保坂展人のレビュー一覧

  • こんな政権なら乗れる

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    政治思想の研究者である中島先生と、現世田谷区長の保坂氏の対談本。
    中島氏が評するように、保坂氏が他と異なるのは、1人の人物内にある与党性と野党性の同居。
    保坂氏は社民党として初当選し、自社さ政権時に、当選1年目ながらに自民党の重鎮たちと政策論議を行ってきた。
    そうした中で、当時の自民党幹事長の加藤紘一氏が、政策の各テーマに対して自民3人、社民2人、さきがけ1人の6人でユニットを作り、あえて多数決では決まらない熟議での政策決定の方法を執ったことが原体験と言う。そうした中で、加藤氏の、「保坂君が納得することに普遍性が宿る」という対立する立場の中でも熟議によって合意形成をする胆力のある与党政治家に触

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    2024年05月25日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    自分の中にまだ落とし込めていないので、ルポを読んで後日改めてまとめたいと思う。ひとまずブックレットは2時間弱でチャチャっと読めたので所感を簡単に。

    「重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在」。そう植松死刑囚は言い放った。「インクルーシブ社会」「分かち合う社会」福祉国家として掲げられるキラキラと光るビジョン。一方で、ひとつ障害を取り除こうとすれば、他の者が我慢を強いられる現実もある。これを植松死刑囚は「自業自得で税金の無駄遣い」と表現した。彼は、特異で、残虐で、そして確固たる優生思想のもと、計画を実行した。そこに迷いはなく、そしてこれからも考えを改める気はな

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    2021年07月05日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    政治家でありながらしっかりとジャーナリズムを保つことをこなしていることに敬服。その上で政策として地域共存とヘイト思想根絶が現在では矛盾しているという事への言及が抜けている点を指摘したい。施設そのものを排除する段階ではないはず。当事者に寄り添えばそれだけこの矛盾が明確化してくる。政治ではどうにもならないほどに。

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    2019年03月29日
  • 闘う区長

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    興味深く読んだところは、東京電力とのバトルとPPSに関する内容だ。
    例によって、「東電はダメだな。」と思った。著者が区長を務める世田谷区の電力利用量を開示しない東電、一方的に値上げをする東電、大口利用者には安値で売る東電、独占企業体としてなりふり構わぬ経営ぶりだ。
    またPPSという新しい売電企業にコストの面で変えたり、世田谷の屋根に太陽光パネルを取り付け電気の地産地消を目指すなどの取り組みも行なっている。

    彼は「新しい公共」をどんどん進めようとしている。彼のtwitterやfacebookを通じて、見守って行きたいと思う。

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    2013年04月29日
  • 思春期をむかえる子と向きあう 佐世保事件からわたしたちが考えたこと

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    ああなんか、すごく色々と大事だ。
    わからないとわかった上でわかろうとするとか、環境や特性を無視するのではなく、環境や特性のせいにして切り離すのでもなく、その子を見る・全体を見る視点とか。

    「居場所」という言葉の使い方の部分におおーと思った。
    保坂展人 は「居場所」を「相互承認の共有空間」として使ってきたという。
    その感覚の持ち主として、裁判所の使い方はパーソナルスペース、「テリトリー」を指すかのようだと批判する。

    私の使い方も「テリトリー」だ。
    私にとっての居場所が、他者が侵入してこないテリトリーだから。
    でも前者の「居場所」であるべきだよな。
    特に「子どもの居場所」といった使い方をするの

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    2014年10月08日
  • こんな政権なら乗れる

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     強いリーダーシップの一方的な決断ではなく、
     「事態を正確に読み解く力」
     「現場からの声を傾聴する力」
     「自らと異なる主張や分析が正しければ受け入れる力」
     というのが、本書を貫くテーマ。

     具体的な実績を野党は、というけれど、
     与党も何も出来ていないのでは?
     

     

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    2021年09月15日
  • こんな政権なら乗れる

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    リベラルの反対は保守ではなくパターナルか、なるほど。そしてパターナルな与党のオルタナティブであるべき野党もまた規模の小さいパターナルになっている、という点にはこれもまたうなずける観点だった

    今の体制にNOを攻撃的に突きつけたくなる。その方がカタルシスを感じられるからなのだろう

    毎日のように流れてくるニュースを見聞きしているとその不可解さに攻撃的な言動をしがちである。だがこの本を読んでると自分の眉間の皺が緩まっていくのがわかる。

    必要なのは時間をかけてでも対話しながら一緒に考えていく。民主主義を盾に強引に多数決という数の論理で押しきるんじゃついてこない

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    2021年07月26日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    ドイツのT4作戦についてはNHKで放送されたものをなぞっただけなので、ちょっと物足らない。


