岡田秀文のレビュー一覧

  • 黒龍荘の惨劇

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    文庫王国と、新本格ミステリ新書から。どちらからも推薦されているってことは、それなりに信頼できるんじゃないか、と。しかしまあ、なかなかの惨劇ぶり。凄惨を極める真相も、グロテスクさに輪をかける。著者の他作品も是非!とまでは思わなかったけど、結構楽しませてもらいました。

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    2022年06月02日
  • 白霧学舎 探偵小説倶楽部

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    戦時下の少年探偵団もの。お国のことなど知ったことかと(しかしどこか刹那的に)強かに生きる少年たちの、ヌケヌケとした青春が楽しい。まさに「紅一点」のヒロインが可愛いのが美質。逆に主人はさすがにダメダメが過ぎるように思う。ミステリとしては少しひねりがなさ過ぎて、正直すぎる印象かな。

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    2022年01月29日
  • 黒龍荘の惨劇

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    トリックや雰囲気は非常に良かったが、全体的にはあまり満足できなかった。連続殺人事件であるから長くなるのは仕方ないのだがそれにしても長いというのが正直な感想。トリックに主眼を置くハウダニット物とするならば伊藤や山縣など政治色を絡めずとも作れた気がするし、明治を舞台とするならばやはりワイダニットに主眼を置き、時代の闇をとことん明らかにするような話であっても良かったと思う。

    また、連続殺人物ではよくある設定であるが探偵が仕事をしてなさすぎる。全て殺人は実行されているし、最後探偵語りしているが警察の方が先に辿り着いているという落ち。助手もあまり役に立たず、前作を読んでいないので彼である必要性も感じら

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    2021年10月30日
  • 伊藤博文邸の怪事件

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    ネタバレ

    うーん...物語の設定だったり、主人公の潤之助のキャラクターだったりというところは良かったのだが、正直ミステリーとしては弱い。
    著者は本格ミステリーを書きたかったようだが、これは本格ミステリーとは呼べないだろう。

    密室トリックなんてものはないし、名探偵役と思わせていた月輪が実は偽物、というのも興醒め。
    むしろ大河内や岩村たちが警察関係者だった、という事実の方が面白かった。

    次作、『黒龍荘の惨劇』は巷の評価通り良作であることを祈る。

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    2021年08月31日
  • 本能寺六夜物語

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    本能寺の変から三十年余り。とある山寺に六人の男女が集まり、彼らが見た本能寺の変を語り合う。

    その当時同朋(茶坊主)として信長に仕えていた男は、本能寺の変後、ある酷い形で信長は生きていたのではないかとの疑いを抱えていた。
    その当時穴山信君(梅雪)の家臣だった男は、本能寺の変後に共に逃げることになった徳川家康のしたたかな面を知った。
    その当時酒屋の手代だった男は、信長の死を知るや逃げ出す家臣が続出する中で最後まで信長に殉じ闘う者がいたことを知った。
    その当時京都所司代・村井貞勝の配下だった男は、信長にある幻影を重ねて見つめる狂気の男の所業を見た。
    本能寺の変直前まで信長の側室に仕える局付きの女中

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    2021年05月06日
  • 御城の事件~〈西日本篇〉~

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    徳川家康は好きではないけど、風変わりなキレ者というイメージを思っていて。その特異さが魅力的に描かれていた「幻術の一夜城」が好き。

    お市の方が出てくる「小谷の火影」も面白かった。
    いつの時代も女は怖い。

    あと、単純に「忍者ってかっこいい」と思ってしまう自分がいる。笑

    東日本編よりはこの西日本編の方が役者揃いで好き。

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    2020年10月24日
  • 御城の事件~〈西日本篇〉~

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    タイトル通り、城を舞台にした事件の話五編。

    「幻術の一夜城」黒田研二(墨俣城)
    秀吉が一夜で築いたとされる墨俣城の謎を解く家康。さらに彼はそこに一瞬で天守を造りだすと言う。
    秀吉の一夜城の謎は何となく聞いたことのある内容だったが、家康の幻術はさて? ここまで上手く行くのか疑問ではあるが、天下を取る者はこういうことも味方に付けるということか。


