橋本健二のレビュー一覧
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東京23区を町丁目単位まで分解して格差と階級について視覚的に分かりやすく分析。大きな話の流れとしては東京の東西、山手・下町に格差があるというもので、違和感のあるものは少なかった。
学びのあった点をいくつか挙げると、
・東京23区は他の都府県と比べても格差の大きい都市であること
・江戸期の山手は田舎侍が多く、むしろ下町の方が商売の活気もあり文化的に優位であったこと
・明治期以降、山手と下町に逆転が見られ、山手側住民は子供への教育等を通じて下町を下に見る考えを再生産・固定化させていったこと
・そうした中にあっても、所得の高い区に低所得者層の多いエリアがあったり、所得の低い区に利便性の高い沿線一帯な -
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2030年、フリーター第一世代が65歳になる。この世代は内部格差が大きい。
21世紀になって、老人の非正規労働者が増えた。
アンダークラスと失業者と無業者は同類。
就職氷河期は1994年から2007年まで。
戦後、専門学校は大学に昇格。一部できない学校は短大になった。やがて廃止されるはずが、女子学生が増えたため、恒常的制度になった。今は4年制大学が増えたため、全盛期の2割程度になっている。
第三次ベビーブームは幻だった。
第2次ベビーブーム世代は、氷河期世代とかなりダブっているため。
氷河期世代のアンダークラスは、塾や予備校に通ったことがない人が44%と多い。
アンダークラスはネオリベラ -
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秋葉原で通り魔殺傷事件を起こした加藤智大の掲示板には、誰にも相手にされない孤立感、派遣労働者である自分の境遇からくる劣等感、そして将来への絶望が、赤裸々に綴られていた。雇用は不安定で、職場は固定せず、しかも仕事内容は常に単純労働の繰り返し。書き込みからは製造業派遣で働く若者の寒々とした心象風景が鮮明に浮かび上がってくる。インターネット上には、加藤を非正規労働者の代表として賞賛する書き込みが多数出現している。その後、通り魔殺傷事件は、何度も起きている。いま日本は危機的状況にある。アンダークラスの問題はいつ身に降りかかるか分からない問題。他人事と等閑視はできない。格差を縮小し貧困をなくすことは喫緊
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読み終わってみて、普通。この類の内容のものが非常に多くなった最近の状況で、何か新しいものを付け加える難易度は確実に上がっている。そういうところからすると本書に新味はない。
本書のメッセージがあるとすれば、それは、現時点ではまだバラバラな状態にあるアンダークラスと分類される人たちを結集して、それは政治的な意味においてもそうであるが、他の恵まれたグループに立ち向かう力を発揮させることにあるということであろうか。ある種のアナーキーな、大正後期から昭和の初めにかけて一時期存在した無産勢力にも類似する、そういった新しいグループの組織化である。
革命を起こすのか、テロなのか、言いっぱなしの感がある本 -
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ネタバレあなたは格差を認めますか?
明治時代になって、親の職業や身分を受け継がなくてよくなり、そうして生まれたのが、立身出世、モラトリアムだと、現代文の先生が教えてくれた。今、階級は固定化し、格差は広がるばかりだ。本当に?
筆者は収入や意識調査を用いて、格差の問題、格差是正になぜ動けないか、政治の問題を語っている。階級や格差について、またそこに属する人の思想について、思いこんでいることも多かった。自分はどこに属し、何を求めているのか。せめて、多くの人が幸せに生きてほしいとは思うけれど、万人が一致して求める政策は難しい。
富める者が自分の持ち物を分け与える痛みを受け入れられるか、貧しい者が努力すれば上 -
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直接的なタイトルに手が伸びやすい一冊だと思う。最近出版されているこの類の例に漏れず、個別のサンプルデータを統計的に処理した結果から見える状況の説明である。
本書の特徴としては、階級社会への議論を導く印として、女性を17種類に分けて、それぞれの特徴を細かく分析していることにある。確かに、これらの分析を読んでみてよくわかることがある。ただ、その分類は配偶者の立ち位置に強く起因していて、少し運命論的なようなところもあり、本当にそうなのかと疑うぐらいがちょうどいいかもしれない。サンプルデータというのはその切り方でどうにでも見せることができるという一面があるからである。
問題設定そのものは、これか -
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格差の拡大、固定をデータで示す。
資本家階級、専門家・管理職、正社員の収入が増える一方、アンダークラスとされる非正規の収入は減少。かつての中間階級層であった個人事業主も、いまは貧困層に近い。だが時間の自由はあるので、生活の満足度は高い。
子は父親の出身階級になりやすい。
アンダークラスは親もアンダークラス、高等教育を受けず、学校でいじめられ、遅刻や不登校などの問題行動が多かった。そして支持政党もない。要するに、社会の動向に無関心。配偶者の有無や、夫の収入次第で、女性はとくにこの階級格差を受けやすい。
著者は解決策として、金融資産への資本税導入や、ベーシックインカムを推奨する。が、すでに手垢