【感想・ネタバレ】アンダークラス ──新たな下層階級の出現のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

一般的に日本は中流家庭が多く、その上下に
少しの特別な家庭が存在すると信じられて
きました。

しかし現実は違います。

下流よりもさらに貧困層と言われる人たちが
存在して、その数は増え続けているそうです。

この本では、それを裏付けるデータをいくつ
も提示して現実を突きつけます。

しかも、このままの状態が続くのは社会に
とっても非常に危険なことであることに
警鐘を鳴らします。なぜなら海外の例を
あげるまでもなく貧困層はテロの温床になる
からです。

一方で誰もがアンダークラス
に落ち込む可能性があることも示唆します。
現在の「新しい階級社会」の構造では、
誰がアンダークラスに転落してもおかしく
ないと言えるからです。

現在の社会政策に一石を投じる一冊です。

0
2020年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おそらく、500年に一度くらい格差が縮小して全体が上昇する数十年くらいの時期というのが国ごとにあって、それが昭和中期に起きて、終わったということだろう。アンダークラスがあるのはどこの国にでもあることで、日本の素晴らしいところは、アンダークラスがあることを問題にできることだ。とはいえ、対策は必要だし、認識しないのは明らかにまずい。

0
2019年05月15日

Posted by ブクログ

社会階層についての著書が多い橋本先生による、統計から見た「アンダークラス」の説明本。

SSM調査を中心とした各種統計から、非正規労働者の置かれている境遇を分析し、いろいろな角度から解説を試みている。
ところが、誠実に分析した結果、「アンダークラス」とひとくくりにするのは難しい、というのが現時点での総括になってしまう。
かろうじて、誰しも「アンダークラス」に転落するかもしれない、という論理でつなぎとめるが、当然それだけで一つの結論を導くわけにもいかず筆も拡散気味。

そこで、首都圏に住む「アンダークラス」層のエスノグラフィー8例の記述を挟み、所属階層と政治態度の関連についての分析から、新たな政治勢力の台頭の可能性についての話で終える。

「アンダークラス」について、広義の定義と狭義の定義で分けて、狭義のそれを「都市部に住む若年層の非正規労働者」あたりにして、そこに限定して進めたほうが、内容は繋がりやすかったと思うが、それは先生の学問的態度とはずれる、ということなのだろう。
ただ、こちらとしては統計の解説本にしては政治的言説の臭いが濃い、という感想を持ってしまう。

社会的分断をこれ以上進ませないためにも、所得再分配を全面に出しアンダークラスを支持基盤にする政治勢力の形成を、という話だが、これは暗に山本太郎を念頭に置いているような気がする。
そういう意味で、他国と比べて、他の時代と比べて、本当に社会的な分断があるのか、と言った指摘は的はずれなのだろう。

ところで、彼の演説は年々うまくなっていて、凄みが出てきた。
初期の衆院選のころの演説だと、どこに行っても同じセリフまわし。
一通り反原発をぶち上げ、最後にTPPについて言葉だけ触れるという感じで、セリフ覚えは良い、そうか彼は役者だったな、と感じる程度のものだったが、参院選当選後の6年でだいぶパワーアップしている。
相当勉強したんだろう。
言うことはより極端になってきたが、演説にも余裕が感じられ、アドリブでヤジを受け流す度量も出てきた。
昭和恐慌とか青年将校のテロとかそういう歴史の一ページを想起しつつ、より過激な主張が受け入れられやすい土壌は整いつつあるのだな、と。

野党再編が、連合の意向で左右されることからもわかるように、非正規労働者の意見を掬い上げる政治勢力というのは、これまで無かったのは事実で、その受け皿としての山本太郎という構図は別におかしくないのだと再確認。

0
2019年07月17日

Posted by ブクログ

なんとも気の重くなる本であるがもう直視せざるを得ない。
「アンダークラス」の現状と真実。身長や体重にまで差が出てきているとはまるで産業革命期のイギリスを彷彿させる。日本はここまで来たのかとため息が出た。
著者は最左派の社会学者だと常々注目していたが、精密なデータを駆使した「アンダークラス」分析は、もはや警鐘というよりも事実確認だ。誰の目にも見えるレベルになったということだろう。
本書では「処方箋」も提示されてはいるが、政策としての実行は極めて困難だろうと思えた。
社会学の本として本書を高く評価するが、同時に真実とは苦いものであるとも痛感した。

