橋本健二のレビュー一覧
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東京23区内の経済的格差の歴史。下町と山の手がどのように形作られてきたのか。都心3区から今の23区に至る歴史。鉄道の沿線に沿って単身世帯が集中するのは交通の利便性や身軽さがあるから。
ある程度の年収のある世帯は所得再分配は必要ないと考え、そうでない世帯は必要と考える。
23区は様々なステータスの人が住むある種、不思議な空間だなと思います。格差はあっても良いと思いますが、人の行動を阻害したり、軽蔑するものであってはいけないと思う。そういう意味だと、所得の再分配は必要かなと思いますし、回り回って、自分の所に戻ってくるかもしれない。理想論かもしれませんが。 -
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正社員になれず、収入が少なく、多くの困難を抱える。
増大しつつある「アンダークラス」が、今後、日本社会にもたらすであろう問題について説き、警鐘を鳴らす書籍。
バブル崩壊後の1994年から2007年までを「就職氷河期」、この時期に大学卒業を迎えた世代を「就職氷河期世代」と呼ぶ。
今回のコロナ禍で、就職氷河期が再来する可能性がある。
2030年は日本社会の大きな曲がり角になりそうだ。次の2つの理由で、日本社会の構造転換が完成するからである。
①バブル期に登場したフリーター世代が65歳となり、非正規労働者として生涯を送る世代が、現役世代の全体を覆う。
②フリーター世代に続く氷河期世代が40歳代後半~50歳代となり、非正規労働者が多いこの世代が社会の中枢を占める。
現代社会の主要な階級は、以下の4つ。
「資本家階級」
「労働者階級」
「新中間階級」(管理職、専門職など)
「旧中間階級」(自営業者、農民など)
だが、近年激増する非正規労働者は、雇用が不安定で賃金も低く、従来の労働者階級とは異質な下層階級を構成しつつある。これを「アンダークラス」と呼ぶ。
アンダークラスは900万人を超えており、失業者・無業者を加えると1200万人になる。
コロナ禍による雇用の縮小や企業の倒産などで、アンダークラスはさらに巨大化するだろう。
格差拡大と貧困の増大に対し、手立てが講じられない場合、アンダークラスを待つ最悪のシナリオは、次のようなもの。
・一生独身で低賃金労働を続け、子孫を残さない。つまり「再生産」できない。
・結婚しても生活は苦しく、貧困が子どもへと連鎖する。
・技能形成の機会がなく、技能水準と労働意欲が低下する。
・豊かな人々への反感により、公共心や連帯感が失われる。 -
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2000年代にあった「『格差論争』」に終止符を打った」本ということで読む。
20年経った現時点からわかるのは、確かに、日本社会は「格差社会」に「なった」ということ。その原因は、次の3つに思われる。
1つは、高齢化。2つめは、非正規雇用。3つめは、雇用されている者のなかでの格差拡大(専門職vs労働者)。
これまで、雇用統計の推移から、非熟練層が、自営業から非正規雇用に移っていったのが、この数十年の流れだと思っていた。それは、非熟練層を、経済的に、かなり厳しい状態に追い込む動きになる。
それと、2000以降の企業の利益と労働分配のトレンドは、全体として労働者への分配を減らして、かつ、その中で、格差をつけて、出来る人間に厚く報いて、それ以外の人間の報酬を抑え込む企業のあり方があらわれている。
アンダークラスが、ある割合に達すると、いつトランプ現象(あるいは、サンダース現象?)のようなポピュリズムに火がつきかねない。いや、今回の衆院選の維新の躍進をみると、日本ももうそのレベルに達しているんだろう。
いずれにせよ、格差をデータで確認したい際、立ち戻る本。 -
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東京23区に限定して、社会階層とその格差をデータに基づき分析した結果を「格差社会と都市空間」という本をベースにして、一般人にもわかりやすく書いたものであるらしい。
データを地図上で表現したものを豊富に掲載しているので、読むものにはわかりやすいが、東京の地理に詳しくない人にはいまひとつ十分な理解が進まないかもしれない。
