笹本祐一のレビュー一覧

  • カーニバル・ナイト

    Posted by ブクログ

    “「どーして転校生連れてんだよ!」
    「んえ?」
    言われて振り返った沖田は、狛犬の所から引っ張り出した結希の手をつかんだまま逃げてきたのを思い出して目を覆った。連れられてついてきた結希が、困ったような顔をして視線をはずす。
    「えーと、あのこれは、なんとゆーか……」
    真田に言い訳しようとして、沖田はあらためて斜め上を向いている結希の顔をしみじみと見直した。
    「おまえ、本当にSCFか?」
    結希はうなずくように目を伏せた。腹に響くような七四式戦車の一〇五ミリ砲の発射音が照明弾の空に響いた。真田が思わず耳を塞ぐ。
    「とりあえず、逃げよ」
    「どこへ?」
    真田が訊いた。沖田は結希の手をつかんだまま歩き出した

    0
    2012年05月09日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    かなりのスピード感。サクサク物語が進行する。置き去りにされてしまった場面もチラホラ。


    やはり考えてしまうのは「この本が約30年も前に描かれた」ということだろう。


    自分は生まれていないが、バブルの少し前だろうか。そんな時代に描かれたのだ。この作品は。


    今でこそ学園SFというおおまかなジャンルは確立しているのだろうが、30年前にはそんなものはなかっただろう。やはり、何事も最初になすというのは、陳腐な言い回しになってしまうが、ものすごいことなのだろう。


    今更思うが、物語が創り出す想像の世界はすごい。言葉だけで、無限に世界を広げてしまう。その世界に浸れることが、今の私の最高の幸せなのだ

    0
    2012年04月29日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    初出版は1984年の作品。当時でいうところのジュブナイル小説。
    フツーの高校生が転校生の女の子と出会い、実はその子は超能力者で超国家組織に追われていて、仲間と一緒に彼女を救う。という王道の設定と怒涛のトラブル&アクションはありきたりなストーリーではあるけれど、読みやすいことこの上ない。
    新宿アルタ前で始まる物語は、ちょっと描写が古いが、主人公の目線に入り込むには申し分ないし、青春フルスロットルストーリーとしてはまだまだアリな作品。
    全4作なので全部読んでみたいと思う。

    0
    2012年03月22日
  • ハレーション・ゴースト

    Posted by ブクログ

    “「まったく何なんだ……」
    沖田は訳のわからない顔でベッドに腰をおろした。
    「現在男子寮金紺館では廊下を中心に猛吹雪に襲われており、階段では雪崩の危険があります…一晩で男子寮がアルプスの山ん中にでもワープしたのかよ!」
    「さっき女子の新聞部と連絡とれてね」
    連絡待ちといった体の和田がいった。
    「今日は日が出た時から雲一つない快晴だってさ」
    「じゃなんで廊下の中にまで吹雪が舞ってんだよ!」
    沖田はびっしり霜のついた窓をにらみつけた。外は——白い闇。
    「季節外れのバカ雪でなけりゃ、何だ!自然研のマッドが降雪機の実験でもやってるのか」
    「自然研はシロだぜ」と和田。「さっき一年の奴が言ってた。文化祭で

    0
    2012年02月28日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    ふつうの高校生たちがハリウッド的な展開で宇宙まで飛び出しちゃうんだからすごいね。ジェットコースター的展開で楽しめました。27年前のSF作品傑作が新登場!

    0
    2011年12月25日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    “「まきこみたくないんだってば!」ノブが声をあげた。「迷惑かけたくなかったの!」
    「だったら、ほっといたよ!」
    榊も負けじとどなり返した。
    「エスパーの超能力コンプレックスなんざ、話の中にしか出てこないと思ってた」
    「あっそ」ノブが鼻をならした。「ここに一人、立派なコンプレックス持ちがおりますわ」
    「やだね......ったく」
    「あなたにはわからない」
    ノブが榊から目をそらした。
    「あーわーったよ。病気持ちのヒロインてみんな同じこと喚くんだから。わかったよ、超能力者。エスパー。へーへー、認めましょ。で、何が気に入らないんだ?」
    おだやかな口調に戻して榊が訊いた。
    「力があるってこと」ぽつんとノ

