あらすじ
百貨店の赤木屋は会長の藪田とその愛人の美恵子に支配されていた。ある日、監査役の水上のもとに「三十万株以上の株主」と名乗る正体不明の男たちが現れた。「赤木屋を私物化している藪田と美恵子の経営責任を追及せよ、さもないと訴える」と恫喝された水上は絶体絶命の危機に……。外資の買収戦略を描く戦慄の企業法律小説。
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Posted by ブクログ
まるで、三越の岡田会長を想起させるような物語。
会長と女帝で成り立っている取締役会。
社長も、取締役も、監査役も事なかれ主義。
名門 百貨店 赤木屋を舞台にする。
黄昏ている水上監査役。
閑散役とか、閑茶役と言われていた。
あと3年勤めれば、サラリーマン人生終了のところ。
監査役に、株主代表訴訟の通知が来る。
会社を経営していても、小さな会社であれば、
代表訴訟も監査役の役割もよくわからない。
「三十万株以上の株主」からの代表訴訟。
水上監査役は、相手に説得されるままに
監査役の役割を最大限発揮しようとする。
東郷社長室長は、薮田会長と保科美恵子の指示のままに
立ち向かうが、監査役の権限があり、やっつけることができない。
株主総会でしか、監査役を解任できない。
大木弁護士のパートナーである辻田弁護士が活躍する。
そこは、弁護士と弁護士の戦いとなる。
薮田会長と保科美恵子の不正を暴くことができるのか?
取締役たちも、どちらについたらいいのか悩む。
水上監査役には、外資がついていたことが判明して
局面は変わるように見えたが。
Posted by ブクログ
監査役の存在意義は、代表訴訟であると思ったぐらい面白い。
会社に対する訴えを起こす場合、監査役が代表して、訴訟を起こすことを知っていましたか?
会社法の知識があると格段に面白く読めます。
Posted by ブクログ
牛島信の小説って「ビジネス・ロー・ノベル」(企業法律小説)というジャンルらしい。この小説は企業の役員の中でも「監査役」という、普段はよくその存在がわからない役職の業務について詳しく説明されている。そして主人公の水上は監査役の権限をフルに発揮し、株主代表訴訟を起こし、腐りきった百貨店「赤木屋」を立て直していくのだ。現代版勧善懲悪小説とも言えるかも・・。