    「小谷の火影」岡田秀文(小谷城)
    信長が今にも攻めて来ようとする浅井長政の小谷城で、牢に閉じ込めた筈の曲者が脱出し、そこから連想して事件が起こる。
    こんなお市の方は見たくない! というお市の方ファンの悲鳴が聞こえそう。お市の方は悲劇の女性かはたまた…

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    2020年05月30日
  • 黒龍荘の惨劇

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    ネタバレ

    明治が舞台の殺人劇、のわりには意外と読みやすく、すいすい読めました。しかし、黒龍荘という大邸宅が舞台のわりにはそれが活かされているというわけではなく、ちょっと残念。探偵役はタイプ的に明智小五郎な感じですが、話は横溝的な気が。

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    2020年05月04日
  • 戦時大捜査網

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    ‪月輪龍太郎シリーズで知られる著者の新作。戦時下の東京を舞台に特捜隊隊長が謎めいた連続殺人事件の真相を追うミステリー。いや、踊る大捜査線シリーズのような警察組織モノと言った方が正確か。勘の良い人なら真犯人は当てられる気がするけど、第二次世界大戦を背景に軍も絡んで二転三転していくストーリーは先が読めず面白かった。‬

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    2020年04月04日
  • 月輪(がちりん)先生の犯罪捜査学教室

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    探偵の月輪が帝国大学で犯罪学を教える事に。
    わずか3名の受講生は、実地研修として実際の犯罪に対して、各々推理を披露する。
    しかし、結局解決するの名探偵月輪であった。

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    2019年11月09日
  • 黒龍荘の惨劇

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    私は本格ミステリ&館ものを数年ぶりに読んだ上の感想です。
    所謂、雪山の山荘とは違う形での館ものです。舞台が明治時代で元勲の名前が出てくるので難しいと思われてしまいがちですがそれらの知識がなくても楽しめます。「むしろ無い方が楽しめ「」時代背景も丁寧に解説しています。ただ推理の道筋の付け方など明治人の探偵にしては言動や当時の風習など現代ぽい印象がありました。明治人である探偵とワトスン役及び警察が現代人に見えてやや不思議な印象でした。

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    2019年02月21日
  • 信長の影

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    織田信長により、その人生を振り回された武将達を描く、連作短編集。
    上杉謙信、織田信光、浅井長政、柴田勝家、足利義昭、蒲生氏郷、織田秀信、土田御前。
    取り上げる武将達の選択が素晴らしい。織田信長のいろんな一面を垣間見る事が出来る。
    よみやすく、大変面白かった。

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    2019年02月13日
  • 海妖丸事件

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    ネタバレ

    前作の『黒龍荘の惨劇』の衝撃が強かったせいか、事件の真相も解決もおとなしめでサラッとした印象。もっと個性的で謎めいた乗客がいたらお楽しみ度も上がったかもしれないなぁ。
    ミステリー的には辛口になってしまったが、海上の密室とも云える豪華客船内で絡み縺れる人間関係に宝石の盗難事件、そして殺人事件まで次々起こる仕掛けは緊張感があったし、何より1等の優雅な船旅を楽しんだ気になれて夢心地。
    ラストもホロリときて前作の読後感とは別の装い。お幸せに…。

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    2019年01月23日
  • 帝都大捜査網

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    昭和十一年の連続殺人事件。死体が発見されるたびに、刺し傷が一つずつ減ってゆくのはなぜか。
    警視庁特別捜査隊が事件を追うが、物語は捜査陣と事件関係者の二つの視点で交互に進んでゆくので、謎解きというよりクライムノベルのサスペンスだった。この時代にこんな犯罪があったらすごい。
    面白かったけど、事件を後追いする捜査陣パートのインパクトが弱かったのがちょっと残念だし、最後のオチはなるほどと思ったが物語の中では浮いてるかも。