23区といっても狭いようで広いので、著者のような街歩きをしていない者には、いろんな地域の歴史も知ることができて、訪れてみたいところも出てくる。
この本を読みながら感じたのは、小泉政権以来、延々と続けられた「グローバリゼーション」というのは、結局のところ、アメリカと同じように金融を中心とした富裕層を作り、国民間の格差拡大をしただけではなかったかという思いである。 -
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サンデルさんの著作を読んで日本の格差の状況を詳しく知りたいと思い購読。格差社会、ワーキングプア、アンダークラスなど、格差を示す単語が広まったのは比較的最近のことで、ちょっと前まで一億総中流とか言ってたなあと思うが、考えてみると、歴史上格差がなかった時代なんてなかったわけで、貴族や武士が実権を握っていた時代は日本版カースト制度がキッチリ決まっていて、武士でなければ切られても文句言えない時代が何百年か続いていた。この伝統的な格差が一気に縮小したのが敗戦。農地開放や財閥解体により資本家層や華族の没落と小作人や女性の地位向上が進展。その後の高度成長で恩恵を受けた国民は多かった。また、階層間流動性も比較的高かった。ただ、80年代の規制緩和や新自由主義の台頭、90年台のバブル崩壊、就職氷河期、00年台にはフリーターや非正規雇用者の増大により、トップ層とボトム層の距離の拡大と、各階層の固定化が進む。これを助長したのが学歴偏重。2011年の大震災で格差の議論はやや収まるが(それどころではなかった)、冒頭に挙げた実感は、定着しつつある。小泉改革を格差拡大の最大の原因とする向きが強いが、それ以前から格差拡大と定着の傾向はあったわけだ。自民党支持層には「再分配否定派」が多く、配当や相続税減税、所得税の累進率軽減など、トップ層に優しい政策が支持されやすいこと、トップ層になりやすい高学歴層は他のイシューも含めて投票率が高いことなども明らかにしている。政治にとって投票しない人はいないのと同じ。さまざまな格差問題を議論する人は、少なくともこの一冊は読んだ方が良い。
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階層を①資本家階級②新中間階級③正規労働者④アンダークラスに分類する。就職氷河期世代は圧倒的にアンダークラスに属している。アンダークラスは非正規雇用労働者で低賃金に甘んじ、家庭を持たず、社会的に孤立している。氷河期世代内でも「アンダークラス」と「それ以外」と分断が起きている。また、自己責任論を肯定し、格差拡大を是認する者が多いのも氷河期世代の特徴である。氷河期アンダークラスは支持政党もなく投票へも行かないので、その声は政治に反映されることもなく、社会に取り残されている。アンダークラスの増大は大きな社会的コスト増大を意味する。その対策として①賃金格差の是正、②所得の再分配を提案している。特に、累進課税の強化は説得的に述べられている。高所得者は政府の政策に守られているが故に高い所得を得ることができるのでるから、高い税金を課すことがむしろ公平に資するという。なるほど。
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「社会学」はどんな主張をしても5年~10年後にはデータが出揃うことによってその主張が正しいかどうかがはっきりしてしまう。本書では多くの社会学者の過去の主張とその変遷まで言及しているから、思わず笑ってしまった。
本書での「1970年代からはじまる格差のトレンド」を鋭く追求する論考は政治家のごとく断定的だが、ここまでデータが揃っていると反論の余地もないと思えた。
過去に、政治家や評論家がさまざまな学者の言説を引用して「格差」の存在を論争していたことを思い起こす。今から振り返ると、誤った認識の下に政策を遂行していた政治家には是非本書を一読してもらいたいものだと思った。
「社会移動」についての考察は身近な問題でもあるために興味深いし、「中流の3つのタイプ」のクラスター考察にもとても驚いた。日本もアメリカの様に底流で分裂が進んでいるのではないかと考えてしまう。
「使命は」を読んでいて感じたが、著者は本書ではより政治的に踏み込んでいる様に思える。日本の現状が学者にも傍観出来なくなったということなのだろうかとも思った。 -
