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「中流幻想」ははるか彼方の過去の夢。1980年前後に始まった日本社会の格差拡大は、もはや後戻りができないまでに固定化され、いまや「新しい階級社会」が成立した。前著『新・日本の階級社会』により、日本社会の実態を客観的な調査データに基づいて明らかにしてみせた著者が、2022年の新たな調査を元に提示する衝撃の第2弾。
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Posted by ブクログ
とりあえず、大事だと思ったのは女性が正規雇用を維持しながら出産することはない難しいこと。いじめや不登校の経験者がアンダークラスになりやすいこと。アンダークラスの人々が格差を是正してほしいと思っているとは限らないこと。自分は小さい頃、学校嫌いだったためいじめや不登校と経済的なリスクの関係性は身につまさ...続きを読むれた。
アンダークラスの転職理由は現職への不適合が多い。 新自由主義右翼は高学歴、高収入の男性がメイン。 リベラルが多数で次が伝統保守、新自由主義右翼は少数。
橋本健二氏による新しい階級社会論。アンダークラスの存在を明確に定義し、日本が格差社会に陥っていることに問題提起するとともに、本来少数派であるはずの新自由主義右翼に政策的な主導権を握られてきた15年程度の期間にその傾向が強化されたとする。 本書のリーチは昨年2024年の衆議院議員選挙までで今年2025...続きを読む年夏の参政党の躍進は視野に入っていないけれど、去年の傾向が明示的に示されたのが今年の参議院選挙とすれば概ねその端緒は示されていると言えるだろう。すなわち、石破政権によるリベラル・伝統的保守へのシフトにより安倍政権以来の岩盤右翼層が離れ、保守党・参政党へシフトした結果、自民党が過半数割れに追い込まれたとする。加えて、本来リベラル色の強い公明党が連立政権にいたため、自民党が新自由主義右翼へシフトしたという分析は興味深く、この20年以上続く自公政権の功罪を考える際にも重要な観点だろう。 一方で、新自由主義右翼の解像度はそこまで上がっていないように思われる。本書は資本家階級、新中間層、正社員、アンダークラス、旧中間階層とするが、資本家階級でやや新自由主義右翼が多いとはいえ、各層に散っている。このクラスターが上手く政治思想を捉えられていないことを示しているように思えるのだがどうか。追加的な論考が待たれる。
かつて「一億総中流」と言われた日本社会。その幻想が静かに崩れ落ちた今、私たちはどのような現実に直面しているのか――。本書『新しい階級社会』は、この問いにデータと構造分析を通して真正面から答えようとする力作です。 著者は、現代の日本社会を五つの階層に分類しています。企業の経営者などの資本家階級、農業...続きを読むや自営業を営む旧中産階級、企業内の専門職や管理職を中心とした新中産階級、そして現場で働く正規雇用の労働者階級、さらにその下に位置づけられる非正規雇用の「アンダークラス」。こうした階層のすみ分けは、単なるラベルにとどまらず、収入や雇用の安定性、社会参加の度合いといったさまざまな指標によって、きわめて明確に分断されつつあることが、本書を通じて浮かび上がってきます。 なかでも本書が丁寧に描き出しているのが、「アンダークラス」に分類される人々の現実です。非正規雇用として不安定な立場に置かれ、十分な賃金や保障を得られない人たちは、自己責任論では語りきれない社会的な困難を抱えています。著者の視点は、そうした人々に対して決して冷淡ではなく、むしろ「どうしてこのような立場に追いやられてしまったのか」を、社会構造の側から理解しようとする、温かく誠実なまなざしに満ちています。 一方で、このような階級分化を後押ししてきた大企業のふるまいに対しては、厳しい視線が向けられています。短期的な利益を優先するあまり、正規雇用を減らし、非正規雇用の拡大を進めてきた結果、アンダークラスを増加させてしまった。その帰結として、日本社会の中で分断や貧困が固定化されつつあることに、私たちはもっと目を向ける必要があります。本書は、こうした企業行動の問題点を静かに、しかし明確に指摘しています。 ただし、希望がまったくないわけではありません。本書の終盤では、「現在の格差はあまりにも大きすぎる」という点で、社会の中に一定の合意が生まれつつあることが示されています。これは、分断の現実を直視した上で、私たちがどのような社会を望むのかを考える出発点となるでしょう。例えば、大企業に対する規制強化や、最低賃金の引き上げ、正規雇用の拡充といった政策的なアプローチも、もはや避けては通れない議論です。 『新しい階級社会』は、今の日本で何が起きているのかを理解するための重要な一冊です。特に、声を上げにくい立場にいる人々の現実に目を向けたい人にとって、本書は多くの示唆を与えてくれることでしょう。格差の背後にある構造を知り、共に変えていく道を探るための第一歩として、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
最後の章は、格差と政治についての話だった。 政治は経済と大きく紐づいていることを認識できた。 ただ、知識不足により理解が追いつかなかったため、まずは政治の基礎知識を学びたいなと思った。
