鈴木邦男のレビュー一覧
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ワールドカップがやってくるとナショナリズムが高揚する。愛国者にとってはまさに至福の時だろうし、自称左翼の方々には日の丸の旗が観客席を埋め尽くしているさまに眉を顰める御仁もあろう。しかし、いずれにしても私たちはきちんと愛国心について考えることを避けてきたのではないだろうか。その一方で、愛国心に反発を覚えつつ、ぬくぬくと「この国」の慈愛の中で日々の平安を満喫している人もいるのかもしれない。
それはさておき、世の中には自分は愛国者だと言いつつ、実際は不忠者が多々いるようだ。記憶にあるかどうかわからないが、日の丸・君が代を無理強いしようとして「強制しないように」と天皇にたしなめられた某自治体の教育 -
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安保とかあの頃の左翼、右翼、三島由紀夫のこと、時代の空気、維新からの流れなど今までよくわからなかったけれど、分かりやすかったです。
書いたのは新右翼の鈴木 邦男氏。
しかし、主張一辺倒と思いきや、すごく理性的でわかりやすい。天皇や日の丸に対して盲目的かと思ったらそうではない。
女帝も反対していない。
愛国を振りかざして利用するのは権力、体制であって
本来の愛国心は強制されたり監視されたり評価されたりするものではない、内におのずから持つものである、
愛国心を持て、と強制するより国民がおのずと恋せる国を造れ、と。
愛国でなければ非国民となじられる、糾弾される、
最近の風潮に危 -
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著者は本書では先進的な事を言っている訳でも、複雑な事を分かり易く噛み砕いている訳でもない。シンプルな事をそのままぶつけているだけだ。
それでも著者の思いが感じられる理由として、右翼の旗は掲げつつもその延長線上に何か釈然としないものがあれば立ち止まり周りを眺め、納得出来るものがあればそれがいかに左翼の持ち物であっても採り入れる、懐の深さが挙げられると思う。
やがては著者一個の愛国心として確固たるものとなっていく。右翼でもなく左翼でもない、鈴木邦男のこころ(一種の保守正道とも言えようか)が本書に書き連ねられている。
ふたば書房紫野店にて購入。 -
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自分は愛国者であると公言しなくてもいい。僕は愛妻家だと叫ぶようなものだ。愛国心は胸の中にしまっておいて、何かあったときに、それに基づいて行動すればいい。p.23 ▼愛国心は強制するものではない。自民党の憲法案のように国民に「この国を愛せ」と言うのはおこがましい。私(鈴木)は君が代が好きだ。だからこそ君が代を強制して、いやいや歌ってほしくない。学校で日の丸を強制されるのは嫌だけど、サッカーの試合では日の丸を振っている日教組の活動家がいるかもしれない。p.72 ▼日本は議会制民主主義のもと戦争に突入した。天皇は反対した。天皇独裁であれば、戦争は止められた。しかし立憲君主国家だから、国会が決めたこと
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警察は信じちゃいかん、と最近は思っている。迷子の世話や遺失物の取り扱いなんて付帯サービスに過ぎなくて、その実、警察ってのは人々を監視するのが本業だと思ってる。なかでも公安ってほんと、姿かたちがはっきりしないだけより怖いなと思っていて、だからこの本を読んでみた。そしたら、やっぱりはっきりしないまま。
著者は新右翼として活動していた関係から公安といろいろ攻防があったそうだけど、そんな彼にしたって公安の全容……どころかわからなことだらけで厚い秘密のベールに隠されていることがわかった。著者のいわんとするところは、「公安がいるために日本の治安が守られているのではない。逆に、公安が事件を起こし、治安を攪乱 -
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右翼だの左翼だのよくわからんなぁと思っていたのだが、
見沢知廉の映画で鈴木邦男さんが語っていた
「成田闘争は右翼のやるべき活動だった。
自分のイデオロギーと違うことをやって左翼は内部分裂し、
やらなかった右翼は国民からの信頼を失った」
を聞いて、日本の政党政治同様に右翼と左翼もねじれまくっているんだと 腑に落ちた。
本書で書かれているように「国土を守る」「日本の伝統文化を守る」のが本来の右翼思想なので、
放射能に領土を奪われるような原発に反対する事や、TPPに反対する事は右翼運動なのだ。
"右"や"愛国"を名乗っていながら、上記と違うような人々の主張は -
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このタイトルで筆者は右ってのがまず面白い。
三島由紀夫、その他色々な人の「愛国」に関する言葉・エピソードは興味深かった。
ネットなんかやってると「左翼=売国奴」というイメージが強くなるけど、「左翼の愛国者」ってのも普通にいるんだよね。当たり前なんだけど。今じゃ右翼の代名詞ですが……
三島由紀夫の憲法草案
「日本国民は祖国防衛の権利を有する。」
国防は義務でなく権利。うむむ……。
玄洋社と頭山満の話は、夢野久作「犬神博士」でも読んでたか。
杉山茂丸の話が出てこなかったのはちょい残念。
全体通して、なかなか面白く読めた。この問題を本気で考えるには、もっと勉強しないと駄目だろうけど……
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本書は、いま、日本でも中国でも熱く熱く語られる「愛国心」を論じたもの。
著者の鈴木邦男さんは、新右翼の草分け的な存在だ。
ワタシは、たしかSPA!の連載「夕刻のコペルニクス」でその名を知った。
鈴木さんの印象は、ゴリゴリの右翼ではなく、考え方は相当柔軟であり、また、自己矛盾が少なそうなところか。たとえ主義主張に対立はあっても、暴力で解決はしないだろうということが、著作からうかがえる。そんなわけで、鈴木さんの著作を、たまに読んではいる。
本書は、「君が代」「天皇」という、日本の「愛国心」にとっては欠くことのできない要素から、愛国心を考察している。そして、鈴木さんは言う。愛国心は、国家