岡田秀文のレビュー一覧
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題名が示すとおり、<大坂の陣>を巡る物語である。
<大坂の陣>とは、「反江戸幕府」の旗頭になる可能性が在る豊臣秀頼を排しようということになり、大坂を舞台に展開した戦いで、「冬の陣」と「夏の陣」とが在る。「冬の陣」の停戦後、少し経ってから「夏の陣」の戦端が開かれ、豊臣家の本拠地であった大坂城は焼け落ちてしまう訳だ。
本作は「豊臣秀頼を排しよう」と徳川家康が思うようになったという辺りから、何年間かの江戸幕府での動きも入って、やがて「鐘銘の問題」で<大坂の陣>に突入し、展開する戦いや様々な出来事の末に大坂城が焼け落ちてしまうまで、加えて徳川家康の人生の終焉までが淡々と描かれている。なかなかにボリュー -
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ネタバレ推理小説を読んでいる様な面白さ!さすが岡田秀文さんです。
『秀頼、西へ』は改題で元タイトルは『落ちた花は西へ奔れ』。
タイトルに秀頼の名前が入ってますが、主人公は真田大助。でも秀頼好きのひとにも
充分楽しめる内容かと!
この小説はあんまりネタばれというか、ストーリを書きたくない感じです。
なんという感想放棄!
真田親子(信繁大助)や秀頼、大野治長や淀君好きな方にどきどきはらはらしながら読み進めていただきたい感じ!
秀頼がもー・・・深窓の佳人(本来は女性に使う言葉ですが、この言葉がしっくりくるなあと思ったので使わせてください!すみません!)という言葉がぴったりで・・・人のよさそうな子でね・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ平均以上ではあるが、手放しに賞賛する気にはならない。
首なし死体が出てくれば、読者は必然的に身元誤認かと身構えてしまう。
そして結局トリックはその通り身元誤認が行われており、それが家族規模で行われていたというだけ。
十六の列挙された謎は矛盾なく見事に解かれている点は素晴らしいが、トリックが少し弱く、手がかりも少ない。
物語としても中盤は少し中弛みしており、単調になっている印象。しかも探偵役の月輪は本当に何もしておらず、警察だけの方が良かったのでは?とすら思えてしまう。
トリックの完成度としては高いと思うが、もう一捻りほしいところ。悪い作品ではないが、やや物足りない。
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Posted by ブクログ
1944年、戦時中の東京が舞台。丸刈りに男装をした女性の死体が倉庫の片隅から発見される。死体は腹を切り裂かれており猟奇犯かと思いきや、その一か月後、次は男性が同じ殺され方で発見される。米軍による度々の空襲に翻弄される帝都で、警視庁特別捜査隊は懸命に捜査を続けるがーー
次々に展開していく事件様相を、現場の下っ端刑事ではなく本部で報告を待つ特捜隊隊長を主役に据えることでテンポ良く話を進めていく事ができていて、結果、物語がダレずスイスイ読み進められるのが良い采配です。
あの時代ならではの設定と物語、「3月のあの日」に何が起こっているか読者である我々は知っているが故の、「その日付」が物語の中で近づい -
Posted by ブクログ
戦後直後、GHQ支配下の日本で、偽ドル紙幣印刷機を巡り、日米露の騙し合いが勃発する。
最近、この時代の陰謀モノが流行ってるのかな??この手の作品に出会う機会が増えた気がする。まぁ、中野学校出身の元陸軍スパイとか、陰謀モノ好きな私には堪らないワード満載で好みなんですけど。
この時代ならではか、資本主義と共産主義、日本政府とGHQなど、組織背景が複雑に入り乱れていて、誰がどこでどう繋がっていくのか、最後まで気が抜けない。にしても、ちょっと複雑にし過ぎな気もしないではないが、最後のどんでん返しは痛快で面白かった。文中で語られる通り、またこの四人での活躍を読んでみたいな。