河野龍太郎のレビュー一覧
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日本経済の現状を取り巻く構造的課題を概観できる一冊。とくに、アベノミクスと呼ばれた金融緩和が進められた10年間の結果と、企業が利潤を労働者の賃金上昇に反映せずに自社株買いや海外投資といった株主資本ばかりが膨らんだ格差拡大の構造を分かりやすく説明している。
2000年代からの構造不況から日本の企業生産性は30%も向上しているが、賃金水準は横ばい傾向であり、近年のインフレ基調から実質賃金はマイナスに陥っている。いわばこの収奪的システムが日本のマクロ経済を形成し、アベノミクスの金融緩和が成長戦略へと結びつかなかった原因となっている。そのため消費に回る可処分所得が減少するスパイラルに突入し、それらが -
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いろんな要素が上手くハマったのが30年の高度経済成長なら
いろんな要素が悪くハマったのが失われた30年
失われた30年を解説してくれる本
この先40年、・・・60年と続かなければいいけど
「物価高」「実質賃金が上がらない」とマスコミ・メディアは取り上げるけど
ストライキ、暴動、インフラ不全など起きる気配もないので
「なんとなく不安」をSNSやマスコミが煽っているだけに見える
経済が低迷しているのは明らかだけど
水道水が飲めて、コンビニが24時間どこでも開店していて、
夜中に女の人が歩けて、子どもたちだけで登下校できる国なんて
世界的に少ないので恵まれた環境にいることが理解できない
「足 -
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哲学者の萱野稔人氏が金融緩和策に批判的な三人の専門家(藻谷浩介氏、河野龍太郎氏、小野善康氏)と対話形式でのインタビュー内容を文字に起こしたものである。
3人の中でも小野氏の内容が興味深かった。
小野氏の論理展開の大前提は、「お金が究極の欲望の対象になる」ということ。成熟社会では、モノがあふれていて、モノへの欲求がお金への欲求より低くなってしまったとする。
「成熟社会になってもまだまだ人びとにはほしいモノがある」との反論に対しては、
「もっているお金をつぎ込んで、ほしいモノを次々に買うのかと聞いてみると、大概の場合、返ってくる答えはこうです。『いや、お金がもったいないから買わない』
この言葉こ -
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2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。
自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。
1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくところに需要は生じないというもの。需要のないところにお金をジャブジャブ注ぎ込んでもその効果は?
2.人は豊かになっていくとモノではなくお金の所有願望が強くなっていくというもの。ものが溢れている日本にお金をジャブジャブ注ぎ込んでも実際にお金がモノに変わるのか?
2番目については思いあたる節もあり目から鱗。ミニマミスト思考と -
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■生産年齢人口の総人口に占める割合のピークは、日本は1990年頃、アメリカ、アイルランド、スペインは2005年頃、中国は2015年頃。
■中央銀行ファイナンスによる追加財政、すなわちマネタイゼーション戦略は、当初は高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金利、リスク資産価格の上昇が観測され、バブル的な様相が強まる。しかし、その後は、低い実質成長率、高いインフレ率、高めの名目成長率、リスク資産価格の下落が訪れる。
■人は、お金そのものが欲しい。純粋に、今お金があるからあれもこれもと実感できて嬉しい。
■完全失業者は300万人前後。彼らを100万人雇うためには消費税を数パー -
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歴史的事実を見ながら説明が進んでいく感じが個人的にはとても楽しく読めました。根拠が理論より歴史の方が自分には合いますね。
中でも、産業革命期の農村から都市部への労働力の流入と定年後の働き方が広がったことによる高齢者の労働力の流入が同じ効果をもたらしているんじゃないかという話が興味深かったです。
高齢者やパートタイムの女性をはじめ、流入する労働力は安価で、すでにあった高単価の労働力は残業規制で削られ、それでも技術革新のおかげもあり生産力は上がり、そりゃあ企業は現状維持でいきますよね。
日本ならではの消費者余剰の大きさや金利の低さからなんとか耐えていたわけですが、最近では少しずつ課題が露呈してきて -
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河野龍太郎「日本経済の死角」(ちくま新書)
著者の主張は、日本の問題は実質賃金が伸びないため国内消費が伸びない。そのため企業も国内に投資せず景気が拡大しないというもの。必ずしも企業経営者が強欲な訳ではなく、不況や災害が続いた中で手元流動性を確保するために内部留保を増やし続けたことがその原因だという。この事態を改善するために必要なのは、政府・日銀、企業、国民ともにマインドセットを転換し、物価上昇を超える賃上げを継続して行うことだという。日本では賃上げ実現には生産性向上が必要と言われがちだが、日本はここ20年で相応に生産性は向上しているのに賃金には反映されていない。対してフランスやドイツは日本より -
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1.この本を一言で表すと?
7つの「死角」から日本経済の長期停滞を分析した本。
2.よかった点を 3~5 つ
・1998 年から 2023 年までの間に、生産性は累計で 30%ほど上昇していますが、実質賃金は横ばいのままです。(p24)
→初めて聞いた話で、かなり驚いた。
・コーポレートガバナンス改革の罠
(p46)
→新しい視点でコーポレートガバナンス改革を分析している。
・日本の長期停滞の元凶は、儲かっても溜め込んで、実質賃金や人的投資に消極的な日本の大企業(p66)
→これが第一章の結論かと思う。
・超人手不足社会が到来する中、介護や教育を含め、市場経済には必ずしも馴染まない仕事を担う人 -
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「失われた30年」で日本の生産性は上がっているのに、実質賃金が上がらないのはなぜなのか?
日本の賃金が上がらない理由をいくつもの事実から読み解く。
基本的に現在の新自由主義を批判する内容になっていると思う。
他の国に比べて、生産性は上がっているのに賃金はなぜ増えないのかを語っている。
賃金上昇を阻害する要因として
①メインバンク制崩壊に起因する企業の保守的体制
②雇用を全面的に守るために全員で低賃金を受け入れる
③①と②からくる企業の内部留保
④残業規制と週40時間規制による労働力の不足
⑤フリードマンとジェンセンの経済政策を是としたブルジョワたちの流れ
(株主優先理論とエージェンシー理論