0
2019年01月19日

Posted by ブクログ

男性より女性の方が全体に幸福感が高いとか、年齢と共にメンタルが安定していくが男性の30代は今後の人生の現実が見えて不安定になるとか、詳細なデータに基づく分析はなるほどと思う。
最後にアンダークラスの不安定な経済状態を政治的に汲み取り解消していく方策が提案されるのだが、消費増税を巡る議論が絶えない昨今、著者のいう「再分配」がどのようなものかもう少しイメージを示しても良かったのではないか?

0
2020年06月28日

Posted by ブクログ

社会的排除を勉強する途中で収集.アンダークラスという言葉はアメリカとかでは先行してすでに使われている言葉.それを日本に当てはめて,ひとくちにアンダークラスと言ってもいくつかのパターンと様態がありますよと提示しているのが新しかった.

0
2020年05月13日

Posted by ブクログ

秋葉原で通り魔殺傷事件を起こした加藤智大の掲示板には、誰にも相手にされない孤立感、派遣労働者である自分の境遇からくる劣等感、そして将来への絶望が、赤裸々に綴られていた。雇用は不安定で、職場は固定せず、しかも仕事内容は常に単純労働の繰り返し。書き込みからは製造業派遣で働く若者の寒々とした心象風景が鮮明に浮かび上がってくる。インターネット上には、加藤を非正規労働者の代表として賞賛する書き込みが多数出現している。その後、通り魔殺傷事件は、何度も起きている。いま日本は危機的状況にある。アンダークラスの問題はいつ身に降りかかるか分からない問題。他人事と等閑視はできない。格差を縮小し貧困をなくすことは喫緊の課題となっている。

0
2019年12月21日

Posted by ブクログ

928.7万人のアンダークラスを年齢と性別で4グループに分けて分析。データからの引用が多く、読みづらいが、その分客観的な重さはある。失業者・無業者が283万人、合わせて日本の人口の1割程度か。普通に暮らしていると気づかないだろうが、仕事柄良く目にする人々ではある。うなづける部分もあれば、腑に落ちない部分もあった。

0
2019年09月25日

Posted by ブクログ

アンダークラスを簡単に言うと、経済的に再生産が困難な所得階層のこと。心理的な困難から支持政党にも特徴がある。次世代に影響する観点で、アンダークラスの発生はよくない。

0
2019年03月03日

Posted by ブクログ

 読み終わってみて、普通。この類の内容のものが非常に多くなった最近の状況で、何か新しいものを付け加える難易度は確実に上がっている。そういうところからすると本書に新味はない。
 本書のメッセージがあるとすれば、それは、現時点ではまだバラバラな状態にあるアンダークラスと分類される人たちを結集して、それは政治的な意味においてもそうであるが、他の恵まれたグループに立ち向かう力を発揮させることにあるということであろうか。ある種のアナーキーな、大正後期から昭和の初めにかけて一時期存在した無産勢力にも類似する、そういった新しいグループの組織化である。
 革命を起こすのか、テロなのか、言いっぱなしの感がある本書には荷が重いだろう。

0
2019年02月10日

Posted by ブクログ

多様性が生まれ格差が拡大した労働者階級の中から生まれた「アンダークラス」。

新書のボリュームゆえか元々のスコープゆえか、地方におけるアンダークラスの課題について掘り下げがない点は片手落ちに感じてしまった。
都市部のアンダークラスについては性別、年齢、学歴など様々な観点から詳細に切り取っていただけに惜しく感じる。

それにしてもこれは重大な社会課題で、誰しもがアンダークラスと隣合わせ。さらには失業・無業との距離も遠いわけではない。
個人個人の営みの重要性もさることながら、集団として我々がなすべきことは何なのか考えさせられる。

0
2018年12月17日

「ノンフィクション」ランキング