菅野久美子のレビュー一覧
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以前、所有していたアパートで孤独死の案件があった。
独居男性だったが、とある新興宗教の信者だったこともあってか、翌日には訪問した信者に発見され、遺体の損傷などはさほどなかったようだ。
少なくとも宗教を媒介にした他者との交流が、彼にはあったということだ。
とはいえ、当人の死後は、葬儀をしてくれるわけでも合同墓に入れてくれるとかいうわけでもなく、なんのための宗教だと思わないでもなかったが。
著者も述べるように、孤独死に至るまでには、その前に幾つもの人生の躓きがあるのだろう。
それが何だったのかは知る由もないが、彼も、汚部屋や悪臭のクレームだけでなく、家賃の滞納が目立ち始め、退去に向け訴訟を行って -
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ネタバレ2024/12/22予約 34
2025/03/11予約 18
虐待サバイバーが母親の死に顔を見たくない関わりたくない気持ちから家族代行業を依頼しようと決めるまで。昔は母親にとっての子どもで、今は自分の子どもにとっての母親のパーセンテージのほうが高いが、どちらも経験しているので共感するところもある。この親のもとに産まれなければ、別の組み合わせならば、と思うほど親子って難しい。それでも子どもを10ヶ月お腹で育て出産後も親は続く、それだけでも十分ヘビーな行為ではあるとも実感する。
著者が一番納得できる結論を導く事ができ何よりだと思う。 -
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特殊清掃現場から見えてきたものが書かれている本。
孤独死した人のことだけでなく、特殊清掃業者や生きているときにサポートする団体や人にもスポットが当たって話を聞いているところが興味深かった。
終活サポートする団体の人が「要介護者と親族が笑顔で接するのが一番。ニコニコして介護できる状態を作る」というのが納得。
こういうことはお願いしたいなと思った。
特殊清掃現場というと老人の孤独死ばかり想像していたが、ゴミ屋敷に住んでいた若い人が失踪した事例は結構衝撃的だった。オムツが散乱したゴミ屋敷になっている最中も別居の家族と普通に付き合っていて、仕事にも普通に行っていたなんて…。 -
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・孤独死の実情、防ぐための取り組み、関わる人たちの声などが書かれている本。
・結婚していても2人だけで閉じていれば、どちらかが亡くなったときに一気に孤立するリスクがある。
友人知人とのコミュニケーションが大事。
・若い世代は隣近所や自分のことを深く知らない人には干渉されないほうがいいと感じているが、そういう考えはリスクが高い。
多少面倒だと思っても近隣の人と挨拶するなどして交流することを心がけることが重要。
・高齢の孤立予防には、生涯現役で働くことが一番の処方箋。
・人と関わるのが苦手な人ほど地域の活動をして人と関わる機会を増やしたほうがいい。
・困っている人がいたら…頼まれたら助ける、頼まれ -
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「超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる」著者の自伝。
同年代なので、暗い90年代とか「日本一醜い親への手紙」とか「完全自殺マニュアル」とかエヴァンゲリオンとかがグサグサ刺さる。
ハルキストな現実逃避エセインテリおじさんとかも死ぬほどいた時代であったな…と思う。
著者が書くように、そういう時代の空気があった。戦後の急激な変化に対応しきれない世代に育てられて旧態依然とした価値観に縛られながらも、新自由主義に踊らされたしらけ世代。
そんな世代に育てられた私たち氷河期世代が生きづらさを抱えないわけないじゃないですか。
母親のヒステリーと父親の暴力はほとんどの家庭で標準装備でしたよね。離婚とか難しい -
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「母をさがす」の後に読んだこの本は、真逆と言ってもいいような…
時代や社会情勢、環境により自分の思うようにならなかった…という母親もいるかもしれないし、それぞれ母親に対する思いは違うのもわかる。
著者は、赤裸々に毒母との38年を描いている。
4歳の時の記憶にある虐待から始まり、教育虐待、そして中学からは引きこもり、家庭内暴力…など。
本当は愛情に飢えていたのかもしれない、虐待されながらも母親の身体の温かさを感じたり、作文を書き表彰され喜んでもらえることを望んでいたのだから。
だけど「日本一醜い親への手紙」を何度も読むということは、知らない誰かも似たような気持ちだと感じていたかったのかと思 -
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孤独死した物件の清掃を担う、特殊清掃業者を取材した本。
覚悟はしていたけど、かなりグロテスクな描写が多かった。
特に夏場は、特殊清掃業者の繁忙期。
遺体の腐敗進行が速いため、近隣住民からの苦情が殺到するから。
あとは、熱中症による死亡も多いから、夏場は孤独死が多いらしい。
孤独死するような人は貧困層が多いから、そもそもエアコンがなかったり、あっても電気代が高いからつけなかったり、壊れていて放置したりすることが多い。
高齢者だと、行政の福士に繋がりやすいが、問題は福士に繋がらない若い現役世代。
失恋、離婚、退職、様々な原因で人生に躓いた人が心を病み、立ち上がることが出来ないまま、どんどん生活 -
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この本からは特殊清掃業車の過酷さと孤独死の社会問題が見えた。
言葉だけは聞いたことがあった特殊清掃だが実際に話を読んでみるとかなりえぐい現状が出てきた。
例えば死体跡に残る黒い体液や酷い匂い、ゴミで埋め尽くされ虫が溢れる部屋など。特に夏場は暑さでさらに酷い状況のようだ。こういった部屋を掃除しなくてはならない。
仕事を受ける流れとしては故人の近隣の人が部屋の匂いに気づき大家、管理会社、遺族などに伝えられそこから連絡が入ることが多い。特に夏場は暑さで死体の腐敗が速く酷い匂いによって発覚することが多く件数も多く、業者にとっては稼ぎ時だ。逆に冬は反対の理由で気づかれづらく数も少な -
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フリーライターによる孤独死の現状とそれをサポートする家族や業者の奮闘を、第三者の立場で、冷静かつ温もりを保ちつつ紹介したルポ。
読みやすく、孤独死のその住まいの対処の過酷さが伝わってきました。
大阪のメモリーズの横尾さんの思いが心に響きました。
生前整理ではなく、「生きていくための整理」である「福祉整理」をしたいと。「健康で自立した生活ができるようにするお部屋の片づけ、前を向いていくための整理をしたい。」p224
「取材を通して感じたのは、問題は一人で亡くなることではなく、もっと前の段階にある、ということだった。」p263
これにも共感。そもそも、を見つめないと改善には繋がらない。
実は身近な