若田部昌澄のレビュー一覧
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全く学のない自分でも、しっかりと理解できる内容で書かれていた。
特に面白かったのは、最初の方にある「なぜ経済成長するのかはよくわかっていない」というところ。現在行われている政策などは、過去の事例から「やらないほうがいい」ことを避け、良いと言われていることを進めているイメージなのだという。
そのような気を引く話から具体的な事例を見ていったため、説得力のある内容だった。
よくわからない数式や難解な用語などを極力使わないでいるため、入門的に経済の歴史をみるのには有用だろう。これをきっかけに他の本に手を出してみて、比較しながら自分の知識を確定させていきたい。 -
Posted by ブクログ
本当に、戦争を起こさないようにしたり、弱い立場の人を助けたりしたいなら、経済学の枠組みで物事を見るスキルは必須だと思った。
不況だと、人は他人を思いやる余裕もなくすし、自分たちの不遇を他の誰かのせいにして鬱憤ばらしをするし、保護主義に走るし、プロパガンダに流されやすくなる。
左派の理想が高ければ高いほど実現できないそれは絵に描いた餅であり、そこから人々は離れやすくなる。「人間らしい」暮らしというのは、世の中が安定していてこそであって、そのためには経済は衰退したり停滞してるよりは成長してる方がいい。
日本の戦後高度経済成長や世界の大恐慌前後について、なぜそれが起きたのかを、通貨制度のトリレ -
Posted by ブクログ
今、話題のインフレターゲット論者である浜田宏一の金融理論が、勝間との対話で、分かりやすく述べられてる。経済学のことを詳しく知らなくても、この本を読むと、今何が問題になってるのか、少しだけ理解できた気がした。
基本的には、貨幣を増やせばデフレが克服できる、という。貨幣の価値が下がることで物価は上昇する。
浜田は、自分の理論が世界標準であり、日銀の政策がグローバルスタンダードから外れてることを批判し続ける。
日銀の白川総裁も、浜田から経済学を教わった生徒。その後、浜田はイエール大で教え、白川はフリードマンらのいるシカゴ大で学んだ。
デフレーションがいかに悪であるか。そして、いかにしてデフレを止める -
Posted by ブクログ
この本を読んでいる間に、日銀は国債以外の資産を購入することを決定し、実行に移している。
この本で著者らが訴えたことを活かしたのかもしれないが、規模の面で物足りなさを感じざるを得ない。
学生時代、経済学とか全く興味がなく、全く真面目に勉強しなかった。実際に起きている事柄と、学校で勉強する経済学との関連性が全く見えなかったからである。
この本を読むと、経済学とは意外にも身近の事象と結びついていることがわかり、学生時代に真面目に学ばなかったことを悔やむ。
この本の内容を100%理解する必要はないと思うが、著者も書かれているように、経済の事象と学問を結びつけ、何が正しくて何が間違っているかの判断 -
Posted by ブクログ
初めて若田部の纏まった著作の購入となる。さらりと一読した印象では、若田部は、「誠実」な研究者だという事がよく判る。マネタリストに対する、根拠無き憎悪似た感情を抱いていたらしいのだが、それも、「学問」という公平性への良い意味での服従によって、克服したようであるとの記述からもそれが伺われる。
つまり、好悪の感情を、経済学という公平性の要請の元に極力排除しようとした、言葉では陳腐ではあるが、実行がことさら難しいことを成し遂げようという意志のあり方は「誠実」であるということの結果だろうからである。
それはともかく、若田部は、リフレ策推進者である。デフレの克服について、マクロ経済学の観点から、提言