あらすじ
明治26年、杉山潤之助は、旧知の月輪龍太郎が始めた探偵事務所を訪れる。現れた魚住という依頼人は、山縣有朋の影の側近と噂される大物・漆原安之丞が、首のない死体で発見されたことを語った。事件現場の大邸宅・黒龍荘に赴いた二人を待ち受けていたのは、不気味なわらべ唄になぞらえられた陰惨な連続殺人だった――。ミステリ界の話題を攫った傑作推理小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
平均以上ではあるが、手放しに賞賛する気にはならない。
首なし死体が出てくれば、読者は必然的に身元誤認かと身構えてしまう。
そして結局トリックはその通り身元誤認が行われており、それが家族規模で行われていたというだけ。
十六の列挙された謎は矛盾なく見事に解かれている点は素晴らしいが、トリックが少し弱く、手がかりも少ない。
物語としても中盤は少し中弛みしており、単調になっている印象。しかも探偵役の月輪は本当に何もしておらず、警察だけの方が良かったのでは?とすら思えてしまう。
トリックの完成度としては高いと思うが、もう一捻りほしいところ。悪い作品ではないが、やや物足りない。
Posted by ブクログ
ちょっと最後まで謎解きのヒントは少な目で謎は解けなかった。ある意味、占星術殺人事件を彷彿させるトリックだった。探偵ちょっと物足りない感じはするかな。でも、「月輪」ぅて名前きにいっちゃった。
Posted by ブクログ
自分はかなり面白いと思ったが評価が分かれる作品だと思う。ストーリーの展開から犯人を捜すセオリーからは少し外れている所が評価の分かれ目だろう。
最後にそう持ってきたかと手放しで感心するか、それは無いと思うかの差だと思う。
ただ警察がどのようにして犯人にたどり着いたのかが触れられていないのが不可解だ。
Posted by ブクログ
時代背景が明治。作中に漂う雰囲気や、中盤までのスピード感は良かったが、終盤にかけて中だるみ。
特に、トリックに期待していただけに、ちょっと最後は残念な幕引き。
Posted by ブクログ
文庫王国と、新本格ミステリ新書から。どちらからも推薦されているってことは、それなりに信頼できるんじゃないか、と。しかしまあ、なかなかの惨劇ぶり。凄惨を極める真相も、グロテスクさに輪をかける。著者の他作品も是非!とまでは思わなかったけど、結構楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ
トリックや雰囲気は非常に良かったが、全体的にはあまり満足できなかった。連続殺人事件であるから長くなるのは仕方ないのだがそれにしても長いというのが正直な感想。トリックに主眼を置くハウダニット物とするならば伊藤や山縣など政治色を絡めずとも作れた気がするし、明治を舞台とするならばやはりワイダニットに主眼を置き、時代の闇をとことん明らかにするような話であっても良かったと思う。
また、連続殺人物ではよくある設定であるが探偵が仕事をしてなさすぎる。全て殺人は実行されているし、最後探偵語りしているが警察の方が先に辿り着いているという落ち。助手もあまり役に立たず、前作を読んでいないので彼である必要性も感じられなかったのは大きいと思う。
Posted by ブクログ
明治が舞台の殺人劇、のわりには意外と読みやすく、すいすい読めました。しかし、黒龍荘という大邸宅が舞台のわりにはそれが活かされているというわけではなく、ちょっと残念。探偵役はタイプ的に明智小五郎な感じですが、話は横溝的な気が。
Posted by ブクログ
私は本格ミステリ&館ものを数年ぶりに読んだ上の感想です。
所謂、雪山の山荘とは違う形での館ものです。舞台が明治時代で元勲の名前が出てくるので難しいと思われてしまいがちですがそれらの知識がなくても楽しめます。「むしろ無い方が楽しめ「」時代背景も丁寧に解説しています。ただ推理の道筋の付け方など明治人の探偵にしては言動や当時の風習など現代ぽい印象がありました。明治人である探偵とワトスン役及び警察が現代人に見えてやや不思議な印象でした。