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とても丁寧な本。統計数値を一つずつ確認して日本社会に存在する格差の姿を確認していく姿勢がとても几帳面で信頼感がある。その書き方ゆえに退屈な印象だったり、面白くないと感じるかもしれないが、こういうテーマなので丁寧さは欠かせないと思う。
そういう手順で導かれたのが、
「格差是正ー平和主義ー多文化主義の立場と、格差容認ー軍備重視ー排外主義の立場こそが、論理整合的な左派と右派の立場だと考えられてきたといっていい。」しかし「こうした構図はかなり崩壊している」。
ということだ。
つまり、社会の底辺で格差是正を求めるアンダークラスが、軍備重視・排外主義の傾向を示している。「ファシズムの萌芽?」とも表現されている。
後者の傾向を最も示しているのが自民党であり、ゆえにアンダークラスが反自民とはならずにいる。しかし自民党こそが格差容認を進めてきたのであって、そこにねじれがある。
このことを、感覚的な話ではなくデータをもって解きほぐしたのが本書の最大の功績かと思う。 -
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資本家階級、新中間階級、正規労働者、アンダークラス、旧中間層に区分けして、多くのデータにより日本の就業者の状況を分析している好著だ.旧中間層は戦後間もない時期に最大の割合を占めていた農民層と自営業者層だが激減してきた.問題はアンダークラス 非正規労働者だ.5つの階層は2015年前後でそれぞれ 4.1, 20.6, 35.1, 14.6, 12.9%だ.新中間階級は、穏健保守、自民支持のコアグループ、リベラル派に分けられ、それぞれ 38.8, 14.4, 46.8%だとの分析が面白かった.格差社会の克服には、アンダークラスと新中間階級のリベラル派を結集する新しい政治勢力の形成が必要だとの主張があったが、今の政治家にはあまり期待できない感じだ.
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本書序文の「格差の拡大は1980年代に始まった巨大なトレンド」との指摘は実に重い。「アンダークラス」の出現と存在が誰の目にも明らかになってきた現在、本書の内容を広く世に知らしめるべきとは思うが、加筆した部分が最終章の直近10年分だけとはちょっと不満。
過去の著作の分析が書き直す必要もないほど正しかったという事かもしれないが、著作のほとんどを繰り返し読んだ小生としては物足りない。
本書の最後を悲観的に締めているところも同感出来ない。本書は今後の日本の政策の選択肢として「所得再分配」が大きな政策課題となることを誰の目にも明らかにしてくれている。
おりしも今世界はコロナ禍の真っ只中である。歴史を紐解くと過去の戦争・疫病・革命時にはどの社会でも「格差の大圧縮」が起きている。願わくば今後の日本でも本書の社会認識を生かした政策が実行されることを望むものである。 -
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各種調査をもとに、日本社会を「資本家階級」「新中産階級」「正規労働者」「アンダークラス」「旧中産階級」の五つの階層にわけて分析している。
階級によって、身長や体重が変わってくるのも意外だった。
(予想どおり、アンダークラスが一番うつ傾向が高い。)
「一般的にいえば、構想に関わる労働は、自らの意思を実現することのできるやりがいのある労働である。これに対して実行のみにかかわる労働は、人の手足となって行う労働であり、労働それ自体に意味を感じることが難しい。マルクスはこのような労働を「阻害された労働」と呼んだ。」
第5章の「女たちの階級社会」は17階層にわけて女性を分類しており、これは分析しづらそうだ、と思う。
階層間の移動が減り、階層が固定化されているという議論は予想どおりだったけど、アンダークラスの思想傾向が予想外だった。
他の階層では「所得再分配」と「排外主義反対」がむすびついているのに対し、アンダークラスでは、「所得再分配」と「排外主義賛成」が結びついているのだった。
「追い詰められたアンダークラスの内部に、ファシズムの基盤が芽生え始めているといっては言い過ぎだろうか。」という著者の懸念は納得できる。 -
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社会階層についての著書が多い橋本先生による、統計から見た「アンダークラス」の説明本。
