保坂展人のレビュー一覧
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政治思想の研究者である中島先生と、現世田谷区長の保坂氏の対談本。
中島氏が評するように、保坂氏が他と異なるのは、1人の人物内にある与党性と野党性の同居。
保坂氏は社民党として初当選し、自社さ政権時に、当選1年目ながらに自民党の重鎮たちと政策論議を行ってきた。
そうした中で、当時の自民党幹事長の加藤紘一氏が、政策の各テーマに対して自民3人、社民2人、さきがけ1人の6人でユニットを作り、あえて多数決では決まらない熟議での政策決定の方法を執ったことが原体験と言う。そうした中で、加藤氏の、「保坂君が納得することに普遍性が宿る」という対立する立場の中でも熟議によって合意形成をする胆力のある与党政治家に触 -
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ネタバレ自分の中にまだ落とし込めていないので、ルポを読んで後日改めてまとめたいと思う。ひとまずブックレットは2時間弱でチャチャっと読めたので所感を簡単に。
「重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在」。そう植松死刑囚は言い放った。「インクルーシブ社会」「分かち合う社会」福祉国家として掲げられるキラキラと光るビジョン。一方で、ひとつ障害を取り除こうとすれば、他の者が我慢を強いられる現実もある。これを植松死刑囚は「自業自得で税金の無駄遣い」と表現した。彼は、特異で、残虐で、そして確固たる優生思想のもと、計画を実行した。そこに迷いはなく、そしてこれからも考えを改める気はな -
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ああなんか、すごく色々と大事だ。
わからないとわかった上でわかろうとするとか、環境や特性を無視するのではなく、環境や特性のせいにして切り離すのでもなく、その子を見る・全体を見る視点とか。
「居場所」という言葉の使い方の部分におおーと思った。
保坂展人 は「居場所」を「相互承認の共有空間」として使ってきたという。
その感覚の持ち主として、裁判所の使い方はパーソナルスペース、「テリトリー」を指すかのようだと批判する。
私の使い方も「テリトリー」だ。
私にとっての居場所が、他者が侵入してこないテリトリーだから。
でも前者の「居場所」であるべきだよな。
特に「子どもの居場所」といった使い方をするの -
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リベラルの反対は保守ではなくパターナルか、なるほど。そしてパターナルな与党のオルタナティブであるべき野党もまた規模の小さいパターナルになっている、という点にはこれもまたうなずける観点だった
今の体制にNOを攻撃的に突きつけたくなる。その方がカタルシスを感じられるからなのだろう
毎日のように流れてくるニュースを見聞きしているとその不可解さに攻撃的な言動をしがちである。だがこの本を読んでると自分の眉間の皺が緩まっていくのがわかる。
必要なのは時間をかけてでも対話しながら一緒に考えていく。民主主義を盾に強引に多数決という数の論理で押しきるんじゃついてこない
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世田谷区長の保坂氏の著述。岩波ブックレットは初めて
読みました。
去年の相模原事件の破門や、報道のされ方。ナチスのT4
作戦など。心が震えるような話もありました。
被害者の家族のうち、匿名を希望される家族も少なくなかったとか。
いろいろな事情があるのであろうから、一概には当然
言えないし、言ってはいけないことだと思います。
優生思想が復活してきそうな風潮のなか、本当に奪っていい
命など存在しない。
何をいうべきかわかりませんが。みんなに考えてほしい。
自分ももっと考えるべきだと思います。
障害者(あえてそう書きますが)の方々は社会のセンサー
だと思っています。彼らが暮らしにくいということは、
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ネタバレ相模原事件、優勢思想についてはどんなに文献を読んでも、これについて問題提起する作品や文章を読んでも答えが出ない。
本書は相模原事件を「恐ろしい事件」「あってはならない事件」と思考停止ともとれる評価の先を見据えた、人々の意識下・無意識下にある障害者雇差別思想に踏み込もうとしていたのが良かった。
あとナチスドイツの「T4作戦」については私も深く知らなかったので知れて良かったと思う。
でも、やはり何か物足りなさも感じてしまう…。
障害当事者の意見や聞き取りが取り入れられていたのは良かったのだけど、障害者のケアをする家族の負荷とか複雑な想い等については触れられておらず、ケアを引き受ける現場(=実 -
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政治のことがわからないので勉強のために読みました。
世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。
印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。
自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。
保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。
また、不動産を公共財として使うという政