    0
    2011年11月30日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    有川浩さんの小説「レインツリーの国」を読んで気になったのがきっかけ。

    あちらを読んでしまったので、作品の結末はなんとなく予想できますが、

    続きが楽しみです。

    0
    2011年10月04日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    有川さんのレインツリーから影響を受けて読みました。すごくハチャメチャな設定だったけど、読んでて飽きないし面白いから名作と言われ続けて納得。高校生っていいな、若いっていいなと思いました(笑)
    ベタだけど沖田&つばさコンビが好きです。だけど、地味なくせにどたばたの局面でとんでもないことをする榊も好きです。
    おもしろかったんだけど、会話文ばっかでちょっと読みにくかったのと、続編への期待を込めて★は四つです。

    0
    2011年09月21日
  • 星のダンスを見においで 宇宙海賊編

    Posted by ブクログ

    それにさ、あの場はああ言ったほうがかっこいいとおもわない?(p.256)[内容]順応しつつある唯佳/物理法則すら書き換えることができるノウハウが「笑う大海賊」のお宝らしく、皆が欲しがっている/海賊たちは手を結ぶことにし、その頭にジャックを据えたいというがなんせ海賊なので誰かが裏切りそうだ/また、既にスクラップ寸前になっているヴァイパー(コンピュータは上物)をどうするのか/ようやく「海底軍艦」的機能が役立つ[感想]ハードな「ひと夏の経験」ですなあ…

    ■簡単な単語集

    【アルピナ】海賊。アレックスの部下。スキンヘッドの大男。身体をあれこれ改造しており自称「ワンマン・クルーザー/一人巡洋艦」。

    0
    2024年09月29日
  • 星のダンスを見においで 地球戦闘編

    Posted by ブクログ

    地球に隠遁していた元宇宙海賊がお宝らしい何やらをめぐって以前の部下たちとドンパチやりあうライトな宇宙冒険活劇。「ワンピース」と「ターミネーター」と、うーん、そうやなあ…「スカーレット・ウィザード」を足したような感じ。前半はアクション満載のわりにちょっとテンポが悪い。たぶん、いちいち軽く説明が入るからそこでカクッとなって乗り切れなかったかも。唯佳がアレックスに捕まって以降、会話主体となり少しテンポがよくなった。戦闘シーンは今どきらしく情報戦の駆け引きから。

    ■簡単な単語集

    【アルピナ】海賊。アレックスの部下。スキンヘッドの大男。身体をあれこれ改造しており自称「ワンマン・クルーザー/一人巡洋艦

    0
    2024年08月30日
  • 裏山の宇宙船 下

    Posted by ブクログ

    役者あとがき読んだら、中高生向けとおもくそ書いてたわ!
    まぁまぁおもしろかったけど、もう気持ちSFしてほしかったぁ

    0
    2024年07月20日
  • 星のパイロット

    Posted by ブクログ

    宇宙基地への物資輸送や
    宇宙設備の整備点検を行う民間企業。
    そこで働く飛行士や技術者たち。
    もうすぐこんな職業も当たり前になるかも。

    やる気はあるのに機会に恵まれなかった
    新人宇宙飛行士の美紀が
    アメリカの会社に臨時採用されてやってくる
    その最初のシーンから私好み(*´∀`*)
    映画を見ているようなやりとりがかっこいい!
    想像力が足りないので
    宇宙船を飛ばすブースターのような物体は
    テキトーな形でしか捉えられないけど
    それをギリギリかわす小型機の姿は思い描ける。

    そんな美紀のミッションを成功させるために
    最初は能力を疑ってたりした社員たちも
    だんだん仲間になってきて
    それぞれの仕事に熱が入

    0
    2023年09月21日
  • 星の航海者1 遠い旅人

    Posted by ブクログ

    創元版の「星のパイロット」シリーズは古本で入手して積んだまま、読んだのはノベルス版だけど、毎度ながら記憶にございません。

    で、続編ってどういうこと、と思ったら、あぁ、あの人とあの人が登場するんだ、と。

    いまだ冒険のボの時もないプロローグのプロローグだけど、ミニスカや放課後が再開できるよう順調に進むのかどうか、不安しかありませんねぇ…

    0
    2023年04月07日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    ライトノベル、という言葉すらなかった頃のライトノベル。
    あちこちのレビューでもいわれているが、脇役の万能っぷりが凄まじい。