SSM調査を中心とした各種統計から、非正規労働者の置かれている境遇を分析し、いろいろな角度から解説を試みている。
ところが、誠実に分析した結果、「アンダークラス」とひとくくりにするのは難しい、というのが現時点での総括になってしまう。
かろうじて、誰しも「アンダークラス」に転落するかもしれない、という論理でつなぎとめるが、当然それだけで一つの結論を導くわけにもいかず筆も拡散気味。
そこで、首都圏に住む「アンダークラス」層のエスノグラフィー8例の記述を挟み、所属階層と政治態度の関連についての分析から、新たな政治勢力の台頭の可能性についての話で終える。
「アンダークラス」について、広義の定義と狭義の定義で分けて、狭義のそれを「都市部に住む若年層の非正規労働者」あたりにして、そこに限定して進めたほうが、内容は繋がりやすかったと思うが、それは先生の学問的態度とはずれる、ということなのだろう。
ただ、こちらとしては統計の解説本にしては政治的言説の臭いが濃い、という感想を持ってしまう。
社会的分断をこれ以上進ませないためにも、所得再分配を全面に出しアンダークラスを支持基盤にする政治勢力の形成を、という話だが、これは暗に山本太郎を念頭に置いているような気がする。
そういう意味で、他国と比べて、他の時代と比べて、本当に社会的な分断があるのか、と言った指摘は的はずれなのだろう。
ところで、彼の演説は年々うまくなっていて、凄みが出てきた。
初期の衆院選のころの演説だと、どこに行っても同じセリフまわし。
一通り反原発をぶち上げ、最後にTPPについて言葉だけ触れるという感じで、セリフ覚えは良い、そうか彼は役者だったな、と感じる程度のものだったが、参院選当選後の6年でだいぶパワーアップしている。
相当勉強したんだろう。
言うことはより極端になってきたが、演説にも余裕が感じられ、アドリブでヤジを受け流す度量も出てきた。
昭和恐慌とか青年将校のテロとかそういう歴史の一ページを想起しつつ、より過激な主張が受け入れられやすい土壌は整いつつあるのだな、と。
野党再編が、連合の意向で左右されることからもわかるように、非正規労働者の意見を掬い上げる政治勢力というのは、これまで無かったのは事実で、その受け皿としての山本太郎という構図は別におかしくないのだと再確認。 -
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なんとも気の重くなる本であるがもう直視せざるを得ない。
「アンダークラス」の現状と真実。身長や体重にまで差が出てきているとはまるで産業革命期のイギリスを彷彿させる。日本はここまで来たのかとため息が出た。
著者は最左派の社会学者だと常々注目していたが、精密なデータを駆使した「アンダークラス」分析は、もはや警鐘というよりも事実確認だ。誰の目にも見えるレベルになったということだろう。
本書では「処方箋」も提示されてはいるが、政策としての実行は極めて困難だろうと思えた。
社会学の本として本書を高く評価するが、同時に真実とは苦いものであるとも痛感した。 -
Posted by ブクログ
自己責任論
僕は否定しません。
チャンスが平等に与えられるなら結果の平等は危険と考えます。
でもAI化が進んでいくと過渡期に大失業時代が来てしまうんですよねσ^_^;
産業革命で労働者が仕事を奪われたとき壮年期にホワイトカラーへの再就職先があったか考えれば自明なことですσ^_^;
本書では
資本家階級
新中間階級(管理職等)
労働者階級に
旧中間階級(自営業者等)
の4階級から
労働者階級の下に
アンダークラスがあるとときます。
アンダークラスはいわゆる非正規雇用等です。
これを見ると労働者階級は管理職登用の芽がありますがアンダークラスに無いと言えます。
資本が無ければ旧中間階級にも移れないですし確かに格差が階級に固定化しようとしているのがよくわかります。
今後はホワイトカラーの仕事も激減するので
労働者階級も新中間階級も安穏と出来ないでしょう。
今もあるブルーカラーの仕事か
コミュニケーションの必要な一部の仕事か
自分の適正を見極めて準備をする必要があります。
銀行のAI化を見てると待った無しやと思います。
格差容認や自己責任論で所得再分配を否定する層が今後どうなるか
まあこの著者がよっぽど自民党がキライなんやなあということはわかりました。
リベラル派の結集って…
個人的には世の中それほど変わらないかと思いますσ^_^;