鈴木邦男のレビュー一覧
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「朝まで生テレビ」などにも出演していた独特の雰囲気の論客で右派活動家の鈴木邦男氏の気骨ある文章が詰まった遺言とも言える一冊。
晩年は左右を超えるふしぎな立ち位置となった氏の思想に触れるには絶好の書とも言えましょう。
本書を読んで思ったのは、鈴木氏は「気骨ある人」に対しては左右の思想を問わず尊敬の念を抱くことができる懐の深さを持ち合わせた人だと言うことだ。氏のことを面と向かって罵倒する無頼漢に対しても「骨がある人だ」と称賛を惜しまず、格の違いを感じる。第一、本書自体左派メディアに寄稿された原稿であり、いわゆる右翼と呼ばれていた鈴木氏がいかに柔軟な考え方を持っていたかをうかがい知ることができる。ゴ -
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2023年、つい一年前に逝去した鈴木邦夫氏が残したコラム集。
残念ながら生前の活躍はあまり把握しておらず、
せいぜい右翼から左翼に転向したとか、彼こそ本当の右翼だ、
程度しか聞いたことがなかった。
彼の文章を読んでまず感じたのは、何とも愛すべき人物であった、
ということ。「右翼」のイメージからか、こわもてを想像していた。
そして、こちらは本質だが、いまの「右翼」が、いかにえせ右翼か、
真に日本を愛する、ということはどういうことか、彼の文章からその本質を
読み取ることができた。
そもそも右左の定義もあいまい。
自称右翼、自称愛国者もそのあたりは分かっていないのだろう。
馬鹿の一つ覚えのように、日 -
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この人の本は3冊目。
過激な右翼活動を続けてきた著者が「愛国心」を批判。
歴史の資料や、三島由紀夫の著作を丹念に読みそれらをもとに「愛国心って結局何?」ということをたどっていく。
なんだか、新書というだけあって、他の氏の著作よりも難しかった。
日本の愛国心なんていう概念は、藩が国だった江戸時代から、明治に移行する際に欧米に負けない為に天皇を中心として作られた概念だそうで。
「優しさ」「謙虚」「寛容」が日本人の良さであり、美徳であったのに、それが押し付けがましい「愛国者」により踏みにじられているという。
この日本という国とどう向き合うか・・・一人一人それを考えていきたいものだ -
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新・右翼の旗手だった鈴木邦男が、左翼の大物だった竹中労について書いてるところがミソ。
鈴木邦男がいかに竹中労の影響を受けたか、かわいがってもらっていたか、そして、鈴木の先輩格である野村秋介と竹中労との友情について繰り返し言及します。
ここで僕が思い出したのは、山田ズーニーさんの「あなたの話しはなぜ通じないか」の一節
【「意見」を共有するのは難しくても、「問い」なら共有でき、信頼感も増す】
でした。
まさに「思想」は共有できなくても現状に対する、あるいは将来に対する「問題意識」は共有できる、それを共有できるから、信頼しあえる。逆に「思想」が同じでも必ずしも信頼しあえるものではない、ということ -
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ボクは国を愛している。本人が言うのだから間違いない(笑)言うまでもなく、それ以上に自分を、家族を、故郷を愛している。
愛国がこじれると『日本以外はみんな屑』になってしまうんだろうか?愛国って、外に向けないと発露できないのだろうか?常々そう思ってきたので、『日本を守るのではなく、日本を守るべき価値のある国にする』という(私が達てに意訳してます)鈴木氏の主張には頷ける部分が少なくない。
しかし、日本てなんだろう?日本にかぎらず文化や伝統や歴史なんて重層的で多元的で、「個」の集合体なのだから、「これこそが日本文化だ」なんてものは存在しない。和食だって歌舞伎だって着物だって、日本文化を構成する要素 -
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ネタバレチェック項目14箇所。今の日本は、「ともかく愛国心を持て」「愛国心は常識だ」「愛国心さえもてばいい生徒、いい日本人になれる」と言っている、冗談じゃない、そんな単純なものではない、だから、この本では初心に返って愛国心とは何か、を考えてみた、愛国心は宝石にもなるし凶器にもなる、一面だけを見るのは危険だ。「愛国者」を自任する人は、家族や町、市、県からは孤立し、嫌われ、そのくせ「俺は愛国者だ」と言っている人が多い、三島の言うように、この共同体をピョンと飛び出して、国と自分が対等になって「愛している」と言っている、これでは思い上がりだし、錯覚だ。日本人の情緒的表現の最高のものは「恋」であって、「愛」では
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僕はプロフィールに「真正右翼」と書いているわけですが(笑)
この本を読んでもらうとその意味の一片が分かると思います。
護憲派のウエブマガジン「マガジン9」に連載されている「鈴木邦男の愛国問答」を再構成し、加筆して作られた本です。
ゆるく、自虐的な書き方をされていてそこは評価が分かれるところだと思いますが、これは「あえて」やっていることだと僕は思っているので、右翼に興味がない人、もっと言えば拒絶反応がある人に届くように書かれているのだと思います。
全体を読み通すと
「この人が右翼?」
と思われるかもしれましが
僕からいわせると、存命の方で言えば鈴木さんこそが
「ザ・右翼」
です。
(ネット -
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一水会という右翼団体の幹部だった著者による。公安警察伝家の宝刀「転び公防」も写真付きで紹介し、自身の悔しい経験も多くふまえた内容で、文章も読みやすい。転び公防とは、身柄を確保したいときに、活動家を取り囲んだ警官が、触れただけで勝手に転んで「公務執行妨害」として現行犯逮捕することらしい。国家権力恐るべし!
警察には刑事と公安という全く別の分野がある。国民の安全のために犯罪を取り締まるという点では共通するが、その組織、活動の実態はかなり異なる。刑事警察は何か犯罪事件が発覚したときに、捜査にあたって証拠を集め、被疑者を取り調べ、検察に引き渡す役目。報道に多く登場したり小説・ドラマになるなど華やか -
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ネタバレ愛国運動歴40年の著者が語る「愛国心」。
気になった点
・あの三島由紀夫は「愛国心」という言葉が嫌いだった。これは官製で押し付けがましく、国を単なる愛玩物に貶める言葉だったからだという
・そんな三島は押し付けがましくて現状維持を是とする「愛国」に代わって、「この国はこのままでいいのか?」と憂う革新的な「憂国」を旨とした。だからこそ自衛隊に決起を促そうとしたのであろう
・明治時代の右翼団体・玄洋社は孫文の中国国民党や朝鮮の東学党を支援したことがある。玄洋社は国家権力なくしては民衆の権利は守れないと考えた。
・改憲派の憲法学者である小林節は、改憲案に愛国心を盛り込もうとした自民党に対し -
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[ 内容 ]
三島由紀夫は言った「愛国心は嫌いだ」。
なぜか!?
新右翼の大物が問う「天皇と愛国心」。
[ 目次 ]
第1章 「愛国心は嫌いだ」と三島は言った
第2章 誰のものか―愛国心争奪の歴史
第3章 愛国と憂国―その決定的な違い
第4章 愛国者の条件
第5章 天皇制と愛国心
第6章 謙遜の日本史
第7章 天皇論の革命
第8章 過熱する女帝論議
第9章 三島の改憲・女帝論
第10章 「愛国心」の必要ない世界は来るのか
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