく分かります。
Posted by ブクログ
久々に「ライトノベル」を読んだ(笑)
「ライトノベル」とは…中学~高校生向けに書かれた娯楽小説だと言われているのだが
変に文学を気取った小説よりも、面白いものがあるので侮れない(ハハハハ)
父親が再婚し居場所を失った太一は、父の知り合いがやっている下宿屋へ向かう。
目指すは賽河原町にある「空栗荘(カラクリ荘)」
ところがバスを降りたところは、人の住む世界の隣にある異世界であった
魚人があらわれ、ムジナがカッポし、カラスまでもがしゃべる(笑)
そして、そんな世界と繋がっていたのが「カラクリ荘」なのである。
主人公の太一は過去に傷持つ身なので、感情表現が下手だし、人付き合いも苦手。
じゃあ、最近見かける引きこもりか?っといえばそうでもない。
根は単純で心優しい。だから頼まれれば嫌とは言えないし、約束も律儀に守る。
きっと何ごともなくスクスクと育っていれば、元気で明るく活発な子であったろうと思う。
でもね。それがマイナスだとは誰にも言えない。
トラウマがあったからこそ、人に優しく出来るし、誰かが傷つくのが嫌いなのだ
そしてトラウマを自分で乗り越えた時、きっと太一はイイ男になる。
そんな太一君の心の成長に「カラクリ荘」の不思議な住人と
ちょいとお隣の世界の妖怪たちが適度な距離を保ちつつ見守る、ってなお話しである(笑)
平成のお話しなのに、そこかしこに昭和のニオイがする。ミョ~に懐かしい。
文章の流れも安定感があって読みやすく、最近の作家さんのニオイがしない。
不思議だの~っと思っておったら、なんと作者の霧島さんは私と4歳しか違わなかった
さもありなん(アハハハハハ)
ノホホ~ンとした筆の運びが私のリズムと合ったのか
10時間足らずで4冊読みきってしまった(ハハハハハ)
もともと読むのは早いが、この歳になってからのこのスピードは久々である。
この本の表紙絵を描いた「ミギーさん」素敵な絵を描くの~
「天羅万象」というサイトに彼女の絵が沢山載っておった。
なにか彼女の絵を見ていると、ホンワカして気持ちがエエ。
一巻目の表紙の太一はコチラに背を向けておるだろう
二巻目になると、少し戸惑いながらもコチラを見ておる
三巻目で女の子の肩を借りながらもぎこちなく笑い
四巻目では大いにひとり立ちしながら笑っておる
つまり、こういう流れのお話しなのだ(ハハハハハハハ)
実は私も何人もの継母との付き合いがあったから、太一と似たり寄ったりな性格であった
私の場合は、アチラの世界との繋がりがなかったもんで…(笑)
コチラの世界の友人に救われたんだと思う。
もちろん同世代の友人達が、私の精神のケアまでしてくれるハズもないので
何が因となり、私は立ち直れたんだろうか?っと考えてもコレといった話が浮かばない
幸いなことに私は太一と同じく、本来は脳天気な性格だったもので
キラキラとした青春時代を送っておる友人達に囲まれて
あれこれと思い悩みカラに閉じこもっている自分がアホらしく感じたのかもしれん(笑)
ただ…このころの写真を見ると、確かに笑いがぎこちない(アハハハハハ)
今振り返ってみれば、これも一つの青春なので笑いながら眺めておるがの~
今現在両親の離婚問題等で思い悩んでいる諸君も大勢いると思う
ぶっちゃけ子供にゃ何も出来ない。受身体制を取るしかないのだ。
ソコはあらがっても仕方ない(笑)
ただ一言だけ。「なんでも両親の離婚のせいにして…逃げるな」それだけじゃ。
結局、自分で乗り越えるしか手はないのだから(笑)
何かのせいにするのは楽だが、それではソコから抜け出せなくなる
なによりも現状から脱出したいっと願っているのは自分なのだから
それを誰かに引っ張りあげてもらおうたって、そうは問屋が卸さない
