小野寺丈のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
9人の戦士達が大苦戦で戦い続ける。「誰がために戦う?」ということになる。
人の個々の人生、社会の変化、文明の変遷、自然との共存と様々な要素というモノを人は持っている。それらの在り方を問うというような壮大なテーマを描こうと挑戦が何度か繰り返され、結局本作に至った訳である。
作者自身が逝去して年月を経ても、作品が深く愛されているが故に、構想ノートを下敷きにということで本作の企画が持ち上がったのであろう。
「誰がために戦う?」ということなら「我々のため」だ。9人の戦士達は何時でも我々と共に在る。読んでいてそんな感慨が込み上げた。大切に読み継ぎたい名作だと思う。 -
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購入済み
印象深い忘れがたい哲学
3巻で示されたことは、「この世界の善悪、人々の二面性の存在、そして不幸はなぜ起こるのか?」
という問いに対する作者達の結論だったのではないかと思う。
そして、正解が、愛ゆえの、自尊心を持った自己犠牲による救済。それこそが神の試練なのだといわんばかりの。
ストレートになんでもかんでも頭に入れず、自分という骨太のフィルターをしっかり通して判断していかねばならない。
1巻、2巻のサイボーグ達の混乱は「神」という前提を信じる私たちへの警鐘、そして作者の気付きだったのではないか?
「自分たちの想像、創造に責任を持て」と。
流れ込む情報、昔からの信仰や伝統さえも今一度立ち止まって考 -
完結、おめでとうございます
まずは、サイボーグ009が無事完結したことを素直に喜びたいと思います。
まさか、萬画で読めるとは思っていなかったので遺志を継いでこられた方々に感謝しています。
同じく未完の「幻魔大戦」も同時に決着を着けたかったかのような内容です。
ラスト前のシーンが「聖☆おにいさん」に見えてしまおうが、フランソワーズのとても21世紀とは思えない発言もあったりしますが、そういったところも含めて009らしい作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホントにちゃんと終わった。途中のすっ飛ばしぶりとか、伏線が活かしきれなかったところとか、もちろん不満はきりがないけど、もう絶対に復活できないくらいに完結したという点において素晴らしい。
そして、ジョーの到達した結論は正しく石ノ森先生の結論と言って良いと思う。80年代のサンデーの連載でも「人の生活を愛すところから始めなければ」と言っていたし、もっと言えば、「天使編」「神々との戦い編」を中断してしまったことにも通じる結論だ。
でも、問題はラスト。これは、最後の特攻に失敗して負けて普通に死んだ、ということですよね・・・。平穏な日々を迎えさせるにはこれしかなかった、ということなのでしょうか? -
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これからに期待したい
子供の頃、石ノ森章太郎の数多くの作品のファンでした。キカイダー、仮面ライダーに始まり、佐武と市、イナズマン、幻魔大戦、魔女先生、等々。もちろんサイボーグ009も単行本を揃えていて、何度も読みました。本作品も当然、期待して読みました。過去の名作のリメーク版は他にも色々あるようですが、それらと違って完結編と謳うだけあって、石ノ森章太郎のタッチを踏襲しようとした作品で、それなりに楽しめました。が、やはりどこか石ノ森氏本人の作品とは違う、違和感は否めません。石ノ森氏は自由奔放に描いて、それであのタッチ、あの雰囲気が出ているので、努力して真似られるものではないのでしょう。
でもそれはそれとして、楽しめ