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    2017年11月19日
  • 帝都大捜査網

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    警視庁の特別捜査隊が被害者全員が多額の借金を背負っていたという唯一の共通点から事件の真相を探って行きます。二つのパートが交互に展開して行くのですが、犯人側パートはコンゲーム的な駆け引きが繰り広げられる心理戦が面白いですし、終盤からはどんでん返しの連続でページをめくる手が止まりません。満足度は高めですが、解決した後の最後のサプライズが蛇足に感じるのと、この時代にする必要を感じられないのが唯一残念に思うところです。

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    2017年11月18日
  • 帝都大捜査網

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    舞台は昭和11年、帝都。連続殺人事件モノ。一見接点が無いように思われる被害者達。死体は発見される度に刺し傷の数が一つずつ減っていくのだが、なぜか?
    途中から被害者側からの視点も描かれ、デス・ゲーム(コン・ゲーム?)の様相を呈してくる所から俄然面白くなっていきますね。
    ネタバレ回避の為にぼかして書きますが、アレに向けての随所のあれ関係の記述は、ミステリ読み慣れてる読者からすると半分見え見えなんで、衝撃あんまり受けなかったんですが、そんなところより、普通に途中のデス・ゲーム部分の貝塚視点の心理描写だけで充分面白かったです。

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    2017年10月05日
  • 帝都大捜査網

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    昭和11年頃の帝都を舞台に、奇妙な連続刺殺事件の真相を警視庁特別捜査隊が追う。

    帝都警察による推理捜査モノと思いきや、交互に事件の描写も進行していくため、クライムノベル的な要素もあり。その事件がまさにクローズドサークル内のデス・ゲーム。まぁ、時代推理モノでこの手の犯罪は新鮮かもしれない。なので、面白く読めたのではあるが、ただ肝心の捜査の詰めの部分で、娘と事件の繋がりが出てきたことには不満。ご都合感満載じゃないか。最後の一文も、確かに驚きつつ納得はしたものの、デスゲームの事件の真相が面白かっただけに、それほど必要な設定だと思わなかった。

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    2017年08月30日
  • 黒龍荘の惨劇

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    ネタバレ

    大掛かりかつ冷酷非道な真相に戦慄。平坦な道を歩いてきて、いきなりストンと深く暗い穴に突き落とされた感じ。犯人は予測できてもこの真相の予想は普通の人には難しいだろう。黒龍荘に好ましい人はいなかったけどそれでよかった。じゃなければ後々ショックが大きいわ…。
    事件そのものも時代の波に葬られ被害者も浮かばれずモヤモヤは晴れないが、現実起きた凶悪事件を殺人トリックに繋げてミステリーにしてしまうあたり作者の力量を感じる。
    主役の月輪くんも杉山くんも個性が弱いので、風変わりな蘭子さんの出番と啖呵に唯一スカッとできた。

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    2017年01月26日
  • 偽造同盟

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    ネタバレ

    1943年初頭、陸軍参謀本部は戦局転換を目的と したアメリカ経済打撃策「米ドル紙幣の偽造計 画」を開始。だが、実行を目前に第二次世界大戦 は終わり、偽ドルの原版と印刷機は陸軍特殊部隊 によって破壊・隠蔽されたはずだった──。 1947年夏、東京で起こった殺人事件の現場で旧 陸軍が製造したと思われる偽造ドル紙幣が発見さ れた。消滅したはずの計画が露見することを恐れ た日本政府は、印刷機回収のため秘密裏に捜索を 始める。手がかりは当時、印刷機破壊を命じられ たまま行方不明となった6人の将校。しかし、そ こにはGHQによって巧妙に仕組まれた偽装の罠が 待っていた!!

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    2016年02月01日
  • 伊藤博文邸の怪事件

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    事件そのものが小粒なのと、歴史上の人物の造形が浅いところに物足りなさが残りますが、密室、推理合戦、手記形式を利用したミスディレクション、大どんでん返しなど、推理小説のネタが盛り沢山ですし、事件と時代背景を上手く絡めているところや、歴史小説なのにライトに読めるところなど好印象な点が多く、トータルで見ればなかなか良く出来た作品だと思います。

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    2015年08月31日