自分が怒っておれば周りも怒り出す
自分が笑っておれば周りも笑うもんぞ
つまり、結局は自分自身で乗り越えるしか手はないのだ
私が親に振り回されていた時間は17年であった
今私しゃ50歳(笑)33年間は親から離れて楽しく過ごしておる
たかだか17年で人生棒に振っちゃつまらん(笑)
本当に面白く、また爽やかな本であった
この本もブログ友の「さくらどん」からお借りした
四巻で終わりなのだが、続きが読みたいとか思ってしまっただ(アハハハハ)
機会があれば是非一読あれ。ホント、ええ本じゃたよん(笑)
Posted by ブクログ
珍しい名前だから憶えていたクラスメイトに話しかけられた内容が
「幽霊を見た事あるか?」というもの。
それに真面目に答えるのは、ずれているからなのか
素直だからなのか、咄嗟だったからなのか…。
自分に傷がある事に気がついた所。
それが何なのか、どうして『傷』なのかも、気がついた所。
なので、正直、いきなりこうなるとは…。
3話分の、人を思いやる気持ち。
想う心、は偉大ですw
いやでも、そのまま気がつかずにいたら
それはそれで面白かったかと。
感情がようやく開封されたわけですし
今度はそれをどこまで使えるか、です。
しかし、母親とは別段会わなくても大丈夫な気も…?
Posted by ブクログ
“「おい、兄さん」
手を放したら壊れる、と太一は思った。
何だって、壊れるのだ。誰かとの絆とか、関係だとか。そんなものはある日突然、簡単に狂って壊れて、失くしてしまえばもう戻らない。
確かなものなんて、何ひとつない。
どうせ失うのなら最初から、他者との関わりなんてなくていい。誰も何も自分には関係ないし、どうでもいい。誰かの気持ちなんてわからなくていい。わかりたくない。
――そう、思っていた。ずっと。
母親との絆すらあんなに呆気なく消えてしまうのなら、他の人間との関係なんてもっと脆いに違いない。だから、いつも心のどこかで信じてなんかいなかった。誰かが、自分のことを想ってくれるなどとは。
やっとわかった。
彼の中の傷は、誰の想いももう、信じられなくなっていたことだ。”
思わず、少し泣いてしまった。
良い話……なのは間違いないけれど。
ただ、もう少しシリーズ続けても良かったんじゃないかなぁと。
終わりをもう少し深くしても良かったんじゃないかなぁと。
思ってしまう。
けど、まぁ。
最後の太一の笑顔が素敵すぎた。
彼が笑えて本当良かった。
“「あ、阿川君、今……笑った?」
「え」
「笑った?笑ったよねえ。うそ、阿川君が笑った!」
采奈は歓声のような声をあげる。
「もっぺん!ね、もっぺん見たい!笑って!」
もう一度と言われましても。
でも、采奈の顔を見ているとまた、くすぐったくてたまらなくなった。
「ふ、ははは……、和泉の顔ったら」
「え、顔?ヘン?」
「ヘンじゃないけど……」
くるくる、くるくると、采奈の表情はなんてよく変わるんだろう。大きな目が動いて、唇を尖らせたり、笑ったり、泣いたり、真っ赤になったり。素直で、わかりやすくて。まるで、子供みたいだ。
――今までだって彼女は、ずっとそうだったのに。
ずっと、彼にありったけの想いをくれていたのに。
何も気づいていなかった。気づいていないふりで、逃げていた。――怖かったから。
想いを受け取って、でもそれが壊れてしまうことが、とても怖かったから。
太一の心を覆っていた不透明な薄い殻がゆっくりと剥がれて、世界が急に鮮明になっていく。
これまで受け取ることを拒んでいた想いが、胸に沁みていった。
大丈夫。もう、怖くない。”
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