中村佳子のレビュー一覧
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往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。選んだ理由は選者の「日本にこんな意地悪な小説家は絶対いない!」というコメント。
さして取り柄のない仏人公務員ミシェルは、親の遺産でタイ行きのパッケージ・ツアーに参加し、少女を買う。そして、周囲のひんしゅくを買いつつ、そのツアーで知り合ったヴァレリーと恋に落ちる。帰国後はヴァレリーと一緒に彼女が勤める旅行会社で売春ツアーを企画するが、最後は…。
この小説の中でミシェルとヴァレリーは、もう数えきれないくらいセックスをして、その度にミシェルは西洋の性の退廃を、ひいては西洋文明の没落を嘆く。
少々乱暴なつかみ方ではあるけれど、西洋の高度資本主義への批判・警告を性を -
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これがウェルベックのデビュー作らしい。テーマというか作者の姿勢は本当に一貫していて清々しさすら感じる。これと後の作品を比べると(全部読んではいないが)、変えていっているのは読者層を広く取り込むための工夫の部分だろうか。遡ってデビュー作が文庫化されるくらいなのだから、その努力は上々の成果を上げている。この作品自体は、面白いのだけど、まあウェルベックの作品として一番に薦めることはないかなという感じ。
最後はあの後、自殺したのかな?してないのかな?どちらもあり得ると思うが…。雄大な自然の中にいてもむしろ虚無感を感じるというのは自分にも覚えがある。個人というものの枠組が根源的には「死によって世界から -
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ウェルベックの原点。
資本主義社会では、誰もが財を成す権利を持ち、それを行使するか否かを決める自由を手にしていると幻想している。
けれど、それは当然「誰もが」であるはずはなく、このシステム下においては性愛でさえ、持てる者だけが享受し、持たざる者はどれほど足掻こうとも除外されてしまう。
主人公と正反対で、外交的かつ情に厚いビジネスパートナーのティスラン。
彼の頭の中は常時と言っていいほど、女性のことが占められていて、自分が愛した女性に無償で愛されることの自由と格闘している。
けれど残念なことに、彼の容姿やセンスは女性を惹きつけるどころか、遠巻きに嘲笑を浴びるほどだ。
『性的行動はひとつの社 -
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今年はミシェル・ウェルベックの『服従』が文庫化され、その不穏な衝撃が自分自身にもたらしたものは大きかった。
なので、オビにあるウェルベックとジョージ・オーウェルの名前に、これは手に取らずにはいられない作品だな、と直感。
『1984年』をある意味で受け継いだ作品で、偉大な神ヨラーとその代理人アビを盲目的に信仰する宗教国家アビスタンが舞台となる。
誰もがその教義に従って、自らの徳を上げ(つまりは地位と名誉を)、他者が裏切らないかを監視し、自らの力で生きることを取り上げられた社会。
主人公アティは、サナトリウムの中でアビスタンを外側から見つめる思考を手に入れ、信仰はある種の狂気を孕んでいることに -
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田舎出のデュロアは元アフリカの騎兵隊下士官だったが、一旗挙げようと軍隊を辞めフランスに。しかし鉄道会社勤めでお金がなく、日々を窮していた。ある日、アフリカでの騎兵隊仲間だった新聞記者フォレストに会い、チャンスをつかむ。人一倍ハンサムなディロアは、フォレスト家に集まる上流社会の女性達に愛されて、その助けを受けながらチャンスを広げてゆく。愛と資産と名誉を求め、次々と成功の階段を上ってゆく。そのたびに女性の愛を裏切り、別の愛に求め、移ってゆく。//愛人たちとそれらの夫とデュロアの関係がとても面白い。新聞業界やフランスの上流社会のモラルと倫理のなさがリアルに描かれていて興味深い。でも、物語としては面白