牛島信のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ー 目の前の仕事は、人類の歴史の流れが君の目の前で一つになって焦点を結んでいるものなんだ。原始、人の世に不動産というものはなかった。あったのは地面だ。いや、地面という意識も、言葉もなかったのが始まりだ。それが、1万年前に農業が始まって、すべてが変った。ここは自分のものだと標をつける奴が出てきて不動産という法的概念が生まれる。やがてその権利を売買し、貸し借りし、そのうち証券化までするようになった。だから、紛争が起きたら弁護士に頼るほかなくなる。すると、紛争予防のための契約書も弁護士に頼んでつくらなくてはならないことになる。紛争もその予防も、どちらも同じことだ。弁護士にしか見えない世の中の切り取り
-
Posted by ブクログ
非上場の会社が、日本では圧倒的に多い。
多くは、中小企業で、赤字会社である。
そして、同族会社であり、株式は会社/取締役会の承認がなければ、
株は売買されない。
その中には、長い歴史を持っている会社もある。
また、不動産を所有している会社もある。
その場合の 会社の価値は、株式の価格だけではなく
会社の評価から、株式が評価される。
金鳥の株式の相続で譲渡を受けた男が、
わずかな株式にも関わらず、1億円近い相続税を要求された。
含資産を持っている非上場会社の株式を、どう扱うか?
その少数の株式を、金融財産にできないか
ということから、話が始まっているのである。
面白い視点からの切り込みである。 -
Posted by ブクログ
「マネジメント・バイアウト」牛島信
1.購読動機
出口戦略の一つであるマネジメントバイアウト。
正確にいえば、経営陣に資金を提供する実質的な経営社による買収。
経営する側。
経営をコントロールする側。
その関係と駆け引きを関心があったから。
2.読みおえて
小説の域ではあるが、その通りなんだろう と納得が進むのは以下の点である。
①株主
高く売り抜けたい。
②マジョリティ、マイノリティ
マジョリティであるがゆえに、譲渡先と条件交渉しやすいこと。
③キャッシュフロー
赤字、キャッシュ流出はジリ貧。
立て直しは、時間を区切ること。
④取締役会
過半数を外部とするのか? しないのか?
経営 -
Posted by ブクログ
まるで、三越の岡田会長を想起させるような物語。
会長と女帝で成り立っている取締役会。
社長も、取締役も、監査役も事なかれ主義。
名門 百貨店 赤木屋を舞台にする。
黄昏ている水上監査役。
閑散役とか、閑茶役と言われていた。
あと3年勤めれば、サラリーマン人生終了のところ。
監査役に、株主代表訴訟の通知が来る。
会社を経営していても、小さな会社であれば、
代表訴訟も監査役の役割もよくわからない。
「三十万株以上の株主」からの代表訴訟。
水上監査役は、相手に説得されるままに
監査役の役割を最大限発揮しようとする。
東郷社長室長は、薮田会長と保科美恵子の指示のままに
立ち向かうが、監査役の権限が -
Posted by ブクログ
リストラ直前の総務部次長 各田が、株主総会で社長を解任する。
各田の名前で、金融機関などが委任状を出すということから、
発想された物語で、なるほどと思わせる。
1999年の作品なので、現在は織り込み済み何でしょうね。
社長と金融機関の関係が希薄になっている。
銀行は、訴訟を好まないというところが落とし所。
それにしても、社長になる自覚と覚悟が、きちんとしないと
トップの腐敗を摘発できないものだ。
二十人近い取締役が解任されて、仕事に支障がないというのは、
この取締役は、ほとんど機能していないのかもしれない。
蒔山前社長のワンマンと言える状態で、コーポレートガバナンスが
成り立っていないとも言え