野田秀樹のレビュー一覧

  • 20世紀最後の戯曲集

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    『Right Eye』
    実話を元に、現実と虚構の交錯。中学生のときに読んで、映像で見て、異様に憧れた。写真家・一ノ瀬泰造の目に肉薄、実在の人物をこんなふうに、倫理的に許されるのかとも思った。(のちに宮崎駿『風立ちぬ』に触れて こういう作劇はある、と改めて)

    『パンドラの鐘』
    「王ならば」痛烈な天皇批判だと思う。
    長崎出身の劇作家が描く『オイル』『正三角関係』と続く原爆三部作。

    『カノン』
    芥川龍之介の『偸盗』、ビゼーの『カルメン』を永田洋子に重ねて(なんでだ、)連合赤軍の顛末を。
    『贋作・罪と罰』、それから『Q』『兎、波を走る』にも永田洋子のイメージあり(なんでなんだ、)。

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    2025年09月04日
  • Q/フェイクスピア

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    昨晩、東京芸術劇場で観た「Q」の舞台の記録。
    3年前の初演も観たけれど、コロナやらウクライナやらで世の中の状況が大きく変化したせいもあり、再演である今回のほうがより心の奥底に響いた。

    ロミオとジュリエットの物語を源平合戦の時代に移し、戦争とシベリア抑留をからめ、全編を通してQUEENの音楽を用いる。しかも、悲劇の主人公のカップルは過去と現在の二人(松たか子と広瀬すず、上川隆也と志尊淳)が同時に登場して…と、一見ハチャメチャに思える設定も、野田秀樹の手にかかると違和感がないどころか魔法のように相乗効果で何倍にも膨れ上がって感動を呼ぶ。
    前半のドタバタ劇が後半では一転し、重く悲しい現実へと突き進

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    2022年09月10日
  • 21世紀を信じてみる戯曲集

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    「ザ・キャラクター」
    この戯曲がもつコトバをどこまで理解できているだろうか。
    問題は、このマドロミという存在だ。
    私たちははじめ、マドロミとともに「俤」の中の「弟」を探そうと書道教室にするりと入り込む。
    そして、探るために、自分の言葉でこの集団の狂気を増長させていくにつれて、あることを知る。
    弟は、地下鉄サリン事件(そう言い切ろう)の犯人であった、と。
    書道教室に騙されていた、殺された、被害者の家族という立場から、
    結局最後に気がついてみれば自分は加害者の身内であり、
    また、自分さえあの事件を増長させていった人間の一人へ。
    私たちは、間違いなくつきつけられている。
    お前は、まだ目を覚ましたくな

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    2011年03月25日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    劇詩人としての野田秀樹の言葉が、ばしばし伝わってくる一冊。
    言葉の『展開』という意味では『キル』が最高だけど、
    (キル→着る→斬る→生きる→切る)
    この本の三作品は、言葉の『すり換え』がきれい。

    Right Eyeを読む前に、
    『地雷を踏んだらサヨウナラ』(一ノ瀬泰造)を読むのもいいかも。

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    2009年10月20日
  • 当り屋ケンちゃん

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    表紙からギャグ。戯曲「小指の思い出」の原案。当たり屋ではあるもののケンちゃんは誰なのか。
    小指とは大分印象が違う。

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    2009年10月04日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    始めて観たの野田演劇が『パンドラの鐘』で、六年振りに戯曲を読んでみたのだが、その時の記憶が結構甦る。本当凄い人だなぁ、野田さん。

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    2009年10月04日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    「カノン」は学生時代にやった思い出深いお芝居。でも「パンドラの鐘」も好き。この人役者してもスゴイし、言葉遊び的ものが多くて小説以上に読んでて面白い!

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    2009年10月04日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    舞台として観たのは「パンドラの鐘」。戯曲として読んで一番印象に残ったのは「Right eye」。三作全編に通して言えるのはその言葉遊びの妙だと思う。野田秀樹の戯曲は「半神」しか演じたことはないけれど、戯曲として読むだけでも十分に楽しめる一冊。良質な戯曲は小説よりも面白いと確認させてくれた本。

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    2009年10月04日
  • おねえさんといっしょ

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    野田秀樹には高校時代にハマりまして、その巧みな言葉遊びなどに感化されて、オナニーのように戯文を書き綴っていた次第です。ああ恥ずかしい…。でもいまも好きな本の一つ。

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    2009年10月04日
  • 二十一世紀最初の戯曲集

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    ネタバレ

    三種三様の戯曲集。言葉の使い方が読めば読むほど深い。農業少女は当時から現代のこの日本の状況を予期していたんだと思わされる。

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    2025年10月23日
  • Q/フェイクスピア

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    舞台作品の書籍版。
    シェイクスピアをフェイクスピアと言う捩りが面白いが、ストーリーはQの方がお気に入り。

