北尾トロのレビュー一覧
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三分の一ほど読んだところで、「こうしちゃいられない!」と、歯科に予約の電話を入れた。四五日前から奥歯に違和感があったのだけど、そのうち治るんじゃないかという希望的観測のもと、無視してたのだ。なんとなく目についたこの本は、北尾トロさんの長期間に及ぶ歯科治療との格闘の記録。歯を大事にしなくちゃ!と思わせる説得力たっぷりの一冊だ。
著者と同様、私にも子どもの頃のキョーフの歯医者さん体験があり、いい大人になってからもついつい治療を後回しにしては、いっそう痛い目に遭ってきた。冷静に考えれば、今持ちこたえてくれている治療済みの歯も、この先いつまでも保つわけではなく、ゆくゆくは入れ歯かインプラントという選択をしなければならない可能性が大いにある。入れ歯!勘弁してくれ~。
北尾トロさんはずいぶん前、今のように一般化する前にインプラントにし、ずっと保つはずだったそれが駄目になったことで、ながーい歯科治療に突入する。前から思っていたが、トロさんの文章は本当にわかりやすい。良い意味でまさに「ライター」だなあと思う。お医者さんに思うことが言えなかったり、高い治療費に悩んだり、なんでもっと歯を大事にしなかったのかと後悔したり、多くの人が思い当たるだろうことが、治療の具体的な経過とあわせて綴られていて、あ~わかるなあと共感を誘う。
幸い奥歯に深刻な問題はなかった。真面目に歯磨きを頑張ろう。きっかけをくれたこの本に感謝。 -
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惰眠を貪り 鯖の水煮 人も猫も距離感が大事 高円寺 地下鉄の構内に入って地盤沈下の具合などを調べる仕事 不倫相手(パパと呼んでいた) 運動不足のチンチラ 大慌てでバルサンを買いに行って焚きまくった ノミの卵 阿佐ヶ谷 アメショーのティミー 小田急線の経堂きょうどう 艶っぽい話ではなく 西荻窪 四谷三丁目まで往復する煩雑さ 善福寺川沿いに歩くコース 仁義を切る ノラの鑑である 明朗闊達かつたつ 不慮の事故 凛々しい態度には一目置いているようだ 弟のセールストーク アメリカン・カールが混じっているかそのもの 局部から分泌液が溢れている 避妊手術 低身低頭で謝り 手頃な賃貸ちんたい 国分寺 自産自消 委細かまわず伸びをするモー伸び対照的な反応 共同戦線を張った しない後悔よりする後悔 松本の市街地は晴天率が高い ハクビシンは猫を食べるという噂だよ 腎不全じんふぜん 獣医の説明は的確で、手際もいい。動物への愛情も感じられる。 青山墓地で 2015年吉日 松本の自宅にて 角田光代 くじ運 猫運 他者を想像し、思いやり、工夫を凝らすことで、それぞれの最大公約数的な幸福を模索する。 無鉄砲で刹那的な生き方 猫は明日を憂えないという 大丈夫、何が起きても、にゃんくるないさー、と。
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箸休め的お気楽読書をしようと手に取ったのだけど、意外にも読みごたえがあって、結構熱心に読みふけってしまった。いやもちろん、北尾トロさんなんだから、まったく肩の凝らない書きぶりで、とぼけ加減が絶妙なんだけど。
どこにもつながっていない「いきどまり鉄道」に乗りに行き、終着駅周辺を見て回る、ただそれだけ。へんにほめたり感傷的になったりせず、感じたままが書かれている。「これが今の日本だ」なんていう決まり文句もない。そこが気持ちいいと思った。何よりいいのは、鉄道旅のルポでありながら、テツ成分が薄いことだ。あとがきに「真摯に『テツ』の道を追求する方々の役にはこれっぽっちも立たないです」とある通り。鉄道の成り立ちとかの説明が、細かい蘊蓄なしのほど良さで、とても読みやすかった。
登場するのは主に関東のいきどまり鉄道で、ほとんど乗ったことのない路線ばかり。地図帳を前に置いて、「ふむふむ、ここか」と確認しながら読む。こことここをつなげるはずだったんだなあとか、この先が廃線になったのかとか、地図を参照するとよくわかり、より楽しめる。まず今後も行くことはなかろうという地名を見ていると、何だか不思議に旅情めいたものを感じてしまう。
一番へぇーっと思ったのが、JR鶴見線の支線の終着「海芝浦駅」。テツでないのでまったく知らなかったが、なんと駅から出られないのだと。東芝社員専用の駅だそうだが、そんなものがあるなんて。ちょっと行ってみたくなった。 -
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傍聴モノを読むのは私はこれが初めて。
門外漢だけど興味本位でふらっと行ってみるか、というスタンスの著者の目は、被告、弁護士、検察のみならず、常連の傍聴マニアの人たちなんかにも向けられていて、傍聴というジャンルの趣味の世界がどんなかんじなのか、知ることができた。
「裏モノJAPAN」という雑誌の連載を書籍化したもので、著者がいやぁ〜これドラマとかじゃないんだよな〜本当のことなんだもんな〜人間わからんな〜などと思いながら傍聴して、今日見たのはこんなんだったわドラマチックでよかったわ、と語るというような話。
正直、著者の下世話な興味本位を隠さないスタンスや、飲酒運転や不倫、痴漢(未遂)なんかを「そりゃあ、そのくらいなら俺だってやったことあるけどさ…」みたいにサラッと言っているのが、繊細なあたくしにはちょっと距離あった。露悪的な面白さの演出だけでなくて、著者が多分もともとそういう人なんだろうな…。文庫本だったから私も手に取っちゃったけど、元連載の雑誌がたぶんそういうスタンスなんだろうな。
あとは時代か。書かれた2001〜2003年と今とでは、公言して炎上しないラインの倫理観というのは大きく変わったところだった。奇しくも裁判所の喫煙所での雑談が、魅力の肝の一つになっていて、時代を感じる。 -
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<目次>
第1章 わたらせ渓谷鉄道
第2章 烏山線~真岡鐡道
第3章 横須賀線~久留里線
第4章 水郡線~ひたちなか海浜鐡道湊線
第5章 名松線、加太線、水間線
第6章 大井川鐡道
第7章 吾妻線、信越本線、上信電鉄
第8章 鶴見線、東武小泉線、秩父鉄道、青梅線、五日市線
第9章 石勝線
第10章 東武佐野線
おまけ 越備北線、長良川鉄道
<内容>
鉄道知識やその地域に関する旅の知識も薄い、著者と編集者が「いきどまり線(盲腸線)」を巡る旅。全般に緩い雰囲気が流れている。一つだけ気が付いたのは、「信越本線」は、横川どまりの盲腸線になっているのだ。なんだか寂しい気がします。