史上最初に現れた数理経済学者たちの代表格はアントワーヌ・オーギュスタン・クールノーです。クールノーは1801年にフランスで生まれ、力学・数学で博士号を取得した哲学者にして数学者です。経済学の歴史においてクールノーの名前を不滅のものとしたのは、1838年に出版した偉大なる著作『富の理論の数学的原理に関する研究』( Recherches sur les principes mathématiques de la théorie des richesses) でした。
数学がわかるようになれば、英語のテキストも簡単に読めるようになります。とくに、海外の分厚いテキストの巻末には懇切な数学付録があり、これが経済学を知るために必要十分な知識のサマリーになっていて、なかなか便利です。世界中の大学院生が読むことになっているグローバル・スタンダードな一冊としてお薦めできるのは、 Andreu Mas-Colell, Michael Dennis Whinston, Jerry R. Green: Microeconomic Theory, Oxford University Press, 1995(通称、MWG)です。説明が丁寧で網羅的ですので、基本的なところを漏れなくおさえるのに便利です。