野田秀樹のレビュー一覧
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『Right Eye』
実話を元に、現実と虚構の交錯。中学生のときに読んで、映像で見て、異様に憧れた。写真家・一ノ瀬泰造の目に肉薄、実在の人物をこんなふうに、倫理的に許されるのかとも思った。(のちに宮崎駿『風立ちぬ』に触れて こういう作劇はある、と改めて)
『パンドラの鐘』
「王ならば」痛烈な天皇批判だと思う。
長崎出身の劇作家が描く『オイル』『正三角関係』と続く原爆三部作。
『カノン』
芥川龍之介の『偸盗』、ビゼーの『カルメン』を永田洋子に重ねて(なんでだ、)連合赤軍の顛末を。
『贋作・罪と罰』、それから『Q』『兎、波を走る』にも永田洋子のイメージあり(なんでなんだ、)。 -
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昨晩、東京芸術劇場で観た「Q」の舞台の記録。
3年前の初演も観たけれど、コロナやらウクライナやらで世の中の状況が大きく変化したせいもあり、再演である今回のほうがより心の奥底に響いた。
ロミオとジュリエットの物語を源平合戦の時代に移し、戦争とシベリア抑留をからめ、全編を通してQUEENの音楽を用いる。しかも、悲劇の主人公のカップルは過去と現在の二人(松たか子と広瀬すず、上川隆也と志尊淳)が同時に登場して…と、一見ハチャメチャに思える設定も、野田秀樹の手にかかると違和感がないどころか魔法のように相乗効果で何倍にも膨れ上がって感動を呼ぶ。
前半のドタバタ劇が後半では一転し、重く悲しい現実へと突き進 -
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「ザ・キャラクター」
この戯曲がもつコトバをどこまで理解できているだろうか。
問題は、このマドロミという存在だ。
私たちははじめ、マドロミとともに「俤」の中の「弟」を探そうと書道教室にするりと入り込む。
そして、探るために、自分の言葉でこの集団の狂気を増長させていくにつれて、あることを知る。
弟は、地下鉄サリン事件(そう言い切ろう)の犯人であった、と。
書道教室に騙されていた、殺された、被害者の家族という立場から、
結局最後に気がついてみれば自分は加害者の身内であり、
また、自分さえあの事件を増長させていった人間の一人へ。
私たちは、間違いなくつきつけられている。
お前は、まだ目を覚ましたくな -
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八月納涼歌舞伎、観劇の記録。
野田秀樹率いる夢の遊眠社の代表作を、歌舞伎にアレンジしたもの。
今は亡き中村勘三郎と約束したものの、歌舞伎として公演することが叶わなかった舞台。それを息子の勘九郎、七之助が演じるといういわくつきの作品で、早々にチケットも完売。野田ファンも少なくなかったようで、いつもの歌舞伎座の客層とはちょっと違った。
かつては野田の演じた役を、勘九郎は真面目にこなす。七之助は、やはりもう少し凄みがほしい。ラストの桜のシーンは、滅びの美しさが見事だった。
初めて観た夢の遊眠社の舞台が、この作品だった。大袈裟でなく、芝居の概念が根底から覆されたと感じ、目眩がした。
野田秀樹の機関 -
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雑誌に連載されていた内容に書き下ろしを数編プラスしたエッセイ集……というべきかどうか、少し迷うが、その類の本である。
偉大なる我らの野田秀樹大先生は、その優しさからとにかく他人をほめる、ホメる、褒める。人間を革命しちゃったあの人を、幸福を科学しちゃったこの人を、イラクで戦争を首謀しちゃったその人を、褒めて褒めてぶった斬る。そして返す刀で……やっぱり褒める。まことに痛快である。
雑誌連載という事情を鑑みて、この文章の経年劣化は仕方が無いことだとはいえ、著者の人を観る角度や切り口、そして巧みな言葉遊びや展開の飛躍は「夢の遊民社」やその後の芝居とも重なるものがあるように思う。
この人の戯曲は -
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当り屋稼業を10年生業としている赤木圭一郎は、カモとなる地位の有る人間を標的にするため、怪しい会社の社長粕羽聖子に目をつけた。しかし、相手の粕羽も名うての当り屋であった…。
ふざけたタイトルに、表紙が蛭子能収の血まみれの漫画。冒頭には短いエッセイのようなものが納められていて、これはひょっとして、エッセイ集だったかな?なんて思いながら読み始めたら、ちゃんと小説であった。
初めの方は当り屋同士の化かし合いか?という内容なのだが、中盤を越えたあたりで話がこじれにこじれる。伝説の当り屋カスパー・ハウザーに、指紋がオオミズアオに持っていかれてしまった凧屋。そして、粕羽聖子の精神の中の世界へと飛ぶ。
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