あらすじ
国民服を着た、丸刈りの女の死体。なぜ男装していたのか、殺害現場はどこなのか、そしてこの女は何者なのか。一切が五里霧中のまま、同じ方法で殺害された別の死体が発見された……。1944年、戦争のため5名にまで人員を削減された警視庁特別捜査隊は、特高や軍、果ては空襲に邪魔されながら、真実を求めて懸命に捜査を続ける。特捜隊隊長、仙谷が最後に目の当たりにした異形の真相とは? 実力派が贈る戦時下警察小説の傑作、登場。
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Posted by ブクログ
1944年、戦時中の東京が舞台。丸刈りに男装をした女性の死体が倉庫の片隅から発見される。死体は腹を切り裂かれており猟奇犯かと思いきや、その一か月後、次は男性が同じ殺され方で発見される。米軍による度々の空襲に翻弄される帝都で、警視庁特別捜査隊は懸命に捜査を続けるがーー
次々に展開していく事件様相を、現場の下っ端刑事ではなく本部で報告を待つ特捜隊隊長を主役に据えることでテンポ良く話を進めていく事ができていて、結果、物語がダレずスイスイ読み進められるのが良い采配です。
あの時代ならではの設定と物語、「3月のあの日」に何が起こっているか読者である我々は知っているが故の、「その日付」が物語の中で近づいていくにつれ盛り上がるサスペンス。空襲の描写も凄まじく、作者のもともと持っているどちらかというとドライなテイストの文章のが、今作の時代を描く上でとてもマッチしていて最高。面白かった!
Posted by ブクログ
戦時下の警察小説。
『帝都大捜査網』の続編だが、特別捜査隊の面々はすっかり代替わりしているから前作とは関係なかった。
1944年、戦争のため5名に削減された警視庁特別捜査隊が、猟奇殺人の真相に迫る。
東京大空襲で何万人もの死者が出る中で、主人公たちのほか特高や軍部などそれぞれの立場や思想が違うものの、捜査陣が真摯に捜査に邁進するところがすごい。事件の真相はこの時代ならではだし、空襲や悪天候の中で捜査が困難をきわめるところが読みごたえがあった。
Posted by ブクログ
戦争真っ只中の警察小説から始まり特高が出てくると現代の公安ものぽく展開し、陸軍が絡みながら事件がデカい様相へ変化し、空襲の果てに明かされた真相はある意味なあ。
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