    高校生スペックを遥かに上回っている。

    展開も色々ぶっ飛んでいるが、話としては面白い方かと思う。

    0
    2022年09月11日
  • 星のダンスを見においで 地球戦闘編

    Posted by ブクログ

    アクションシーン多め。解説でリアリティがあると書かれているけど、戦闘シーンで誰も死なないしライトノベルだしリアリティあるかな。1992年の作品なので古いし時代を感じる。

    0
    2021年05月18日
  • 妖精作戦

    Posted by ブクログ

    『妖精作戦』は1984年の作品で、ライトノベルの先駆けとも言われ、有川浩さんなどの多くの作家に影響を与えたという。
    また、4巻あるシリーズのラストは当時読んでいた若者たちの間で物議を醸したそうだ。
    2011年の創元SF文庫復刊版では、有川浩さんが解説を務めた。

    先に、悪かったところを述べておこうと思う。
    この作品は笹本さんのデビュー作であり、加えて、先駆けだろうがなんだろうがラノベはラノベである。
    だから、文章は上手ではない。
    三人称視点と一人称視点が混ざり合っていたり、段落を変えずに違う人物の視点に変わったりするため、読みづらい。
    また、心理描写がとにかく少ない。
    せっかく魅力的なキャラク

    0
    2020年10月07日
  • 放課後地球防衛軍 1 なぞの転校生

    Posted by ブクログ

    SF。学園。
    王道SFライトノベルという感じの設定。
    個人的なイメージとしては《涼宮ハルヒ》シリーズに近い印象。
    都合の良すぎる展開でサクサク進むので、読みやすい。
    キャラクターの個性はあまり感じず。次作に期待。

    0
    2020年09月05日
  • 放課後地球防衛軍 2 ゴースト・コンタクト

    Posted by ブクログ

    もうこういうのが書ける人はこの人しかいないんじゃないかと思う、笹本祐一です。
    ザ・笹本と言わんばかりのいつもの感じですが、これを昭和とかノスタルジックとか呼ぶのはいささか陳腐でしょうか。

    でもこのレトロな雰囲気こそが好きなのです。

    で、2巻。
    倉庫の奥から見出されたオーパーツ日本人形の鞠子さんとなんとかコンタクトを取ろうとあーだこーだするお話。
    高校のイチ部活が超絶ハイスペックだったりするのが、ほんと好きで好きで。

    0
    2019年08月17日
  • 放課後地球防衛軍 2 ゴースト・コンタクト

    Posted by ブクログ

    久しぶりの笹本本。
    楽しみにしていただけに、ちょっとドキドキが足りないかな。
    鞠子さんとの通信も、某火星サバイバル映画ネタと被ってしまって、新鮮味が足りない。
    今回のシリーズは、キャラじゃなくて出来事中心に進んでいくなら、もう少しドラマほしいなぁ。

    ところで最古のラノベ作家ということは、最古のラノベ作家をソノラマ文庫から追いかけ続けている私も、最古のラノベ読者なのだろうか?

    0
    2019年08月13日
  • 放課後地球防衛軍 2 ゴースト・コンタクト

    Posted by ブクログ

    1巻に続いて相変わらず硬派かつ骨太なライトノベルだ……という印象。まさしく理系の小説なので、文系に生まれてしまった自分との相性は決して良くないんだけど、だからこそ珍しさというか、普段と違う毛色の話に触れるという体験自体は楽しい。
    登場人物にそれぞれ「この人物はこういう性格なんだろうな」というのが割り振られてはいるものの、それが全くキャラクター然としていないというか、システマチックに喋る分人間味が薄いと感じてしまって登場人物にあまり愛着が湧かないんだけど、その辺もまた硬派なわけですよ。そういうのが好きな人は、そういうライトノベルを読めばいいだけの話で。このベテラン作家さん(現役最古のラノベ作家を

    0
    2019年04月29日