中村佳子のレビュー一覧
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ウェルベックの原点。
資本主義社会では、誰もが財を成す権利を持ち、それを行使するか否かを決める自由を手にしていると幻想している。
けれど、それは当然「誰もが」であるはずはなく、このシステム下においては性愛でさえ、持てる者だけが享受し、持たざる者はどれほど足掻こうとも除外されてしまう。
主人公と正反対で、外交的かつ情に厚いビジネスパートナーのティスラン。
彼の頭の中は常時と言っていいほど、女性のことが占められていて、自分が愛した女性に無償で愛されることの自由と格闘している。
けれど残念なことに、彼の容姿やセンスは女性を惹きつけるどころか、遠巻きに嘲笑を浴びるほどだ。
『性的行動はひとつの社 -
Posted by ブクログ
今年はミシェル・ウェルベックの『服従』が文庫化され、その不穏な衝撃が自分自身にもたらしたものは大きかった。
なので、オビにあるウェルベックとジョージ・オーウェルの名前に、これは手に取らずにはいられない作品だな、と直感。
『1984年』をある意味で受け継いだ作品で、偉大な神ヨラーとその代理人アビを盲目的に信仰する宗教国家アビスタンが舞台となる。
誰もがその教義に従って、自らの徳を上げ(つまりは地位と名誉を)、他者が裏切らないかを監視し、自らの力で生きることを取り上げられた社会。
主人公アティは、サナトリウムの中でアビスタンを外側から見つめる思考を手に入れ、信仰はある種の狂気を孕んでいることに -
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田舎出のデュロアは元アフリカの騎兵隊下士官だったが、一旗挙げようと軍隊を辞めフランスに。しかし鉄道会社勤めでお金がなく、日々を窮していた。ある日、アフリカでの騎兵隊仲間だった新聞記者フォレストに会い、チャンスをつかむ。人一倍ハンサムなディロアは、フォレスト家に集まる上流社会の女性達に愛されて、その助けを受けながらチャンスを広げてゆく。愛と資産と名誉を求め、次々と成功の階段を上ってゆく。そのたびに女性の愛を裏切り、別の愛に求め、移ってゆく。//愛人たちとそれらの夫とデュロアの関係がとても面白い。新聞業界やフランスの上流社会のモラルと倫理のなさがリアルに描かれていて興味深い。でも、物語としては面白