    「障害当事者の人々が真っ先に表明したのは施設の問題でした。私は、事件の特異性が成立する条件として、多くの障害者が施設に入所しているという点にすぐに気づきませんでした」
     ここは重要だ。この点についてもっと詳しく知りたかった。
     重度障害者の多くが施設でなく地域で生活していれば、事件は起きなかったのだろうか。

    「事件の特異性にとらわれるだけでなく、事件なき日常性を考え直していくこと」
     

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    2017年07月04日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    世田谷区長の保坂氏の著述。岩波ブックレットは初めて
    読みました。
    去年の相模原事件の破門や、報道のされ方。ナチスのT4
    作戦など。心が震えるような話もありました。
    被害者の家族のうち、匿名を希望される家族も少なくなかったとか。
    いろいろな事情があるのであろうから、一概には当然
    言えないし、言ってはいけないことだと思います。
    優生思想が復活してきそうな風潮のなか、本当に奪っていい
    命など存在しない。
    何をいうべきかわかりませんが。みんなに考えてほしい。
    自分ももっと考えるべきだと思います。
    障害者(あえてそう書きますが)の方々は社会のセンサー
    だと思っています。彼らが暮らしにくいということは、

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    2017年03月20日
  • 思春期をむかえる子と向きあう 佐世保事件からわたしたちが考えたこと

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    懐かしい感じ。
    なんとも小学生の環境が、いちばんよく描かれている。

    まさかこどもが!とかいう論調はなんか現実に即していない。

    わたしももう小学校から遠くなってしまったけれども、小学生女子の微妙な関係やらがよく書かれていた。
    きゅんとせつない小学生時代をおもいだした。
    微妙なカンケイをつくるような、繊細なコドモではなく、昔から図太いわたしではあるが。

    そして加害・被害のどちらにも目を向けていて、当たり前にすごいとおもった。

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    2009年10月04日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    相模原事件、優勢思想についてはどんなに文献を読んでも、これについて問題提起する作品や文章を読んでも答えが出ない。

    本書は相模原事件を「恐ろしい事件」「あってはならない事件」と思考停止ともとれる評価の先を見据えた、人々の意識下・無意識下にある障害者雇差別思想に踏み込もうとしていたのが良かった。
    あとナチスドイツの「T4作戦」については私も深く知らなかったので知れて良かったと思う。

    でも、やはり何か物足りなさも感じてしまう…。

    障害当事者の意見や聞き取りが取り入れられていたのは良かったのだけど、障害者のケアをする家族の負荷とか複雑な想い等については触れられておらず、ケアを引き受ける現場(=実

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    2023年05月21日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    p.13─「許されない犯罪」、「ありえない犯罪」という表層の言葉では決定的に弱いのです。

    「公益」と「優生思想」の共鳴について、これからも考え続けたい。

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    2022年01月23日
  • こんな政権なら乗れる

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    政治のことがわからないので勉強のために読みました。
    世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。

    印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。
    自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。

    保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。
    また、不動産を公共財として使うという政

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    2021年10月04日
  • 相模原事件とヘイトクライム

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    SIGHTで著者の語る言葉に共感してたのと、「バリアバリュー」を読んだ後だったので読んでみた。相模原事件の背後にあって、あまり語られていない重要事項についての注意喚起と徹底してそこに対峙すべきとの決意。ナチス犯罪についての部分、知らなかったので衝撃だった。

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    2016年11月29日
  • 思春期をむかえる子と向きあう 佐世保事件からわたしたちが考えたこと

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    同じ年なんだよなあ。

    事件のニュースを見た夜は、眠れなかった。
    なんというか目から鱗じゃないけど、人って殺せるんだって気づいたっていうか。

    いくら嫌いな人がいるからって、人は殺さないけど。
    家族とか大切な人とか自分の未来とか、ストッパーが必要なのかもなあ。

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    2013年08月01日
  • 闘う区長

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    区長選への出馬のきっかけは、3.11だった。世田谷区長になってからの奮闘ぶりを、主にエネルギー関連を中心に記す。

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    2013年04月14日
  • 闘う区長

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    ネタバレ

    保坂展人という人は教育問題をテーマにずっと闘ってきたジャーナリストで、ただ社民党から国会議員になったこともあって左寄りのイデオロギーの持ち主だと思っていた。自分が世田谷に住み、3.11とその後の原発事故を経験して、保守やや右寄りだと思っていた自分自身にも変化があった。脱原発をいち早く掲げ、区長になった後も東電の不誠実な対応と戦い続けている。世田谷電力を立ち上げ、住民との対話を積極的に行う区長の姿は新しい地方自治のあり方を示していると思う。支持していきたい。

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    2013年01月08日