    Qは初めての舞台観劇で出会った。ロミオとジュリエット×平家物語×ラーゲリから来た遺書×Queenの音楽を巧みに混ぜ込んだストーリー。えもいわれぬ終わり方で、しばらく(1ヶ月くらい)余韻に浸れる。
    余韻の影響で平家物語(抄尺版)もラーゲリから来た遺書も楽しめた。

    本書では、無印のくだりがお気に入り。野田さんの作品は言葉遊びが効いていて楽しい。

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    2024年08月27日
  • 贋作・桜の森の満開の下

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    八月納涼歌舞伎、観劇の記録。
    野田秀樹率いる夢の遊眠社の代表作を、歌舞伎にアレンジしたもの。

    今は亡き中村勘三郎と約束したものの、歌舞伎として公演することが叶わなかった舞台。それを息子の勘九郎、七之助が演じるといういわくつきの作品で、早々にチケットも完売。野田ファンも少なくなかったようで、いつもの歌舞伎座の客層とはちょっと違った。
    かつては野田の演じた役を、勘九郎は真面目にこなす。七之助は、やはりもう少し凄みがほしい。ラストの桜のシーンは、滅びの美しさが見事だった。

    初めて観た夢の遊眠社の舞台が、この作品だった。大袈裟でなく、芝居の概念が根底から覆されたと感じ、目眩がした。
    野田秀樹の機関

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    2017年09月20日
  • この人をほめよ

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     雑誌に連載されていた内容に書き下ろしを数編プラスしたエッセイ集……というべきかどうか、少し迷うが、その類の本である。
     偉大なる我らの野田秀樹大先生は、その優しさからとにかく他人をほめる、ホメる、褒める。人間を革命しちゃったあの人を、幸福を科学しちゃったこの人を、イラクで戦争を首謀しちゃったその人を、褒めて褒めてぶった斬る。そして返す刀で……やっぱり褒める。まことに痛快である。
     雑誌連載という事情を鑑みて、この文章の経年劣化は仕方が無いことだとはいえ、著者の人を観る角度や切り口、そして巧みな言葉遊びや展開の飛躍は「夢の遊民社」やその後の芝居とも重なるものがあるように思う。
     この人の戯曲は

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    2013年08月11日
  • 21世紀を信じてみる戯曲集

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    「ザ・キャラクター」「表へ出ろい!」「南へ」の三本立て脚本集。「ザ・キャラクター」が一番面白かった。「南へ」を観に行きたかったので、購入。(もう公演は終わってるので。。)野田秀樹、初めて読んだけど、結構面白かったから、ぜひ公演に行きたい。

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    2011年05月23日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    ストーリーが進むにつれて言葉の力に引き込まれる。インパクトのあるラスト。でもまだまだ自由になれるはず。

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    2010年05月08日
  • 贋作・桜の森の満開の下

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    坂口安吾の「桜の森の満開の下」の野田版戯曲。「今日でなくちゃだめなんだ」という台詞が今も耳に残っている。ビデオあり。

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    2010年02月08日
  • 20世紀最後の戯曲集

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    野田秀樹氏の戯曲集。
    おすすめはパンドラの鐘。
    戦争批判を真っ向からやるのではなく、徐々に解き明かしていって浮かび上がらせる手法は見事。正に20世紀最後の名作。

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    2009年10月04日
  • 当り屋ケンちゃん

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    大昔に読んだ本。タイトルと蛭子さんの表紙だけに誘われて読んだが、あの頃の俺は、この話のことがまったく理解できていなかった。あれから俺も歳を重ねて、この話の面白さが理解できるようになったかと言えばそうでもなく。俺の理解力がないだけなのか、それとも元々それほど面白くないのか。少なくとも以前に比べて内容は理解力できた。

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    2025年10月24日
  • 当り屋ケンちゃん

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    当り屋稼業を10年生業としている赤木圭一郎は、カモとなる地位の有る人間を標的にするため、怪しい会社の社長粕羽聖子に目をつけた。しかし、相手の粕羽も名うての当り屋であった…。

    ふざけたタイトルに、表紙が蛭子能収の血まみれの漫画。冒頭には短いエッセイのようなものが納められていて、これはひょっとして、エッセイ集だったかな?なんて思いながら読み始めたら、ちゃんと小説であった。

    初めの方は当り屋同士の化かし合いか?という内容なのだが、中盤を越えたあたりで話がこじれにこじれる。伝説の当り屋カスパー・ハウザーに、指紋がオオミズアオに持っていかれてしまった凧屋。そして、粕羽聖子の精神の中の世界へと飛ぶ。

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    2021年03月15日
  • 二十一世紀最初の戯曲集

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    野田秀樹を読む、と決めてかかって本屋で選んだ。
    農業少女が特に楽しめた。戯曲はよめど肝心の芝居を見ていないので気になるところ。避けて通っていた節があったけど、克服できるかもしれない。

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    2019年02月08日