あらすじ
はっきりした頭のうちに、この三つについてだけは書いておきたかった。長崎原爆投下、連合赤軍浅間山荘事件、そして「私」にふりかかった右眼失明の病。鶴屋南北戯曲賞、紀伊國屋演劇賞、芸術選奨文部大臣賞などの賞を総なめにした野田演劇の頂点がここに。「Right Eye」「パンドラの鐘」「カノン」を収録した記念碑的作品集。
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Posted by ブクログ
『パンドラの鐘』
「王ならば」痛烈な天皇批判だと思う。
長崎出身の劇作家が描く『オイル』『正三角関係』と続く原爆三部作。
原爆投下まえの長崎。遺跡発掘現場から古代の歴史が見えてくる、卑弥呼もとい、女王ヒメ女の決断。大正天皇の「遠眼鏡事件」。『蝶々夫人』『アイーダ』ほか。手塚治虫『火の鳥 ヤマト編』のイメージもあるか。
『Right Eye』
実話を元に、現実と虚構の交錯。中学生のときに読んで、映像で見て、異様に憧れた。写真家・一ノ瀬泰造に肉薄、実在の人物をこんなふうに、倫理的に許されるのかとも思った。(のちに宮崎駿『風立ちぬ』の堀越二郎の描き方に触れて、こういう作劇はある、と改めて)
野田秀樹が右目を失目して入院した実話より。報道カメラマン・一ノ瀬泰造の足跡を辿る。パパラッチ、夏目雅子。芝居をつくるということ。(寺山修司は覗き魔or露出狂かを問うた、)カンボジア内戦、クメール・ルージュ。
『カノン』
芥川龍之介の『偸盗』、ビゼーの『カルメン』を永田洋子に重ねて、連合赤軍の顛末に重ねる。
『贋作・罪と罰』、それから『Q』『兎、波を走る』にも永田洋子のイメージあり。
盗賊たちの物語と、魔性の女に惑わされる役人の男の物語を翻案。
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劇詩人としての野田秀樹の言葉が、ばしばし伝わってくる一冊。
言葉の『展開』という意味では『キル』が最高だけど、
(キル→着る→斬る→生きる→切る)
この本の三作品は、言葉の『すり換え』がきれい。
Right Eyeを読む前に、
『地雷を踏んだらサヨウナラ』(一ノ瀬泰造)を読むのもいいかも。
Posted by ブクログ
「カノン」は学生時代にやった思い出深いお芝居。でも「パンドラの鐘」も好き。この人役者してもスゴイし、言葉遊び的ものが多くて小説以上に読んでて面白い!
Posted by ブクログ
舞台として観たのは「パンドラの鐘」。戯曲として読んで一番印象に残ったのは「Right eye」。三作全編に通して言えるのはその言葉遊びの妙だと思う。野田秀樹の戯曲は「半神」しか演じたことはないけれど、戯曲として読むだけでも十分に楽しめる一冊。良質な戯曲は小説よりも面白いと確認させてくれた本。