データの分析が中心。 社会を資本家階級、新中間階級、正規労働者階級、アンダークラス、旧中間階級に分け、それぞれの特色とどのような格差があるのかを分析する。 後半は支持政党の話などもあり、格差是正に向けた政治への提言という感じ。自分がどの階級かを捉えてから読むと面白い。アンダークラス(雇用が安定せず低...続きを読む所得な層)が増えると、社会のあらゆる生産・再生産が停滞するという話は納得がいった。
現代日本社会の階級を六種類に分けて、さまざまな調査データを紹介していく。 六種類というのは、資本家、新中間階級、旧中間階級、正規労働者階級、パート主婦、アンダークラス、の六つである。 平たく説明すると、新中間階級は管理職や専門職であり、旧中間階級は自営業者である。正規労働者階級は正規雇用だが平社員...続きを読む、アンダークラスは非正規雇用者である。 本書では主にアンダークラスについて、特に詳しく触れられることが多い。これはきわめて現代的な(とはいえ本書によると80年代以降の現象なのだが)事象だからである。 なお、アンダークラスの出現は先進国において起きていることであり、「アンダークラス」という呼称は英米で使われているらしい。国によっては差別的なニュアンスがまとわりつくことを回避するために、もっとマイルドな呼称がされているらしいが、本書では単刀直入でイメージしやすい、という理由で「アンダークラス」を使っている。 本書の調査結果自体に驚くようなものはないと思う。おそらく、上に挙げた階級への直感的な印象を裏付ける以上の意味はない。 本書のメッセージとして重要な点は、格差の拡大は議論の余地なく問題である、という点だろう。 現代の資本主義においてアンダークラスの人材は必要である。契約社員やアルバイトがいないと成り立たない会社など、誰でもいくらでも思いつくだろう。 しかしアンダークラスは再生産されない。再生産されない、というのは結婚ができない=子どもを持てない、という意味である。なぜならアンダークラスへの賃金にそんな余裕はないからだ。 ということは、アンダークラスの人材は他の階級の子どもから補充するしかないのである。つまりアンダークラスはすべての階級において他人事ではない、ということだ。 ちなみに本書内でも調査されているが、Aの階級の親ならAの階級の子になりやすい、というのは部分的な事実である。階級の移動はそれなりに起こる。 本書内で、この本の読者は新中間階級が主だろうといったことが書いてある。たぶんそうなんだろう。しかし、アンダークラスも他人事ではないことが本書を読めばわかると思う。
なんとなく格差拡大は進んでいると思っていたけど、具体的にどういう状況になっているんだろうと興味が湧いて手に取った。 たくさんのアンケートデータで格差があることがはっきり示されていて、アンダークラスの人たちが生活において命や幸せに関わるレベルで切羽詰まっていることを知った。そしてこの格差は他人事じ...続きを読むゃなくて、別の階層の人間にも不利益があるという指摘も印象的だった。 ただ、それ以上に驚いたのは自分自身のことだった。読み進めていくうちに、自分が無意識に「努力は報われるべき」とか「頑張ってこなかったら貧困でも仕方ない」みたいなことを思っていたことに気づいて、正直怖くなった。 冷静に考えれば、自分が今の地位を築けたのは、ある程度の生活ができている両親に育てられて、教育を大事に思っている母親がいたからだと思う。「努力できる環境」があったこと自体が、すでに恵まれていることを認識できた。 本を読み終わって一番大きかったのは、政治にどう参加するかというか、どういう目で政党を選ぶかっていう視点が増えたこと。自分の利益だけじゃなくて、社会全体としていい方を選ぶっていう目線を持てるようになった気がする。 ちょっと数字やグラフが多くて読むのは大変だったけど、読んでよかったと思う。
日本人を収入や職業で階級分けしてデータ整理している。 政党支持なども調査しているがそのあたりの傾向は正直疑問
本書は、大規模調査データを元に、日本に住む人を5つの階級に分けて、それぞれがどのような傾向にあるかをまとめている。 複数のデータを組み合わせることにより、その階級に属する人はどんな人達なのかを多面的に見ることができるのが一つの特色と感じた。 また格差是正には政治との関わりが不可欠ということで、階級...続きを読むと政治との関わりもまとまっている。 支援の必要な層が政治に無関心で、結果支援を受けられないという現実がある一方、与党、野党の掲げることが国民の求めることと一致しにくいという点は、個人的に納得感を感じた。 この点が変わってくると、政治への向き方というのも変わっていくのかもしれない。
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新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て>
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橋本健二
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アンダークラス ──新たな下層階級の出現
アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」
階級社会 現代日本の格差を問う
〈格差〉と〈階級〉の戦後史
「格差」の戦後史 階級社会 日本の履歴書【増補新版】
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